【第26回東京国際映画祭】コンペティション部門全15作品を紹介!
10月17日(木)~10月25日(金)に、開催される第26回東京国際映画祭。コンペティション部門ノミネート15作品のうち、日本からは深田晃司・榊英雄両監督作が候補に。「東京 サクラ グランプリ」を受賞するのはどの作品か?!
ナビゲーター山崎紘菜の「ここにグッときた♥」解説付き作品紹介
本映画祭で、俳優・斎藤工と共に映画祭ナビゲーターを務めるのは、第7回「東宝シンデレラ」で審査員特別賞を受賞した山崎紘菜! バイオハザードなどのアクション映画に憧れているという山崎が、なんと、コンペ作品全てにコメント! 19歳の視点で「ココにグッときた♥」ポイントを交えながら全作品を解説!
【製作国】スウェーデン
【監督】ルーカス・ムーディソン
【キャスト】ミーラ・バルクハンマル、ミーラ・グロシーン
【ストーリー】
1982年のストックホルムで、思春期特有の鬱屈(うっくつ)とした思いを抱えた12歳から13歳の女の子たちは、意を決してパンクバンドを結成することに。彼女たちはそれぞれ家庭の問題や悩みを抱えていたが、全てを忘れてバンド活動に打ち込むことにする。
【ここに注目】
初監督作『ショー・ミー・ラヴ』が、本国スウェーデンで『タイタニック』を超える大ヒットとなったルーカス・ムーディソン監督による青春ドラマ。1980年代のストックホルムを舞台に、パンクバンドを組んだ少女たちのクレイジーな日々を活写する。第59回ベルリン国際映画祭で『マンモス 世界最大のSNSを創った男』がグランプリの金熊賞にノミネートされるなど、話題の監督のアジアン・プレミア作品が、今回のコンペでどのような位置を獲得するかに熱い視線が集まる。
【ここにグッときた♥】
めっちゃくちゃかわいい映画です! パンクが大好きな中学生たちが、よーしやろうぜってなるんだけど、実際には何にもできないという(笑)。楽器を全然弾けないのに、好きっていう気持ちだけで突っ走っちゃうところが、青春って感じがしてたまらなかったですね!
【製作国】イラン
【監督】ベーナム・ベーザディ
【キャスト】アミル・ジャファリ、アシュカン・ハティビ
【ストーリー】
イランで意欲的に活動するアマチュア劇団は、さらなる飛躍を求めて海外公演への道を模索していた。シェヘラザードは劇団に所属し主役を演じていたが、頭の固い彼女の父親は娘の渡航に反対し、団員たちは窮地に立たされる。
【ここに注目】
1979年に起きたイラン革命の第3世代にあたる現代イランの若者たちが、親世代の古風な価値観や考え方に反発する姿を描く意欲作。アマチュア劇団員たちの姿を通して、世代間の物の見方の違いや、現代イラン社会が抱える問題点を浮き彫りにする。メガホンを取るのは、これまで短編やテレビ映画、ドキュメンタリーなどを多数手掛けてきた1972年生まれの俊英ベーナム・ベーザディ監督。イランの新世代監督が、ワールド・プレミアという晴れ舞台でどれだけの健闘を見せるのかが気になるところだ。
【ここにグッときた♥】
わたし自身、女優を目指して頑張っているので、懸命に演劇に打ち込んでいる劇団員たちの情熱的な姿にとても共感しました。海外公演に反対する親たちと、若い世代の劇団員たちが自分たちの夢のために衝突するシーンにはグッときました。
【製作国】アイスランド
【監督】ベネディクト・エルリングソン
【キャスト】イングヴァール・E・シーグルソン、シャーロッテ・ボーヴィング
【ストーリー】
とある田舎に共存する馬と人間の物語。愛と死、いろいろな出来事を織り交ぜ、時に馬の視点で人々の運命を映し出す。
【ここに注目】
馬と人間の織り成す生きざまをユーモラスに描く異色の作品。監督のベネディクト・エルリングソンは俳優であり、アイスランドでは著名な舞台演出家。映画監督としては本作が長編デビュー作。これまでには短編映画『サンクス(原題) / Thanks』『ザ・ネイル(原題) / The Nail』が、数々の国際映画祭で評価されている。出演は『ベオウルフ』のイングヴァール・E・シーグルソンほか。
【ここにグッときた♥】
馬の映画、というとわたしの頭に浮かんだのは『戦火の馬』だったんです。でもこの映画では、馬が当たり前のように人間の世界に存在していて、その自然な感じがとても新鮮でした。ひづめの音がとても心地よく聞こえたのはわたしだけ?
