「光る君へ」町田啓太、公任の優しさあふれ出した瞬間振り返る
吉高由里子が紫式部(まひろ)役で主演を務める大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合・日曜午後8時~ほか)で麗しの藤原公任役で大人気の町田啓太。2日放送・第22回では失脚した伊周(三浦翔平)と対峙し、葛藤する場面があり、町田が本シーンにおける公任の心境を振り返った。第22回放送後、公式Xなどで公開されたインタビュー動画「君かたり」内で語った(※一部ネタバレあり)。
第22回「越前の出会い」は、まひろ(吉高)とその父・為時(岸谷五朗)が向かった越前、左大臣・道長(柄本佑)が一難去ってまた一難の日々を映す都の二つの舞台で物語が展開した。前話・第21回では花山院(本郷奏多)に矢を射かけた一件で流罪を下された伊周が逃走した上に出家したフリをして罪を免れようとして帝(塩野瑛久)を激怒させ、母・貴子(板谷由夏)と引き裂かれ大宰府に送られた。第22回では、その伊周が都に戻ったとの報せが道長へ。報告したのが実資(秋山竜次)に代わって検非違使・別当となった公任で、道長は「何だと!?」と仰天していた。
公任は道長と相談のうえ、病の母親に会いに行ったであろう伊周を捕らえるため高階の屋敷へ。憔悴しきった伊周が現れると、一度は「ここから先は通れぬ。速やかに大宰府に向かえ」」と言い渡す公任だが、せめて顔だけでも見せてほしいと涙ながらに懇願する伊周を拒むことができず、ため息をつき「わかった。別れを告げてまいれ」と面会を許可する。なぜ、公任は許したのか? 町田はこう解釈する。
「政権争いで会ったりとか上り詰めていくぞみたいなところから、今はシフトチェンジしていて完全に変わっているかどうかっていうのは、そこはまだやっぱり残っているものはあると思うんですけど、そこから対、人として道長であったり斉信であったり行成であったり、そのほかいろんな方と関わって、文芸とか管弦であったりとか、そっち方面がやっぱり自分的にはすごく興味があるからそっちに進んでいこうみたいな。たぶんそういう頭になっている中、公任からすると、そういう振る舞いはいかがであろうか、みたいなところが多かった伊周があれだけ弱っていて、身なりもあれだけすさんだ姿になっていてっていうところを見て、すごく本心から母にただただ会いたいと。「そうだ。この人は若くして役職を得て精神的なところが大人になる前にそういう立場になってしまったりもしたから本当にちょっと悲しい人なんだな」っていう。「まだ子どもなんだな中は」っていうのが見えましたし、公任の中では父との関係っていうのも自分の中でもたぶんあるだろうなと思うので」
第19回では右大臣となった道長、公任、斉信(金田哲)、行成(渡辺大知)の4人で酒を酌み交わす場面があり、公任が除目を前に「ずっと参議のままでよい」との発言で驚かせる一幕があった。「俺は今のままずっと参議でよい。父が関白であった頃は関白にならねばならぬと思っておったが、今はどうでもよい」と話していたが、町田は伊周にかつての自身を重ねた部分もあるのではないかと話す。
「昔、自分もエリート街道を絶対のぼっていくだろうと思っていたころの公任の姿とも多分重なる部分が伊周を見ていてあったんだろうなと思って。そこでなんとか自分が道長の代わりに伊周に伝えるべきことを伝えてっていうところだったんですけど、普通だったら規則違反はそんなに好きではない人だと思うんですけれど、そういうところではなくて人として何か手を差し伸べてあげたい、寄り添いたいなっていう思いが公任の中では強まったんじゃないかな、と思いました。葛藤ももちろんあるし、でもそういう温情的なところはやっぱりあふれてしまったんじゃないかなと思います」
第19回では「この先は漢詩や和歌、読書や管弦を楽しみながら生きていきたい」とも話し、出世コースからは距離を置く意志を示唆していた公任だが果たして……。(編集部・石井百合子)