「虎に翼」三山凌輝の起用理由は?鍛えられた肉体には調整の依頼も
伊藤沙莉が主演を務める連続テレビ小説「虎に翼」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか ※土曜日は1週間の振り返り)で、ヒロイン寅子の弟・直明役として、第9週(5月27日~31日放送)から登場した三山凌輝。本作で朝ドラ初出演を果たした三山の起用理由や、撮影現場で感じる三山の役者としての魅力を制作統括の尾崎裕和が語った。
6月3日から第10週に突入する朝ドラ・110作目の「虎に翼」は、女性法律家の先駆者である三淵嘉子さんをモデルとしたオリジナルストーリー。日本初の女性弁護士で後に裁判官となった一人の女性が、困難な時代に道なき道を切り開き、迷える子どもや追いつめられた女性たちを救っていく姿を描く。第10週では、「すべて国民は、法の下に平等」と書かれた「日本国憲法」の存在に感銘を受けた寅子が家族を養うために、再び法曹の世界を目指す姿が映し出される。
朝ドラ初出演となった三山について、尾崎は「リラックスしてやられています」と撮影現場での様子を紹介する。「インの時は気合が入っていて、緊張もされていたと思うのですが、猪爪家の新しい家族として、すぐに自然な感じで伊藤さんや子役の子たちと楽しく話すようになりました。子供たちとわいわい話している印象が強いです」と振り返る。
また、尾崎は「現場に伊藤さんや石田ゆり子さんなど、お芝居の世界で先輩と呼べるような人たちがたくさんいるんですが、その先輩たちの中に気負うことなくいながら、周りのキャストの皆さんからいろんなものを受け取ろうとしていらっしゃるようにも見えます」と三山の意欲的な姿勢も紹介した。
三山の起用については脚本の吉田恵里香が、NHKで作ったドラマ「生理のおじさんとその娘」(2023)に出演したことがきっかけだという。尾崎は「その時の演出が『虎に翼』でも演出を務める橋本万葉で、企画の時に吉田さんと橋本さんの間で『三山さんは前のドラマのお芝居が良かったからキャスティングしよう』という話になっていました」と振り返る。起用が決まった際、三山は面接の場に鍛えられた肉体で現れたといい、尾崎は「あんまりトレーニングされると、戦前、戦後あたりの時代感が出ないのでうまく調整してくださいとお願いしました」と微笑ましいエピソードも紹介した。
直明のキャラクターについては、演出から三山へ「これまでの子役の直明くんから成長して、誠実さをパーソナリティとして持った形で演じて欲しい」という要望があったという。「目をキラキラとさせているとか、真っ直ぐな直明を表現したいという思いがあります」と尾崎は演出の意図を説明し、今後の三山の演技にも期待を寄せていた。(取材・文:名鹿祥史)