【製作国】中国
【監督】ニン・イン
【キャスト】ワン・ジンチュン、チェン・ウェイハン
【ストーリー】
中国の内モンゴル自治区オルドス市は、万里の長城と黄河に囲まれた高原にある。「大草原の探偵」と称えられた2011年5月14日、41歳の若さで逝去した公安局の局員。そんな彼の功績に迫る。
【ここに注目】
北京3部作『北京好日』『スケッチ・オブ・Peking』『アイ・ラブ・北京』で知られるニン・イン監督による、実在の人物をモデルにした骨太ドラマ。警官がつづった68冊の日記がその死後に発見され本国で話題に。警官人生17年で刑事事件約2,200件に携わり平和に貢献し、彼の名にちなんだ萬忠路という道もできた人物を描くため、監督が得意とするドキュメンタリースタイルではなく、本作では伝記ドラマとして見せていくようだ。
【ここにグッときた♥】
実在した警官の、新人警官時代から、亡くなる直前までが描かれているんですが、一人の男性の力強い生きざまに胸を打たれました。時代の移り変わりにも注目してほしいです。
【製作国】フィリピン
【監督】ジュン・ロブレス・ラナ
【キャスト】ユージン・ドミンゴ、エディ・ガルシア
【ストーリー】
1970年初頭のフィリピン、シエラマドレ山脈の麓の村。未亡人になったマリルは生前に夫が営んでいた理髪店を継ぐべく努力をするが、当時の女性の起業はまれだったため苦労が絶えない。さらに時の首相フェルディナンド・マルコスの独裁に対する反政府勢力の動向に巻き込まれていく……。
【ここに注目】
本作はジュン・ロブレス・ラナ監督の前作で第84回アカデミー賞外国語映画賞のフィリピン代表作『ブワカウ』に連なる3部作の第2章。保守的な風土の中で暮らす女性の視点を通して、タブーや価値観を映し出しながら女性の自立を描いている。その様相を体現する主演女優のユージン・ドミンゴは、フィリピン版『マンマ・ミーア!』とされる『アイ・ドゥ・ビドゥビドゥ』などに出演した、舞台女優からキャリアをスタートしたベテランだ。
【ここにグッときた♥】
強くてたくましいヒロインというよりも控えめで優しいヒロインが、けなげに一生懸命生きていく姿に感情移入して観てしまいました。女性が店を持つことすら難しかったこの時代のフィリピンのことも勉強したくなりました。
【製作国】韓国
【監督】イ・ジュヒョン
【キャスト】キム・ユミ、ソン・ビョンホ
【ストーリー】
韓国に派遣された北朝鮮の諜報(ちょうほう)員4人は、身元がバレないように家族を装いながらスパイとしての活動を続けていた。一見幸福そうに見える一家だが、実は彼ら全員が危険な任務を遂行するために韓国社会に深く潜伏しており……。
【ここに注目】
韓国の鬼才キム・キドクが原案と製作を担当し、彼に強い影響を受けた新人のイ・ジュヒョン監督の長編作品初メガホンとなる異色ヒューマンドラマ。今なお緊張状態が続く朝鮮半島を舞台に、偽装家族として韓国で暮らす北朝鮮のスパイたちの葛藤をユーモアを交えて映し出す。『リターン』の美人女優キム・ユミをはじめ、『大韓民国1%』などの名バイプレイヤーのソン・ビョンホらがつづる笑って泣けるストーリーが、賞レース上位に食い込んでくる可能性は高い。
【ここにグッときた♥】
本当は赤の他人の人たちが、まるで家族であるかのように「家族ぶって」暮らしているところがすごく面白い。北朝鮮スパイの偽の家族と韓国の本当の家族の対比が見どころです。
【製作国】メキシコ、フランス、スペイン
【監督】アーロン・フェルナンデス
