【ネタバレ】「相棒23」不穏な最終回 “ラスボス”候補登場で高まる「次」への期待

ドラマ「相棒season23」(テレビ朝日系)の最終回スペシャル後篇(第19話)「怪物と聖剣~決戦」が12日に放送された。杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)の10シーズン目の活躍もこれが見納め。放送前から「今日で終わりかあ」「19話で終わりって早くない!?」「先週の話がどう決着するの?」と話題に。連続強盗事件から巨大な権力の利権につながり、怪しい人物が入り乱れる物語は「めちゃくちゃフラットにラスボス候補登場」「不穏だー」と期待をたっぷり含んで決着。薫の変装や特命係の一芝居、アクションや名セリフなど、キャラクター的にも見どころ満載な最終回だった。(以下、最終回スペシャル後篇の内容に触れています)
【画像】謎の男の正体は…第19話(最終回SP後篇)場面カット
連続強盗事件の実行犯らの遺体が発見された。すべて自殺にみせかけた殺人であり、鶏の入れ墨の男が彼らの上にいると見破る右京。犯人は億単位の利権を受けているグループの一員で、「荒っぽく大胆ですが、あまり頭はよくありません」と断言した。
都の税金の不正と利権を追求している都議・橋迫倫子(愛希れいか)が請求した文章は、巨大な利権がらみで黒塗りになっていたと告発した都庁職員・石田心(太田いず帆)が、自殺に見せかけて殺された。倫子へのバッシングが盛り上がる中、「嘘が本当みたいに広がって」と訴える娘のほまれ(山中七)に「真実は嘘より強いです」と右京は語る。

一方、都知事の一岡光(片桐仁)は派手なパフォーマンスで熱狂的な支持を得て、総理の椅子に近づきつつあった。内閣調査室は一岡の本質を見極めようとしており、官僚が最優先すべきは国益だと社美彌子(仲間由紀恵)は言う。
土師太(松嶋亮太)が一岡関係の動画から、鶏の入れ墨の男・木原健二(平山祐介)を発見した。「政治と裏社会のつながりは昔からあるが、その令和版って感じか」と角田課長(山西惇)。角田にも上から圧力がかかったようだが、「最近物忘れが多くてな。俺が覚えてる命令は匿流犯罪グループの撲滅だけだよ」「警察なめんじゃねえ…。徹底的にやれ」と特命係に命じる。
薫がホームレスに変装し、木原の部下・柴田拓(真丸)に接触。犯罪連絡用のスマホを入手した。柴田を確保し、右京いわくの「古典的手法」で取り調べる特命係。怖い刑事を装った右京は、乱暴な言葉と行動で柴田を追求する。優しい刑事にふんした薫は、木原のパワハラに言及し、同情を誘うように「あの人(右京)、ほら、何考えてるか全然わかんなくてさ、パワハラ酷かったから一度警察やめてんだよね」などと柴田をなだめ、木原の犯罪の証拠を引き出した。

「君も僕の事を酷い言い様でしたね。あれは本心ですか?」と言う右京に、「そんなわけないでしょ。そういう作戦でしょ?」と薫。「そうでしたね」と右京が答えるまでに少々の間があり、SNSでは「右京さん、ちょっと傷ついてる?」「チョイ拗ね右京さん」などと話題に。また「右京さんノリノリ」「右京さんの棒演技オモロい」「ちょっと本心混ざってたでしょ亀ちゃん」などと感想が飛び交っていた。
薫のパワフルな蹴りと右京の迫力の抑え込みなどの末、木原を捕獲した。木原はいさぎよく罪を認めるが、一岡との関係は黙秘。何らかの一岡の弱みを握っているようだ。
大河内首席監察官(神保悟志)から、薫いわく「上が勢ぞろい」の席に呼び出された特命係は、遺失物センターの窓口業務の任務を言い渡される。主犯格の逮捕で事件は終わったと言い張る衣笠副総監(杉本哲太)。一岡からの圧力があったようだ。

