綾野剛、Netflix「地面師たち」で数十テイク 「最後僕しか立っていない状況に…」
俳優の綾野剛が4日、Netflixシリーズ「地面師たち」(7月25日より世界独占配信)の完成報告会に豊川悦司、北村一輝、小池栄子、ピエール瀧、大根仁監督と共に登壇。綾野は、日本を代表する俳優たちが何十テイクも重ねるなか、その魅力を凝縮した作品になっていることに「興奮しました」とクオリティーに自信をのぞかせた。
本作は、実在の事件に着想を得た新庄耕の小説「地面師たち」を、ドラマ「モテキ」「エルピス-希望、あるいは災い-」などの大根監督が実写化するクライムサスペンス。不動産売買を餌に、巨額の金をだまし取る詐欺師集団「地面師」たちが100億円を賭けた前代未聞の詐欺に挑むさまを描く。
綾野は、作品の配信が近づいてきたことに「ようやく完成しました。感無量です」と笑顔を見せると周囲を見渡し、「自分にとって大先輩で、現場力や人間力がすごい方々が何テイクも重ねていくうちに、どんどん新しい一面が見えてくるんです。現場中にどんどんトチ狂っていくもののなかから抽出されたものが作品の魅力になっていった。とても興奮しています」と充実感をにじませる。
かなりのテイク数を重ねたという現場。司会者からの「北村さんは現場が辛かったとおっしゃっていたと聞きました」という振りに、北村は「誰がそんなこと言ったんですが。幸せな現場でしたよ」と否定するも「2回、3回、4回、10回、20回、30回、40回……結局何テイクやるんだろうって……」とぼやき節。すると綾野が「最初先輩が立っていたのですが、途中から一人ずつ椅子に座り始めて、最後僕しか立っていない状況になっていたことはありました。本当に何テイク撮るんだろうという気持ちもよぎりましたが、5人が集まった大切なシーンだったので丁寧に抽出されていたんだと思います」とフォローする。
北村が「年齢なのかもしれませんが、だいたい20テイクぐらいまで集中力は持つのですが、30テイクを超えると簡単なセリフすら出てこなくなる」と苦笑いを浮かべると、大根監督は「でもね、芝居とかセリフってその辺から面白くなってくるんですよ。麻痺し始めたころからやっと面白くなる」と持論を展開した。
大根監督の言葉に綾野は「何を言っているんですか」と笑いつつも「僕は全話を通して観て、ある種ポップさとユニークさのなかにジェントルさもあり、登場人物全員が狂っていくという前代未聞のシリーズが日本で誕生したと自負しております」と胸を張り、「覗いてはいけないものをみんなでしっかりと見つめ切って、エンタメとして昇華したこの作品を皆さんに受け取っていただけたら幸いです」と力強いメッセージを送った。(磯部正和)