【キャスト】クリスティアン・フェルレル、アドゥリアナ・パス
【ストーリー】
17歳のセバスチャンは、おじマリオが経営する街道沿いにある小さなモーテルを手伝うことになる。マリオの35歳の恋人ミランダは、モーテルでいとしい人を待つ間、セバスチャンとたわいのない会話を交わすようになり……。
【ここに注目】
パリで映画と映像について学び、監督と映画脚本の専門課程で修士号を取得したメキシコの新鋭アーロン・フェルナンデス監督が手掛ける人間ドラマ。年の差のある男女がそれぞれ抱える孤独や心の闇にスポットを当てる。長編デビュー作『パルテス・ウサードス(原題) / Partes usadas』が、モントリオール世界映画祭でグラウベル・ローシャ賞(最優秀ラテンアメリカ映画賞)を受賞するなど、国際的評価も高い新進気鋭の監督の長編第2作目にあたる本作が、今回どのように評価されるのかが注目される。
【ここにグッときた♥】
少年と年上の女性って、なんだかラブロマンスのように思っちゃうかもしれませんが、そうじゃなくて、二人のたわいもない会話でつながる心の交流がとてもすてきな映画です。少年を成長させる、大人の女性の言葉は勉強になりました!
【製作国】日本、アメリカ
【監督】深田晃司
【キャスト】二階堂ふみ、鶴田真由
【ストーリー】
叔母の海希江と共に避暑地にやって来た浪人生の朔子。朔子は勉強のため、海希江は仕事のため、海希江の姉の家にしばらく滞在することになっていた。到着した日、海希江は旧友に再会するが……。
【ここに注目】
海と山に囲まれた田舎を舞台に、少女と大人のはざまで揺れ動く18歳のヒロインのひと夏を描く物語。『ヒミズ』テレビドラマ「Woman」などの二階堂ふみが主演、鶴田真由や太賀、古舘寛治などが共演する。第23回東京国際映画祭の「ある視点」部門で『歓待』が作品賞を受賞し、今回はコンペ部門に選ばれた深田晃司監督が、旬の女優である二階堂の魅力をいかに引き出すか注目したい。
【ここにグッときた♥】
なにげない日常の中で、少しずつ成長していく朔子の姿にグッときました。誰かの夏休みを一コマ切り取って、のぞいて見ているような……。どんな人が観てもどこか懐かしい気持ちになれるのではないでしょうか?
【製作国】グルジア
【監督】レヴァン・コグアシュビリ
【キャスト】アンドロ・サクヴァレリゼ、イア・スヒタシュビリ
【ストーリー】
教師のサンドロは40歳の独身男。髪は薄く、いまだ実家住まいだ。見合いに失敗して親友と海辺へ出掛けたサンドロは、そこで出会ったマナナという女性を愛するようになる。しかし、刑務所にいるマナナの夫の釈放が迫っていた。
【ここに注目】
本作が長編劇映画2作目となるレヴァン・コグアシュビリ監督は、前作『Street Days(英題) / ストリート・デイズ』が第39回ロッテルダム国際映画祭コンペティション部門に選ばれ、第83回アカデミー賞外国語映画賞のグルジア代表にも選ばれた新鋭。40歳の独身男に降り掛かる悲喜劇を描いた本作は、第38回トロント国際映画祭でも上映され、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭のワークス・イン・プログレス・アワードを受賞している。
【ここにグッときた♥】
日本でも婚活がはやっていますが、海外でもお見合いデートのようなシステムってあるんですね! それもとっても不器用な40代の男性が主人公というのが面白かった! 彼が運命の女性と巡り合えるか、どうぞお楽しみに!
