この世を去った『ハリー・ポッター』マクゴナガル先生役マギー・スミス、病気と闘い続けた人生
映画『ハリー・ポッター』シリーズのマクゴナガル先生役などで知られたマギー・スミスさんが、現地時間9月27日に89歳で亡くなった。死因は明かされていないが、息子たちによると、病院で安らかに息を引き取ったという。数々の名演を人々の記憶に残したマギーさんだが、70年にわたるキャリアは病気との闘いの日々でもあった。
甲状腺ホルモンを過剰に産生する自己免疫疾患であるバセドウ病だと診断されたのは、主演舞台「レティスとラベッジ」の上演が始まったばかりの1988年のことだ。The New York Times によると、不屈の精神と投薬で1年の契約を全うしたが(欠席は1公演のみ)、眼球が飛び出し目の周りが腫れる甲状腺眼症はよくならなかったという。上演終了後は1年間演技から離れ、放射線治療や目の周りの腫れと形を治す手術を受けた。
シリーズ第6弾『ハリー・ポッターと謎のプリンス』(2008)の撮影中には乳がんと診断され、2年にわたるつらい化学療法と放射線治療に耐えたマギーさん。同作の撮影中は髪が全て抜けた状態だった。2009年にはそれでも何とかシリーズを完走するつもりだとし、「わたしがこの年齢だったことにほっとしている。なぜなら、いずれにせよもう終わりって感じだから。だからこそ、若い人たちがあの治療を受けているのを見るのが嫌いだった。あれには耐えられなかった。(若くしてそんな経験をしないといけないなんて)フェアじゃないと思えたから」と The Times に語っていた。
2016年には人工股関節置換術を受けたほか、緑内障により片目の視力を失っていた。それでも近年も『クリスマスとよばれた男の子』(2021)、『ダウントン・アビー/新たなる時代へ』(2022)などに出演し、生涯現役だった。(編集部・市川遥)