声優・櫻井孝宏、杉良太郎の声の演技に感銘 親鸞役は自然体で「とにかく考えない」

俳優の杉良太郎と櫻井孝宏が1日、都内で行われたアニメーション映画『親鸞 人生の目的』の公開記念舞台あいさつに登壇し、本作のアフレコを振り返った。
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本作は親鸞の教えなどを解釈した高森顕徹の書籍をアニメーション化した『なぜ生きる -蓮如上人と吉崎炎上-』 (2016)、『歎異抄をひらく』(2019)に続くシリーズ第3弾。9歳で天台宗・比叡山への出家を決意して僧侶になった親鸞が、人生の目的を探し求めて厳しい仏道修行に身を投じる様を描く。杉は晩年の親鸞の声を、櫻井は青年期の親鸞の声を担当した。
オーディションを経て若き日の親鸞役を射止めたという櫻井は、歴史上の人物を演じることに対して「考えすぎると良くない。収録当日は身一つでいく、それくらい自然体で台本に向かい合おうと考えていました。とにかく考えない。その時その時の感情で演じていこうと思ったんです」と親鸞を演じる上での心持ちを明かす。
また櫻井は、アフレコを通じて感じた本作の印象と、完成した映画を観て受けた印象が違ったとも振り返り、「収録していた時は気づかなかったことに気づくという不思議な経験ができました。杉さんの声も、迫力、優しさ、肉声感が強くて、作品全体を包み込んでいる感じがしました」と杉の仕事、ナレーションにも感銘を受けたという。
杉は「役者生活が長いので、声だけだとどこか足りない気がして。初めての声優ということすら実はあまり理解していない……」と照れ笑いで今回の仕事を振り返り、80歳の親鸞の声を演じる上での葛藤も明かす。「今の80代の声は(昔より)若い。もうちょっと歳をとった声でもいいんじゃないかと、90代くらいの声を出そうと思っていたら、演出から『もうちょっと若くてもいいです』って(言われて)。これで本当にいいのかわからない」とポツリ。すかさず櫻井が「素晴らしかったです」と杉の仕事を絶賛すると、客席からも同意する拍手が起こった。
杉は「『人は苦しくともなぜ生きるのか』ということは、私が日頃から自問自答してきた言葉。親鸞だけでなく、私も言いたかった言葉でもある。(価値観を共にできる)親鸞の声に対してやりやすさはあった」としみじみ。また、親鸞の「煩悩を捨てられるか」「後生の一大事」といった言葉を紹介しつつ、「私は社会福祉活動をはじめて今年で66年になるんです。今はネットで人の悪口、自分は大したことないのに人のことを言うなんて風潮があります。私はあの世に行ってまで幸せになりたいとは思わない。生きている間に何をするか、いくつ幸せを手に入れられるか、今日のこの日を大事にすることを大切に生きています。だから人の悪口も言わない。そういうことをこの映画からぜひ読み取ってほしい」と呼びかけていた。(取材・文:名鹿祥史)
映画『親鸞 人生の目的』は全国公開中