【製作国】日本
【監督】榊英雄
【キャスト】大森南朋、三輪ひとみ
【ストーリー】
狸穴勇介は人生に憤りを感じている。彼は東京でトラック運転手の職を得たが辞職し故郷に帰ることにした。戻ったところで勇介には友人と呼べる人もいない町だが、顔にアザがある岡辺京子だけは笑顔で接してくれるのだった……。
【ここに注目】
「銭ゲバ」「アシュラ」などで知られるジョージ秋山の原作を実写で映画化。メガホンを取った榊監督は俳優経験も豊富で、本作のテーマを「勇介は何を感じて、生きてそして死ぬのか」としており、生々しい人間の業を描くことに真正面から取り組んだ作品。監督の故郷である五島列島でロケを行った。演技派の大森南朋が主人公を演じているだけに本作に期待を寄せる人は多いだろう。
【ここにグッときた♥】
大森南朋さんが演じる主人公は、だらしないし、考え方も最低です。でもそんな主人公の心の中をのぞいていくうちに、彼の抱える孤独や寂しさにどこか共感してしまったのも事実。セリフの美しさにも注目です。
【製作国】イギリス
【監督】リチャード・アイオアディ
【キャスト】ジェシー・アイゼンバーグ、ミア・ワシコウスカ
【ストーリー】
サイモンは勤務先で上司からのパワハラを受けて精神的に参っていた。そんなときドッペルゲンガー(自分とそっくりの姿をした分身)と出会ってしまう。分身によって次第に自身の立場が脅かされていくのだった。
【ここに注目】
本コンペにおいて原作、そして『ソーシャル・ネットワーク』のジェシー・アイゼンバーグと『アリス・イン・ワンダーランド』の、ミア・ワシコウスカという出演者の知名度はトップクラス。ドッペルゲンガーに人生を乗っ取られる主人公を描いたドストエフスキーの原作を基に、ハーモニー・コリン監督との共同脚本でも知られる弟アヴィ・コリンが脚本を担当した。すでに海外ではブラックコメディー作品の傑作として、またコーエン兄弟に匹敵する才能だと絶賛されている。
【ここにグッときた♥】
ジェシー・アイゼンバーグさんの一人二役の演技がスゴイ! 二人のキャラクターが全然違うし、自分の分身に追い詰められていく演技はとってもスリリングです。それから日本の意外な名曲も作中で突然かかるので、そこにもぜひ注目してくださいね!
【製作国】アメリカ
【監督】ジョー・スワンバーグ
【キャスト】オリヴィア・ワイルド、ジェイク・ジョンソン
【ストーリー】
アメリカ合衆国イリノイ州シカゴ。ケイトとルークは醸造所の同僚で、仕事終わりの一杯を共にする飲み仲間。ある休日のこと、お互いの恋人クリスとジルを含め4人でクリスの別荘に小旅行に出掛ける。
【ここに注目】
ホラー映画『V/H/S シンドローム』で共同監督を務めたジョー・スワンバーグ監督によるラブコメ。今が良ければいいじゃない的な能天気な飲酒シーンとお酒の失敗といったコミカル要素を含めて、男女間における友達以上の関係を描いていく。なお、本作は女優オリヴィア・ワイルドの実生活での婚約者ジェイソン・サダイキスとの共演作であり、監督自身が怒れる男という役どころでカメオ出演している。
【ここにグッときた♥】
結構難しいテーマの映画もある中、一番見やすかったかも! 男女の友情は成立するのかってよくいわれるけれど、この映画を観て、どう思うかは皆さん次第だと思います! ナチュラルな演技は、ほぼ即興のお芝居らしいですよ!
【製作国】メキシコ、フランス、スペイン
【監督】アーロン・フェルナンデス
【キャスト】クリスティアン・フェルレル、アドゥリアナ・パス
【ストーリー】
17歳のセバスチャンは、おじマリオが経営する街道沿いにある小さなモーテルを手伝うことになる。マリオの35歳の恋人ミランダは、モーテルでいとしい人を待つ間、セバスチャンとたわいのない会話を交わすようになり……。
【ここに注目】
パリで映画と映像について学び、監督と映画脚本の専門課程で修士号を取得したメキシコの新鋭アーロン・フェルナンデス監督が手掛ける人間ドラマ。年の差のある男女がそれぞれ抱える孤独や心の闇にスポットを当てる。長編デビュー作『パルテス・ウサードス(原題) / Partes usadas』が、モントリオール世界映画祭でグラウベル・ローシャ賞(最優秀ラテンアメリカ映画賞)を受賞するなど、国際的評価も高い新進気鋭の監督の長編第2作目にあたる本作が、今回どのように評価されるのかが注目される。
【ここにグッときた♥】
少年と年上の女性って、なんだかラブロマンスのように思っちゃうかもしれませんが、そうじゃなくて、二人のたわいもない会話でつながる心の交流がとてもすてきな映画です。少年を成長させる、大人の女性の言葉は勉強になりました!
