Jホラーの巨匠に聞く、世界最恐の「日本の幽霊」Vol.1 黒沢清(2/2)
第28回東京国際映画祭
Q:黒沢監督が選ぶ「日本の幽霊が怖い映画」ベスト3
1.『四谷怪談』(1959) 監督:三隅研次
現在あるすべての怖い映画を客観的に見直したかたちでのセレクトではありません。僕が最初に観たときの個人的な恐ろしさみたいなことでしか語れませんが、1位はやっぱりこれでしょうね。『四谷怪談』はいろいろな監督が撮られていますが、三隅研次監督のこれが一番怖かったな~。とにかく、お岩さんの出方と、顔が本当に怖かったですね。
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2.『四谷怪談 お岩の亡霊』(1969) 監督:森一生
お岩の出方はこちらも怖かったんですが、1位の『四谷怪談』とは襲われる側の怖がり方が違うんですね。三隅研次版は本当に「許してくれ~」って怖がるんですよ。そりゃもう、情け容赦なく出るから。でも、この森一生版はモンスター的に出てくるお岩に対して、佐藤慶が演じる伊右衛門も「来るなら来い!」という感じでカッコいいし、痛快なんです。要するに、段々幽霊との対決になっていくという異色の『四谷怪談』なんですけど、これはこれで怖いです。
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3.『呪怨』 (1999) 監督:清水崇
このオリジナルビデオ版を観たとき、「ウワッ、これは怖い! 僕にはこんなのは作れない」と思いました。醜く変貌した伽椰子が階段を下りてくるところも怖かったけど、怖がる人の顔が怖かったですね。特に母親が帰宅した高校生の娘の異変に気付き、2階の自分の部屋に上がっていく彼女を呼び止めるくだり。階段に点々と血が落ちているから「どうしたの?」って声をかけると、娘はゆっくり振り向くんですけど、あごがないんです。そのあごなしの映像も怖いんですけど、本当に怖いのは数秒間置いた後に絶叫するお母さんの顔。これがめちゃ怖いんですよね。
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オールナイトイベント「日本のいちばん怖い夜~Jホラー降臨」は28日、新宿ピカデリー スクリーン1にて19:30より上映
上映作品:『劇場霊』『女優霊』『CURE キュア』『呪怨 劇場版』
Jホラーの巨匠に聞く、世界最恐の「日本の幽霊」Vol.2 中田秀夫