『インサイド・ヘッド2』興収240億円超で首位デビュー!今年最高の出足
全米ボックスオフィス考
先週末(6月14日~6月16日)の全米ボックスオフィスランキングが発表され、ディズニー&ピクサー最新作『インサイド・ヘッド2』が興行収入1億5,500万ドル(約240億円)で断トツの首位デビューを果たした。(数字は Box Office Mojo 調べの速報値、1ドル155円計算)
『インサイド・ヘッド2』は3月公開の『デューン 砂の惑星PART2』(オープニング興収8,250万5,391ドル・約128億円)を大幅に上回り、今年最高のオープニング興収を記録した。また、オープニング興収の1億ドル超えは、昨年7月の『バービー』(オープニング興収1億6,202万2,044ドル・約251億円)以来となる。
アニメーション映画としては、ピクサーの2018年発表作『インクレディブル・ファミリー』(オープニング興収1億8,268万7,905ドル・約283億円)に次いで歴代2位。世界オープニング興収は2億9,500万ドル(約457億円)で、米ディズニーの発表によるとアニメーション映画として歴代最高の成績だという。なお、同作は日本、中国、フランスなど主要な海外マーケットでの公開を残しており、そんな中でのこの好成績となる。
アメリカの大手映画批評サイト「ロッテントマト」でも批評家92%、観客96%と圧倒的な支持を得ており(前作『インサイド・ヘッド』は批評家98%、観客89%)、夏の大作として息の長い興行を続けることになりそうだ。なお、前作『インサイド・ヘッド』のオープニング興収は9,044万272ドル(約140億円)で、最終的な世界興収は8億5,885万2,998ドル(約1,331億円)だった。それだけに、続編の世界興収10億ドル(約1,550億円)超えにも期待がかかっている。
近年、苦戦を強いられていたピクサー。新型コロナウイルスで映画館が閉鎖となる直前に公開された『2分の1の魔法』は思うような成績を上げられず、コロナ禍の『ソウルフル・ワールド』『あの夏のルカ』『私ときどきレッサーパンダ』はDisney+(ディズニープラス)での配信、そしてコロナ明けの『バズ・ライトイヤー』が興行的な失敗に終わり、『マイ・エレメント』は最終的な世界興収は健闘したものの、国内でのオープニング興収の低さが話題になった。今年5月にはレイオフ(企業の業績悪化を理由とする従業員の解雇)も行われている。
ピクサーのチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)であるピート・ドクターはすでにピクサーがコストダウンに取り組んでいることを明かし、同社の今後は『インサイド・ヘッド2』の成績にかかっているとTimeに語っていた。
「もし本作が劇場公開でうまくいかなければ、このビジネスのやり方について、もっと抜本的に考え直さなくてはならなくなる。これまで、ピクサーは巨額の製作費を前提にビジネスを構築してきた。それがわれわれにミスをすることやリスクを取ることを許し、うまくいかない時は一旦戻って修正することを可能にしていた。本当に安く作りたいのなら、アイデアを考え、作ることはできる。だが、それを良いものにしたいのなら、たくさんの変更と反復作業が必要になり、それこそがこれまでわれわれができていたこと。もし興行収入や経済がこのやり方をサポートしてくれないのならば、さらに大きな転換をしなくてはならない」。それだけに、この結果には胸をなで下ろしていることだろう。
『インサイド・ヘッド2』は、11歳の少女ライリーの頭の中の感情たち(ヨロコビ、カナシミ、ムカムカ、ビビリ、イカリ)を描き、第88回アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞した『インサイド・ヘッド』の続編。思春期を迎えたライリーの頭の中にシンパイ、イイナー、ダリィ、ハズカシという新たな感情が到来し、大騒動を繰り広げる。(編集部・市川遥)
6月14日~6月16日の全米ボックスオフィスラキングは以下の通り。()は先週の順位。
1(初)『インサイド・ヘッド2』
2(1)『バッドボーイズ RIDE OR DIE』
3(5)『猿の惑星/キングダム』
4(2)『ねこのガーフィールド』
5(4)『ザ・ウォッチャーズ』
6(3)『ブルー きみは大丈夫』
7(6)『マッドマックス:フュリオサ』
8(7)『フォールガイ』
9(10)『ザ・ストレンジャーズ:チャプター 1(原題) / The Strangers: Chapter 1』
10(8・再上映)『ロード・オブ・ザ・リング』