【製作国】フランス、スイス
【監督】アルノー・ラリユー、ジャン=マリー・ラリユー
【キャスト】マチュー・アマルリック、カリン・ヴィアール
【ストーリー】
ローザンヌの大学教授、マルクは教え子に次々と手を出しているとうわさになっていた。マルクが関係を持った中でも特に美しい女生徒が失踪。数日後、マルクは彼女の行方を捜すアンナと会う。
【ここに注目】
『潜水服は蝶の夢を見る』などのフランスを代表する俳優、マチュー・アマルリックが文学を教える女たらしの教授を演じるスリラー。『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』の原作者フィリップ・ディジャンの小説を基に、アルノー&ジャン=マリーのラリユー兄弟が映画化。ラリユー兄弟はアマルリックを主演に迎えた2000年の中編作品で注目され、本作は4作目のタッグとなる。
【ここにグッときた♥】
大学教授を演じているマチュー・アマルリックさんは、フランスの人気俳優さんなのだそう。大の女好きという役柄の設定通り、なんだかミステリアスな大人の男の魅力が満載で、学生の女の子たちが憧れちゃう気持ちがわかりました!
【製作国】トルコ、ドイツ、フランス
【監督】レハ・エルデム
【キャスト】ビンヌル・カヤ、フィリップ・アルディッティ
【ストーリー】
地震が発生する可能性のあるトルコ沿岸のある島。そこに暮らす住民たちは退避を迫られていた。しかし、原因不明の病がはやりだし、馬から人間にも伝染し始める。
【ここに注目】
ヌリ・ビルゲ・ジェイランやセミフ・カプランオールなどを輩出し、近年の国際映画祭で特に評価の高いトルコ映画。レハ・エルデム監督もそんな注目の監督の一人。2008年の『マイ・オンリー・サンシャイン(英題) / My Only Sunshine』は第59回ベルリン国際映画祭でターゲスシュピーゲル紙読者賞を受賞。第23回東京国際映画祭では特集上映が組まれた。本作ではトルコの自然豊かな島を舞台に隠喩的な表現を巧みに用い、独特の世界観を作り上げる。
【ここにグッときた♥】
決して明るい映画ではありませんが、大自然の中で、女性たちが歌を歌うシーンの映像が、わたしはとっても好きでした! 女の子たちが、友達と一緒に思わず歌いだしてしまった……、そんなナチュラルな歌い方なんです。
【製作国】イタリア、フランス
【監督】ダニエレ・ルケッティ
【キャスト】ミカエラ・ラマッツォッティ、キム・ロッシ・スチュアート
【ストーリー】
1974年、まだ無名の前衛芸術家グイドは、ローマのスタジオで女性の裸体で石こうの型取りをして、彫刻作品を作るという作業に没頭していた。グイドがプライベートな時間をモデルと過ごす間、2人の息子は仕事場のスタジオから追い出されていたものの、自分たちの父親の仕事はごく一般的なものだと信じて疑わなかった。
【ここに注目】
俳優としても活躍し、『マイ・ブラザー』などで知られるイタリアの名匠ダニエレ・ルケッティ監督の自伝的作品。『ハートの問題』などの人気俳優、キム・ロッシ・スチュワートを主演に迎え、1970年代を舞台に、前衛アーティストの父親に翻弄(ほんろう)されるチャーミングな一家の姿を温かく見つめる。イタリア国内はもとより、『我らの生活』が第63回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールにノミネートされるなどヨーロッパで高名な監督の、アジアでの飛躍に期待したい。
【ここにグッときた♥】
この映画を観て、まず最初に思ったのは……「芸術家の奥さんって、ほんっとに大変なんだな~」ってこと。でも、裸の女性を描く父親に反発もせず、心から慕っている子どもたちのピュアな様子にグッと来てしまいました。