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『ジョーカー2』トッド・フィリップス監督が言及する犯罪のエンタメ化 本作がアニメで始まる意味とは

どんな続編になっているのか? 『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』より
どんな続編になっているのか? 『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』より - (C) & TM DC (C) 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

 第76回ベネチア国際映画祭において、アメコミ映画初の金獅子賞に輝く快挙を成し遂げたDC映画『ジョーカー』(2019)。その続編となる『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』(10月11日全国公開)を引っ提げて、再びベネチア映画祭に参加したトッド・フィリップス監督が、日本向けの合同会見に出席した。

【動画】レディー・ガガが踊り狂う『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』予告編

巨大な成功のプレッシャー

 大都市ゴッサムの片隅で生きるコメディアン志望の主人公アーサー・フレックが、社会の狭間でもがくうちにジョーカーへと変貌していった前作。愛を知らない男をめぐる喜劇のような悲劇は、主演を務めたホアキン・フェニックスの演技と共に絶賛され、世界中で大ヒットを記録した。

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 フィリップス監督は、大勢の期待を背負った続編について「前作の成功によって、これまでと異なるレベルのプレッシャーがあったのは確かです。それは決して楽しいものではなかったですね。1作目は期待以上の大成功を収めましたが、作っている時は誰にも知られず、ある意味でひっそりと撮ることができました。しかし今回は、皆が期待して、何が起きているのか知りたがっている状況で撮ることになったので、そこは戦々恐々としていました」と告白する。

 そんな本作についてフィリップス監督は、ワーナーの人気アニメ「ルーニー・テューンズ」にインスパイアされたアニメーションで幕を開けると明かしている。世間の前作への反響を皮肉ったようにも思えるが「いいえ、そういうわけではないんです」と否定。そのうえで「エンターテインメントの腐敗を表現しているつもりです。少なくともアメリカにおいては、どんなひどい凶悪事件や刑事裁判も、メディアによってテレビ映画といった形でエンタメになってしまう。だからジョーカーのような凶悪犯であっても、こうしたカートゥーンになってしまったりするんだという状況を描いています」と語った。

熱望したホアキンとの再タッグ

 フィリップス監督が、プレッシャーを抱えながら続編に取り組んだ大きな理由は、アーサーを演じたホアキンの存在だったという。「普通は映画が完成すると、へとへとに疲れ切って、もう次はいいやという気分になるのですが、『ジョーカー』はホアキンとの仕事が本当に楽しく、彼が演じたアーサーのことも気に入っていたので、もっと掘り下げてみたかった……と思ったんです」。

 「ホアキンは、現役の俳優のなかでもベストな存在だと思っています。二番煎じのようなパフォーマンスはしないし、これほど試行錯誤しながら役に一生懸命向き合う役者をほかに知りません。『ジョーカー』における彼とのコラボレーションは本当に素晴らしいものでした。そしてだからこそ、続編を作りたかった。ホアキンとまた組めると思ったら、やらないわけにはいきませんよね」

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 前作で罪を犯したアーサーは、収容施設アーカムで謎の女性“リー”(レディー・ガガ)と出会ったことで真実の愛を知り、自身の内にあった音楽と出会う。続編のストーリーについて監督は「ホアキンとよく話していたのが、1作目からアーサーの中には音楽が存在しているということでした。前回では、それがダンスという形で肉体的に表現されていたわけですが、今回は花が咲くように歌として表に出てくる。本作では、体の内に音楽のある人が愛にめぐりあうと、こうして花開くのだということを本作では見せているつもりなんです」

 歌唱シーンが重要なパートを担う本作では、リーを演じたガガの存在も重要だった。「もちろんガガは、歌手としても俳優としても素晴らしい存在であることは知っています。ただ、ビッグスターであるがゆえに、リーの心の弱さを表現できるか心配していました。しかし、実際にリーの抱える弱さを見せてくれたことには心から感心しましたね。本当に彼女は繊細な心の持ち主なんだと思います」

 予告編でも描かれているように、アーサーとリーによる歌唱シーンも注目の本作。どんな歌が使用されているのかも見どころとなりそうだが、フィリップス監督は、最も気に入っている楽曲として「もし一つ選ぶならば、アーサーが『For Once in My Life』を歌う場面でしょうか」と明かす。「とても生々しくて、彼が何かを切望している感覚が出ていると思います。そこにはとてもイノセンスなものがある。(フランク・)シナトラが歌うと、ちょっと何かを切望しているようには思えない部分があるのですが、アーサーが歌うと、心からそう信じながら歌っていると感じられるので気に入っているんです」(編集部・入倉功一)

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