ちょっと気の早い!第91回アカデミー賞ノミネート予想【2019年版】
第91回アカデミー賞
気がつけば2018年も残り1か月。年が明ければすぐに、映画ファンお待ちかねのアカデミー賞シーズンがやってきます。来年1月22日(現地時間)のノミネーション発表まではまだ少しありますが、そろそろ作品の評判が聞こえてきたころ。今年もちょっと気が早いですが、必ずやオスカーに絡むであろう10作品をご紹介します。(編集部・中山雄一朗)
レディー・ガガ映画初主演!オスカー女優なるか
【監督】ブラッドリー・クーパー【キャスト】レディー・ガガ、ブラッドリー・クーパー、サム・エリオット【日本公開日】2018年12月21日【原題】A Star Is Born
あのレディー・ガガが映画初主演、『アメリカン・スナイパー』などの俳優ブラッドリー・クーパーが監督デビューを果たした。『スタア誕生』の3度目のリメイク作で、ガガはスター歌手に才能を見いだされ、スターダムへと上り詰める女性アリーを演じる。ブラッドリーはスター歌手のジャクソン役で出演もこなし、劇中でガガと共に歌声を聞かせるシーンも。ガガの演技、ブラッドリーの監督としての手腕は共に高く評価されている。
ガガはドラマ「アメリカン・ホラー・ストーリー:ホテル」で主演を務め、ゴールデン・グローブ賞テレビドラマ部門の女優賞(テレビ映画・ミニシリーズ)を受賞した実績もあり。このままいけば主演女優賞ノミネートはほぼ確実だろう。ブラッドリーは監督賞と主演男優賞のWノミネートも? ジャクソンの兄でマネージャーのボビーを演じたサム・エリオットも助演男優賞の有力候補だ。
トロント映画祭で観客賞!一気にオスカーレースに名乗り
『グリーンブック』
【監督】ピーター・ファレリー【キャスト】ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ【日本公開日】2019年3月1日【原題】Green Book
第43回トロント国際映画祭で最高賞にあたる観客賞を受賞し、一気にオスカーレースに名乗りを上げた。ここのところ同映画祭はアカデミー賞の前哨戦として大きな注目を浴びており、近年の受賞作は『スリー・ビルボード』『ラ・ラ・ランド』『ルーム』など賞レースをにぎわせたものばかり。メガホンを取ったのは『メリーに首ったけ』『愛しのローズマリー』など数々のコメディー映画を送り出してきたファレリー兄弟の兄ピーター・ファレリー監督。
1962年、差別が残るアメリカ南部でコンサートツアーを計画する黒人ジャズピアニストのドン・シャーリーと、彼に雇われたイタリア系の用心棒兼運転手トニー・リップが、黒人用旅行ガイド「グリーン・ブック」を頼りに旅を始めるバディムービーで、トニーに『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのヴィゴ・モーテンセン、ドンに『ムーンライト』でアカデミー賞助演男優賞に輝いたマハーシャラ・アリがふんした。
Netflix初、ベネチア金獅子賞!『ゼロ・グラビティ』監督の最新作
『ROMA/ローマ』
【監督】アルフォンソ・キュアロン【キャスト】ヤリッツァ・アパリシオ、マリーナ・デ・タビラ【日本公開日】2018年12月14日よりNetflixで配信【原題】Roma
『ゼロ・グラビティ』でアカデミー賞監督賞に輝いたメキシコ出身のアルフォンソ・キュアロン最新作。自身の体験も交えた自叙伝的なモノクロ作品で、1970年代のメキシコを舞台に激動の時代を生きた家族の物語が描かれる。
第75回ベネチア国際映画祭で、Netflix作品として初めて最高賞にあたる金獅子賞を受賞。第43回トロント国際映画祭では観客賞次点2位。アカデミー賞外国語映画賞のメキシコ代表にもなっている。
ベネチアで銀獅子賞&女優賞W受賞!ギリシアの鬼才が描く宮廷ドラマ
