あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 (2023)：映画短評

俳優陣の熱演は素晴らしかった。女手一つで育ててくれる母親を「魚臭い」と軽蔑するほど嫌な子だったのに特攻隊と出会って性格が激変する福原遥、状況に1ミリも疑問を持たずまっすぐな目をした水上恒司、朗らかで優しい特攻隊の面々を演じた伊藤健太郎たちも熱演だったし、彼らがいい人に描かれるほどラスト近くの別れが盛り上がるのもよくわかる。それでも戦争や特攻が避けられない災厄のように表現されるのはどうかと思うし、戦中がいい人ばかりだったり、特攻隊が脱走も許される組織として描かれるのは美化されすぎだろう。福山雅治が「君を好きなまま飛び立つ僕はバカだね」と歌ったときはゾッとした。本作が戦争を知るきっかけになれば。