「最初から何もするなという命令は、警察という組織の存在理由を根底から破壊することになります」と右京。薫は「警察でも都庁でも犯罪者まで『上の命令』って都合よく使うんですよね。でも、上の意思があるなら、下の意思もあります」「自分で自分を奮い起こしてるんです、警察舐めるなって。その警察って組織を信じられなくなったら、俺ら下の人間は、どうしたらいいですか」と泣きそうな顔で訴えた。「名台詞!」「相棒の神髄かもしれない」と2人の言葉に感動が広がっている。
木原のSNSには、犯罪を匂わせる書き込みがいくつも見受けられ、「都庁にチキンを届けてきたよ」など一岡との接点を示唆するものもあった。監視という名目で特命係の部屋に同席し、バリバリとラムネをかみ砕いていた大河内に、右京は都庁の監視カメラのチェックを依頼する。大河内の力で都庁の警備データにアクセス、一岡と木原の接点が見つかった。「組織には上と下、その中間がある。中間には中間なりの思いが」と大河内。さらに木原のSNSでは、前知事を放火で殺したことも示唆されていた。
木原は一岡の悪事の証拠となる動画を、鶏の剥製の中に隠していた。一岡の本質は虚像と去勢であり、大事なことが闇の中で決められて真実が見えないときに人は虚像に飛びつくため、「ならば、光のもとで真実を提示すればいい」。右京は薫に語る。

街頭演説で絶大な声援を得る一岡は、「私は誰とでも対話する」とライブ配信をしていた。名乗りをあげた小出茉梨(森口瑤子)から特命係にバトンが渡され、2人は一岡の動画をライブ配信のコメント欄から世界に提示、その悪事を暴露した。
木原が勝手にやったことで、動画はディープフェイクだと言い張る一岡。薫が殴りかかろうとしたシーンが取り調べの録画に残っていると勝ち誇る一岡だったが、その動画が内調に匿名で送られたという。右京に不自然に近づいてきていた浦神鹿(毎熊克哉)に、「この件ではあなたがいちばんの上だと誰もが言います」と美彌子は一岡の扱いの処遇を聞く。総理は一岡を絶縁したいが、浦の意向を気にしているという。
一岡の弁護団は解散し、彼は見限られ、力のすべてを失った。動画をリークしたのは右京であり、それを一岡の支持勢力に見せて回ったのは美彌子だった。「公安調査庁の情報筋から」その情報を得たという右京に「おしゃべりな男」と美彌子。そもそも、匿流犯罪グループの捜査本部は美彌子の進言で設置されたものだった。事件関係者をあぶりだすために匿名で文章を関係各位に送付、予想外の被害に遭った倫子らを救うために特命係を引き入れたのだ。

怪物を倒したのは聖剣のおかげだという右京。薫をはじめとした現場の警察官たちの「ゆるぎなき正義の心。その力で怪物の頭を切り落とすことができました」と安堵する彼に、美彌子は新世代のフィクサーだという浦のデータを見せる。「世界が壊れるのを見て、あざ笑うような」嫌な予感がすると美彌子は語った。
「こてまり」でくつろぐ特命係と美和子のもとに、浦が訪れた。最近よく来るのだという。右京に「友だちです。友だちになったでしょ? これからたくさん、僕と遊んでください」と語る浦に、右京と薫の顔は難い。
倫子は都知事に立候補した。ほまれに「三銃士さんありがとう」とお礼を言われる捜査一課の伊丹憲一(川原和久)、芹沢慶二(山中崇史)、出雲麗音(篠原ゆき子)。「何かあればいつでも俺たちが駆け付けます」と薫もにこやかだ。

だが、桜並木を歩きながら、薫は漏らす。「なんか世界がどんどん壊れて行って、でも自分では何もできない。そんな気がするんですよね」。右京は「僕たちはやれることをやる。それだけです。それがきっと、希望につながります」と答えた。
「怖いフィクサーだなぁ…毎熊さん」「毎熊さんが最大のライバルになるの? 来シーズンに続くじゃん!」「厄介な気配がプンプンする」と、浦のこれからの登場に戦々恐々な意見が多数見受けられるも、それは「次期シーズンに向けて気を持たせるねぇ」「最後に若き悪役フィクサーの登場で、まだ物語は続くと」「不穏なラスボスを残しつつ来期の希望に期待しつつ、また半年待ってます!」とseason24への期待がこもったもの。「相棒面白かった!また秋に!」「半年待ってまーす!」と、SNSは「次」を待ち望む声で溢れていた。(文・早川あゆみ)