【監督】ヨルゴス・ランティモス【キャスト】オリヴィア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズ、ニコラス・ホルト、ジョー・アルウィン【日本公開日】2019年2月【原題】The Favourite
第75回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)と女優賞をW受賞した本作は、『ロブスター』などで知られるギリシアの鬼才ヨルゴス・ランティモスが監督を務め、18世紀初頭のイングランドを舞台にした宮廷ドラマ。気まぐれで病弱なアン女王をベネチアで女優賞に輝いた英女優オリヴィア・コールマン、貴族への返り咲きを狙う女官アビゲイルに『ラ・ラ・ランド』のエマ・ストーン、幼なじみとして女王の心と絶大な権力を握るレディ・サラに『ナイロビの蜂』のレイチェル・ワイズがふんする。
共にオスカー女優であるエマとレイチェルがそろって助演女優賞ノミネートの可能性もあり。『シェイプ・オブ・ウォーター』『スリー・ビルボード』など優れた映画を多く手掛けるFOXサーチライト・ピクチャーズ作品。
『ムーンライト』監督の最新作!若い二人の愛と信念の物語
【監督】バリー・ジェンキンズ【キャスト】キキ・レイン、ステファン・ジェームズ、レジーナ・キング、ディエゴ・ルナ【日本公開日】2019年2月22日【原題】If Beale Street Could Talk
前作『ムーンライト』が第89回アカデミー賞において8部門にノミネートされ、あの『ラ・ラ・ランド』を抑えて作品賞を受賞、計3冠に輝いたバリー・ジェンキンズ監督の最新作。ジェームズ・ボールドウィン氏の「ビール・ストリートに口あらば」を原作に、1970年代のニューヨーク・ハーレムに生きる若い二人の愛と信念の物語を、圧倒的な映像美と叙情的な音楽で描き出す。
トロント国際映画祭でお披露目されると観客賞次点1位を獲得。製作総指揮には『ムーンライト』に引き続き、自身の制作会社プランBエンターテインメントを率いるブラッド・ピットが名を連ねる。出演は、主役のカップルにオーディションで抜てきされた新人女優キキ・レインと『栄光のランナー/1936ベルリン』のステファン・ジェームズら。主人公を支える優しくも力強い母親を演じたレジーナ・キングは助演女優賞が有力視される。
『ラ・ラ・ランド』監督×ライアン・ゴズリングが再タッグ
『ファースト・マン』
【監督】デイミアン・チャゼル【キャスト】ライアン・ゴズリング、クレア・フォイ、ジェイソン・クラーク、カイル・チャンドラー【日本公開日】2019年2月8日【原題】First Man
『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督とライアン・ゴズリングが再タッグ。人類初の月面着陸に成功したアポロ11号の船長ニール・アームストロング(ライアン)の人生を描く。ニールの妻ジャネットには『ドラゴン・タトゥーの女』シリーズの最新作『蜘蛛の巣を払う女』でリスベット役に抜てきされたクレア・フォイ。『スポットライト 世紀のスクープ』でアカデミー賞脚本賞を受賞したジョシュ・シンガーが脚本を手掛けた。
チャゼル監督は『ラ・ラ・ランド』でアカデミー賞を獲得した撮影監督リヌス・サンドグレンとも再び手を組み、IMAXカメラ、35ミリ、16ミリカメラを駆使して、ニールの視点で撮影することに挑んだ。
カンヌでグランプリ!黒人刑事がKKKに潜入捜査した実話
【監督】スパイク・リー【キャスト】ジョン・デヴィッド・ワシントン、アダム・ドライヴァー【日本公開日】2019年3月【原題】BlacKkKlansman
1970年代に黒人刑事が過激な白人至上主義団体 KKK(クー・クラックス・クラン)に潜入捜査するという、大胆不敵な事件を克明につづったノンフィクション小説を、『マルコムX』の鬼才スパイク・リー監督が映画化。第71回カンヌ国際映画祭で『万引き家族』が受賞した最高賞パルムドールに次ぐグランプリに選ばれた。
