『室井慎次 生き続ける者』が“最後の室井慎次”に 亀山Pが断言「柳葉敏郎を解放してあげたかった」
映画『室井慎次 生き続ける者』のマスコミ試写会(未完成版)と緊急特別捜査会議(記者会見)が30日、東宝試写室にて行われ、プロデューサーの亀山千広と製作総指揮の臼井裕詞(フジテレビジョン ドラマ・映画制作局長)が出席。亀山プロデューサーは、本作が「最後の室井慎次」になることを断言した。
11月8日からの先行上映に向けて、現在仕上げ段階に入っているという本作。亀山プロデューサーは、「本当は試写をやるつもりはなかったんですけれども、記者のみなさんにご覧にいただきたいと思いまして、 完成版ではありませんが、一応出来上がっている状態のものをお見せ致しました」とあいさつ。「ご覧になった通り、最後の室井慎次の姿だと思います」と続け、「踊るプロジェクト」再始動の裏側や、ドラマ「踊る大捜査線」(1997)から室井慎次と向き合ってきた主演の柳葉敏郎に対する熱い思いを、40分以上かけて打ち明けた。
「踊るプロジェクト」12年ぶりの新作映画となった本作には、亀山プロデューサーを筆頭に、本広克行(監督)、君塚良一(脚本)とレジェンドスタッフが再集結した。本作で室井を描くことについて、「君塚さんが室井を描きたい理由として『柳葉さんを室井から解放してあげたいという思いが強かった』です」とそのきっかけを明かす。
「柳葉さんが(27年間)スーツを着た役、反社の役、 強烈な犯人役を一切お断りしていたっていうのは、僕も聞いていまして。時代劇や気のいい親父さんを演じるにあたって『室井を払拭したい』という思いで受けていることを聞いて、そろそろ柳葉さんを解放してあげなきゃいけないと思い、(君塚さんと)2人で相談し始めました」
当初はBSドラマでの展開を想定していたそうだが、「劇場でお客さんを楽しませてきた輝かしい歴史を持つ『踊る』シリーズが、劇場以外で出ていくことは、正直僕の中であまり考えられなかった」と臼井氏。「最後の映画から12年の期間が空いている中で、まずは待ち焦がれているお客さんに届けましょうということで、亀山さんに懇願して作っていただいた」と劇場映画に方向転換した理由を語った。
映画は『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』の2部作連続で公開されることになった。「最後の室井慎次」として作品を届けるためには、「本当は6時間ぐらいかけて(描きたかった)」と亀山プロデューサーは明かす。「実際に作ったプロットがおよそ5時間分ぐらいあったので、2時間x2本分の映画にしたい、できれば1か月を待たずして公開してもらえないだろうかと頼みました」
一般公開に向けて、臼井氏は「正義を貫く男の話として、魂が込められた作品になっていると思います 1997年のテレビ放送時から始まり、室井慎次という大事なキャラクターがこの作品をもって最後ということなので、熱烈なファンを含めて、最後の室井をぜひ劇場で受け止めてほしいと思います」とアピール。
亀山プロデューサーは「感謝というものは、言葉にするのは簡単ですが、表現するとなると難しい。それを映像化するとどうなるんだろうっていう映画が今回の2本です」と室井や柳葉に対する感謝の気持ちを注いだと打ち明け、「(映画を観て)何かあたたかくなるものや、胸にくるものがあれば、それは観客に伝わったのかなと僕らは思っています。少しでもお客さんにサプライズを劇場で与えられるように、仕上げをしております。11月8日が待ち遠しいです」と期待を寄せていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
『室井慎次 敗れざる者』全国公開中
『室井慎次 生き続ける者』11月15日(金)全国公開