櫻坂46・藤吉夏鈴、初主演映画で涙の舞台あいさつ 監督からの手紙「戦友です」
アイドルグループ・櫻坂46の藤吉夏鈴が11日、グランドシネマサンシャイン池袋で行われた映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』の完成披露先行上映舞台あいさつに、高石あかり(「高」は「はしごだか」)、久間田琳加、中井友望、綱啓永、高嶋政宏らとともに出席、サプライズで小林啓一監督からの心のこもった手紙が送られて、思わず涙ぐむひと幕もあった。
【画像】櫻坂46・藤吉夏鈴、監督の手紙に涙も『新米記者トロッ子』舞台あいさつ
本作は、私立高校の新聞部を舞台に、はみ出し者の新聞部員たちが、学園の抱える闇を暴いていくドラマ。日本大学藝術学部・映画学科に在籍していた宮川彰太郎が課題で制作した企画書を原案に、『殺さない彼と死なない彼女』などの小林啓一が監督を、『アストラル・アブノーマル鈴木さん』などの大野大輔が脚本を手掛けた。
藤吉が演じるのは、ひょんなことから新聞部に入部することになる、文学オタクな高校一年生・所結衣。映画初出演にして初主演となった藤吉は「映画初主演ですし、こういうイベントも始めてなので。今はすごく変な感じです。普段は櫻坂46というグループで活動をしていて、あまりこういう機会がないので。すごくうれしいです」とあいさつ。撮影初日を「新しいことばかりで、すごく難しいなと思ったんですけど、とても新鮮で楽しかったです」と振り返る。
そんな藤吉との共演について、高石も久間田も「かわいかった」と笑顔。高石が「わたしが印象的だったのは藤吉さんの目。アーティストをされている時の映像を見て、すてきな目をされているなと思ったんですけど、(藤吉が演じる)所結衣になった時に、また違った目になって。ふと目が合う時に、通じ合っているという感じがするような、不思議な目をされていて。すごいなと思っていたら、監督とも目の話をされていたそうで」と語ると、藤吉は「そうなんです」とうなずく。
さらに藤吉は「わたし、目に光が入ってこなくて。暗いというか、黒いんですよ。監督から、人は熱量を持って話す時に、目に光が入ると言われて。『目に光が入るってどういうことだろう?』と思ったんですけど、ずっと目を意識してお芝居をしていると、モニターを見たときに目に光が入っている瞬間があって。それははじめてのことなので、ビックリしました」と付け加え、本作の撮影を通じて、新たな自分を発見したようだ。
この日は仕事の都合で不在だった小林監督だが、登壇者たちに内緒で監督からの手紙が送られることに。そこには、藤吉がはじめて会うタイプの俳優なので、どう演出したらいいのか。下手に演出すると個性をつぶしてしまうのではないか……と考えたことなど、正直な思いがつづられていたが、リハーサルや本読みを重ねていくうちに藤吉のポテンシャルに気づいた小林監督は、責任と覚悟を持って演出をしようと決意。そのため、語気や目線、テンポなどをかなり細かく指摘したという。
「主役という重圧や、慣れていない環境でかなり不安だったと思いますが、藤吉さんは、要求にひとつひとつ真剣に答えてくれました。決して器用なタイプではないと思いますし、つらかったと思います」と藤吉を手紙でねぎらった小林監督。その甲斐あって「藤吉さんの頑張りで、唯一無二の主人公像ができあがりました。一見、演技なのか、素なのかわからない、奇跡的な演技は偶然生まれたのではなく、藤吉さんの努力の結晶です。すべて計算された演技です。すごいことだと思います」と称賛。「藤吉さんとご一緒できて本当に良かった。僕にとって藤吉さんは戦友です。役者・藤吉夏鈴の今後が本当に楽しみです。本当に、本当にありがとうございました」と感謝の思いがつづられていた。
その手紙の言葉を聞くうちに涙があふれ「今日は泣く予定じゃなかったのに……」と語った藤吉。そして言葉を詰まらせながら、それでも振り絞るように「この映画を作っているときは、暗い部屋の中にいるような感覚になることが何度もありました。でも監督と皆さんと、ひとつの作品を作ることができて、今振り返ると、すごく幸せでしたし、完成した作品を観た時にいとおしかったです……」と語り、「監督に会いたいです」と感謝の思いを付け加えた。(取材・文:壬生智裕)
映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』は8月9日より全国公開