略歴: 編集者を経てライターに。映画、ドラマ、アニメなどについて各メディアに寄稿。「文春野球」中日ドラゴンズ監督を務める。
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とにかくカラフルで美麗な作画に圧倒される。全編を貫いているのは「原作ファースト」の精神。オスカルとアンドレの関係にフォーカスして、長大な物語を上手く省略しつつ、名場面を忠実に再現している。余計な味付けや新しい解釈は見られないので、原作ファンも安心して観られるはず。けれん味やある種の過剰さは原作、宝塚歌劇、TVアニメの方が上かも。省略によってオスカルとアンドレの葛藤や心の移り変わりがわかりにくくなってしまった感もあるので、原作未読の方はぜひ原作を読んでから再見してほしい。宝塚歌劇のように、マリー・アントワネットとフェルゼンの物語もアニメで作ってほしい! と思ったファンも多かったのでは。
野心家だが純朴な青年だったドナルド・トランプが、悪徳弁護士ロイ・コーンの「アプレンティス(弟子)」となって大富豪になるまでを描く。トランプが教えられ、実践してきたのが「勝利への3つのルール」。ルール1は「攻撃、攻撃、攻撃」。暴言も脅迫も何でもあり。ルール2は「非を認めるな。全否定しろ」。事実などは一切無視だ。そして最も重要なルール3は「どれだけ劣勢でも勝利を主張しろ」。汚い手も使うし、勝利宣言すればまわりも従う。弱者も福祉も倫理も良識もすべて敵視し、カネと勝利だけを追い求めた男が、これから再び大統領になることを心に刻もう。そして世界中にミニ・トランプが出現していることもわかるはずだ。必見。
「自分は一体何を観ているのだろう?」と思わざるを得ない冒頭30分。予告で観ていた内容につながるまで、本当に唖然とするしかなかった。間もなく始まるTVシリーズの再編集版だが、この驚きを体感するだけでも劇場で観る価値がある。鶴巻和哉監督、脚本の庵野秀明、榎戸洋司をはじめとするスタッフ陣がここまで好きなようにできたのは、すでに「ガンダム」シリーズが強靭な作品世界を持っているからにほかならない。この企画にGOを出した「ガンダム」サイドも英断だったと思う。ある意味、これまでの「ガンダム」の引力を吹っ切ったロケットブースター。これから始まるTVシリーズが楽しみでならない。
名優ソル・ギョングとチャン・ドンゴンが兄弟に扮する「家族」と「倫理観」をテーマにしたサスペンス。善悪を相対的に捉えている弁護士の兄と、人助けを何より大事に考えている医者の弟。何不自由なく暮らしている彼らが大切にしている子どもたちの秘密に直面し、それぞれが煩悶することになる。子を持つ親が本作を観れば、彼らと同じように「自分ならどうする」と頭を抱えるだろう。何をすれば正しくて、何をすれば間違っているのか。子育ても社会的な倫理観を貫くのも、どちらも途轍もなく難しい。さまざまな要素が反転しながらつながっていく精緻な脚本と、ホ・ジノ監督による静けさと激しさが小波のように寄せては返す演出が見事。
世界最大のスラムであり、古き良き猥雑な香港の象徴だった1980年代の九龍城砦を完全再現! あらゆる訳アリの人を受け入れるコンクリートと電線のジャングルのような九龍城砦の中で、友情で結ばれた男たちが縦横無尽かつ荒唐無稽に戦いまくる。今はない場所での人々の生活を再現しているという意味では、長崎の端島(軍艦島)を再現したドラマ『海に眠るダイヤモンド』に精神性は近い。場所そのものはなくなっても、そこにいた人たちの歴史と記憶と心は残り続けるし、こうやって残していかなくちゃならないのだ。民衆が立ち上がるのではなく、主人公たちの戦いに焦点が絞られているのは、香港アクション映画のロマンの残り香なのだろう。
結城真一郎のミステリー小説を、ロックバンド「Mrs. GREEN APPLE」の大森元貴と『仮面ティーチャー』シリーズなどの菊池風磨主演により実写映画化。
小説「赤々煉恋」などで知られる作家・朱川湊人の直木賞受賞作を映画化。両親を早くに亡くし、二人きりで生きてきた兄妹の不思議な体験を描く。
1975年公開の『新幹線大爆破』を『碁盤斬り』などの草なぎ剛主演でリメイクしたサスペンス。
芥川賞作家・吉田修一が歌舞伎の世界を舞台に書き上げた小説を映画化。任侠(にんきょう)の家に生まれるも、数奇な運命によって歌舞伎界に飛び込んだ男が芸に身をささげ、歌舞伎役者としての才能を開花させていく。
ロバート・ハリスの小説「CONCLAVE」を原作に、ローマ教皇選挙を題材に描くミステリー。
現代の渋谷に転生した中国・三国時代の天才軍師・諸葛孔明の活躍を描く、原作・四葉夕卜、漫画・小川亮によるコミックを実写化したドラマ「パリピ孔明」の劇場版。
2022年にオランダで実際に発生した事件を基にしたサスペンスドラマ。アムステルダムのアップルストアに立て籠もる銃で武装した男を中心に、彼の人質にされた客や従業員、事件に対応する警察などの姿を描く。
ある麻薬取引の失敗をきっかけに、裏社会と戦うことになる刑事を描くアクション。ある政治家の息子を助け出すために刑事が裏社会へと踏み込んでいく。
お笑いコンビ「ジャルジャル」の福徳秀介が2020年に発表した小説「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」を実写化したラブロマンス。
3Dブロックで構成されたバーチャル空間で、自由にものづくりや冒険を楽しめるゲーム「Minecraft(マインクラフト)」を映画化。マインクラフトの世界に偶然やって来た4人の男女の冒険を映し出す。