主人公の黒人刑事ロンを演じるのは、『マルコムX』でその名を知らしめた名優デンゼル・ワシントンを父に持つ、ジョン・デヴィッド・ワシントン。ロンの相棒フィリップを新『スター・ウォーズ』シリーズのカイロ・レン役で知られるアダム・ドライヴァーが演じる。
ただのアメコミ映画じゃない!アメリカで歴代3位の大ヒット
『ブラックパンサー』
【監督】ライアン・クーグラー【キャスト】チャドウィック・ボーズマン、マイケル・B・ジョーダン、ルピタ・ニョンゴ、マーティン・フリーマン、フォレスト・ウィテカー【日本公開日】2018年3月1日【原題】Black Panther
黒人のヒーローが主人公となる初のマーベル映画。『クリード チャンプを継ぐ男』の黒人監督ライアン・クーグラーがメガホンを取り、主演のチャドウィック・ボーズマンをはじめ、キャストのほとんどが黒人俳優。スタイリッシュなアクションだけでなく、社会的なメッセージを持った内容も高く評価された。
アメリカ国内では興行収入7億ドルを突破し、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『アバター』に次ぐ歴代3位の大ヒットを記録。「オスカーは白人だらけ」と批判が集まったことも記憶に新しい中、本作の成功は歴史的意義があるといえ、作品賞ノミネートに期待がかかる。
これがクリスチャン・ベイル!? 激変ぶりが話題に
『バイス』
【監督】アダム・マッケイ【キャスト】クリスチャン・ベイル、エイミー・アダムス、スティーヴ・カレル、サム・ロックウェル【日本公開日】2019年4月【原題】Vice
ジョージ・W・ブッシュ政権で、アメリカ史上最も権力を持った副大統領ディック・チェイニーを描いた社会派エンターテインメント。クリスチャン・ベイル主演、アダム・マッケイ監督、ブラッド・ピット製作の『マネー・ショート 華麗なる大逆転』チームが再集結した。監督・脚本は同作で第88回アカデミー賞脚色賞を受賞し、世界からその手腕を認められたマッケイ。製作はブラピ率いるプランBエンターテインメントが手掛け、ブラピ本人がプロデュースする。
キャストはチェイニー副大統領役にベイル、チェイニーの妻役にエイミー・アダムス、ラムズフェルド国防長官役に『マネー・ショート~』などのスティーヴ・カレル、ブッシュ大統領役に『スリー・ビルボード』でアカデミー賞助演男優賞に輝いたサム・ロックウェルと実力派が勢ぞろい。これまで数々の作品で大幅な肉体改造を行ってきたベイルは本作でも体重を約20キロ増量したほか、髪をそり、眉毛を脱色するなど、これがクリスチャン・ベイル!? とその変ぼうぶりが早くも話題に。
『それでも夜は明ける』監督作!『ゴーン・ガール』原作者と共同脚本
『妻たちの落とし前』
【監督】スティーヴ・マックィーン【キャスト】ヴィオラ・デイヴィス、ミシェル・ロドリゲス、エリザベス・デビッキ、コリン・ファレル、ダニエル・カルーヤ、リーアム・ニーソン【日本公開日】2019年4月【原題】Widows
犯罪者の夫を亡くした女性たちが、犯罪チームを結成し運命に立ち向かうクライムサスペンス。1983年にイギリスで放送されたミニテレビシリーズ「ウィドウズ(原題) / Widows」を基に、アカデミー賞作品賞に輝いた『それでも夜は明ける』のスティーヴ・マックィーン監督が『ゴーン・ガール』の原作者ギリアン・フリンと共同脚本を手掛けた。
最愛の夫を亡くし悲しみに暮れるも、反撃に立ち上がる女性ヴェロニカにオスカー女優のヴィオラ・デイヴィス、女性犯罪チームのメンバーに『ワイルド・スピード』シリーズのミシェル・ロドリゲスら。ヴェロニカの夫にリーアム・ニーソンがふんするほか、コリン・ファレルや『ゲット・アウト』で注目されたダニエル・カルーヤなども出演する。