『室町無頼』初週ヒット!衝撃の面白さSNSで話題
大泉洋が日本史上、室町時代に初めて武士階級で一揆を起こしたという記録を歴史に残した男・蓮田兵衛(はすだ・ひょうえ)役で主演を務める映画『室町無頼』(公開中)。先行上映を含めた累計成績は観客動員12万人、興行収入1億8,000万円を突破。SNSでは主演の大泉をはじめ各キャストの演技や神業連発のアクションシーン、名もなき人々が立ち上がる胸アツのストーリーにドはまりする声でにぎわっている。
本作は、直木賞受賞作家・垣根涼介の小説を、『22年目の告白-私が殺人犯です-』『あんのこと』などの入江悠監督が実写化。大飢饉(ききん)と疫病により荒廃した室町時代の京都を舞台に、混迷の世を顧みようとしない権力に立ち向かう無頼たちの闘いを、京都撮影所のベテランスタッフの力を得て活写する。1月17日より公開された本作は、初日から3日間で観客動員11万2,996人、興行収入1億5,401万6,180円を記録。1月10日からのIMAX先行上映を含めた累計成績は、12万5,708人 1億8,084万2,740円をあげている。
近年では大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(2022)の“嫌われ役”源頼朝がはまり役となった大泉が、本作ではトボけた味わいを封印し、室町時代のアンチヒーローに。演じる兵衛は、己の腕と才覚だけで混沌の世を泳ぐ自由人。弱者の味方でありながら、無用と思えば関所に火をかけ役人も平然と斬り殺すドライな一面も。何を考えているのかわからない怖さがありながら、自ずと人が集まる異色のヒーローだ。また兵衛が剣の達人という設定とあって、大泉が本格的な殺陣、アクションに挑んでいることも話題だが、刀を家に持ち帰り自主練するほどの熱意が結実し「ただただ大泉さんがカッコいい映画」「大泉さんの魅力を存分に引き出す役だった」「洋ちゃんが最初から最後までカッコよかった」「大泉洋史上最高にかっこいい」とその勇姿に圧倒される観客が続出している。
そして、兵衛の弟子的な存在となるのが、長尾謙杜(なにわ男子)演じる天涯孤独の才蔵。ステージ上でのキラキラした姿からは想像できない化けっぷりにド肝を抜かれる人が多く、初めは「誰なのかわからなかった」という声も。アクションでは棒術に挑み、クランクイン前にはどこに行くにも短めの棒を持ち歩き、撮影時も六尺棒を手になじませて「棒は友だち」という感覚を体験したという。修行シーンで、不安定な木の板の上で棒を振り、琵琶湖に落ちる場面も代役ナシで挑戦。なかでも、多勢を相手にしながら屋根を超えていくクライマックスのアクションは圧巻。離れ業の連続に「想像以上にすごかったな長尾くん」「長尾くんじゃなくて才蔵だった!」「圧巻のアクションに終始惹き込まれた」と評判はうなぎのぼりで、兵衛との師弟関係には「『ベスト・キッド』を思わせる」との声が寄せられている。
SNS上の声で目立つのは「●●目当てで観に行ったけど~」というもの。兵衛と対峙する悪党一味の首領・骨皮道賢役の堤真一のほか、柄本明、三宅弘城、遠藤雄弥、前野朋哉、阿見201、般若、武田梨奈ら脇役も躍動。各「推し」に対するリアクションに加えて、「殺陣が凄すぎる」「一揆のシーンは圧巻」「アクションシーンが全員すごい」「ある意味、皆が主役の映画」「ストーリーも痛快かつテンポがいいので見てて飽きない」など、多くの観客が想像を超える何かを持ち帰っているのが特徴で、「日本版レミゼ」「仁義なき戦い・時代劇編」との見方も。
名もなき人々が立ち上がるストーリーについて、主演の大泉は「今の時代、何をしても変わらないのではないかという諦めムードのようなものもある。自分たちが動いて『時代を変えなければいけなんだ』と立ち上がる人たちから、勇気をもらえるような映画」とコメントを寄せていたが、「何十年後かに起こり得そうな日本を観ているよう」「世界を変えるのは人の力」と我が事のように感じる感想も多い。
餓死者や浮浪者であふれる荒廃した室町時代は、まるでタイムスリップしたかのような臨場感。撮影時には合計600キロにも及ぶ「はったい粉」というオオムギの玄穀を焙煎した上で挽いた粉を送風機で吹き続け、砂塵の舞う光景を表現。延べ人数5000人にも及ぶエキストラを含め、体や顔、歯や着物まで泥や黒ずみなど“汚し”を加えたヘアメイクなど、ディテールも見もので「スクリーンで観てこそ」という声が声高に叫ばれている。(石川友里恵)