「カクレンジャー」30年ぶり正統続編、真のテーマは“継承” 小川輝晃&広瀬仁美が語る忍者戦隊の未来【ネタバレあり】
東映特撮ファンクラブ(TTFC)で配信されている、「忍者戦隊カクレンジャー」(1994~1995)の30年ぶりとなる正統続編「忍者戦隊カクレンジャー 第三部・中年奮闘編」。キャストが一から企画を練って誕生した同作には、カクレンジャーを後世へとつなげたい、5人の思いが込められている。オリジナルキャストの小川輝晃(サスケ/ニンジャレッド役)と広瀬仁美(鶴姫/ニンジャホワイト役)がインタビューに応じ、作品のテーマやカクレンジャーの未来について語った。(以下、本編のネタバレを含みます)
【動画】「忍者戦隊カクレンジャー 第三部・中年奮闘編」予告編
30周年を迎えた「忍者戦隊カクレンジャー」は、妖怪封印の旅へと繰り出す5人の忍者たち(鶴姫、サスケ、セイカイ、サイゾウ、ジライヤ)の活躍を描いたスーパー戦隊シリーズ第18作。全53話のテレビシリーズは、第1話から第24話を「第一部」、第25話から最終話(第53話)までを「第二部・青春激闘編」とする二部構成のストーリー展開が特徴で、新作は「第三部・中年奮闘編」と銘打ち、テレビシリーズ“第54話”ともいえる物語がつづられた。
忍者の末裔であるカクレンジャーは、24代目リーダーの鶴姫を筆頭に、妖怪封印の旅を続けてきた。テレビシリーズから30年、そんな5人も気がつけばアラフィフに突入。「第三部・中年奮闘編」の企画は、4~50代の5人が次の世代にカクレンジャーを継承することを目的として始動したという。
「カクレンジャーの設定として、代々続く忍者の家系があり、24代目リーダーも先祖から受け継いだものです。この作品は、カクレンジャーを25代目に引き継いで終わるべきだというところから始まっています。僕たちはもういい歳なので『次に託そうよ』という気持ちです」(小川)
25代目カクレンジャーを誰に継承するべきか? 各キャラクターたちの人生を熟考した結果、鶴姫の児童養護施設で育ち、5人と良好な関係を築く吾郎(大森元貴)が選ばれた。「大森くんに吾郎役としてお声がけして、『僕たちとしては(カクレンジャーを)譲りたいんです』という話をさせていただきました」と小川は明かす。
人気バンド「Mrs. GREEN APPLE」のボーカル&ギターを担当する大森は、本格的なドラマ出演は今回が初となった。広瀬は「今までお芝居したことがないと本人も言っていたのですが、撮影が始まったら『え、そうなの?』と思うくらい、違和感がなかったです」と大森の演技力の高さを絶賛する。
Mrs. GREEN APPLE のライブに行ったという小川も、「ステージ上で何万人ものファンを魅了する大森くんの姿に驚きました。撮影現場で『緊張します』と話していたのですが、演技をすれば、大森くんでなく吾郎になるんです」と舌を巻き、「大森くんの演技は完成度が高くて、僕たちもそれに後押しされていました」と感謝していた。
最後は5人が猫丸クレープに集まり、鶴姫が25代目カクレンジャーのリーダーに吾郎を指名して物語は幕を閉じた。広瀬は「サイゾウはこれから先も猫丸クレープで頑張って、ジライヤはまたアメリカに行くんだと、自分の中で(5人のその後が)イメージできるんです」とカクレンジャーの未来を思い浮かべる。
エンディングダンス後には、封印の扉が赤く光る意味深なカットが映し出される。小川は「封印の扉が光っているということは、25代目が何とかしてくれるんじゃないかと、僕たちも期待しています」と語り、「本当に『忍者戦隊カクレンジャー シーズン2』が実現してもいいんじゃないかと思っています。大森くんを主人公に、僕たちもたまに出演して、茶々を入れたりします(笑)」と想像を膨らませた。
忍者モチーフのスーパー戦隊の歴史は、「忍風戦隊ハリケンジャー」「手裏剣戦隊ニンニンジャー」と現在も続いている。エンディングダンスでは、「ハリケンジャー」から長澤奈央(野乃七海/ハリケンブルー役)と山本康平(尾藤吼太/ハリケンイエロー役)、「ニンニンジャー」から多和田任益(キンジ・タキガワ/スターニンジャー役)が友情出演し、カクレンジャーの5人と共にダンスを披露した。
後輩忍者たちの出演に、二人は「本当にうれしかった」と笑顔を見せる。「短いシーンのために、ダンスを覚えて一緒に踊ってくれて……。私たちは何回も失敗しているけど、彼らは一発OKだったんです」(広瀬)
「スターニンジャーの多和田くんは、エンディングダンスの振り付けアレンジと指導を担当しています。康平くんはメイキングを撮影して、長澤さんは『私もぜひ!』とダンスに参加してくれました。後輩たちが作品をまたいで参加してくれることは滅多にないことなので、本当に嬉しかったです。たくさんの方が踊ってくれて、エンディングがグッと締まった感じがします」(小川)
カクレンジャーの現在と未来を映し出した正統続編。広瀬は「2回観て満足する作品ではありません」と見どころが山ほどあると明かし、「自分の推しキャラクター以外の目線で作品を観ると、さらにおもしろくなります。それぞれがいいキャラを出しているので、隅々まで観ていただきたいです」とアピールする。
一方の小川は、「康平くんが登場するのはエンディングダンスだけと思っている人が多いと思うので、ぜひ(エンディング以外で)康平くんを探してみてください。どこにいるのかは内緒です!(笑)」と笑顔。「また、エンディングダンスでは1人だけ振りを間違えているので、よく見ていただくと面白いです。すごく真面目な顔をして『ちくしょう!』と悔しがっているので、そこを発見していただけるともっと楽しいはずです」と締めくくっていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
「忍者戦隊カクレンジャー 第三部・中年奮闘編」は東映特撮ファンクラブ(TTFC)にて配信中