大山くまお

大山くまお

略歴: 編集者を経てライターに。映画、ドラマ、アニメなどについて各メディアに寄稿。「文春野球」中日ドラゴンズ監督を務める。

近況: YouTube「ダブルダイナマイトのおしゃべり映画館2022」をほぼ週1回のペースで更新中です。

サイト: https://www.youtube.com/channel/UCmdesdmNuJ2UPpAQnzkh29Q/featured

大山くまお さんの映画短評

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  • 劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師
    熱狂的ファンも満足いく仕上がり
    ★★★★

    実に13年ぶりとなる『忍たま乱太郎』の劇場アニメは、渇望していた熱狂的なファンたちも間違いなく満足のいく仕上がりになったのでは(特に土井先生と一年は組ファン)。戦乱の時代らしいストーリーを進めつつ、膨大かつ魅力的なキャラクターを粒立てながら、それぞれの関係性をしっかり描き、それでいてメインターゲットとなる子どもたちを飽きさせないようにギャグを散りばめる(ミュージカルシーンもあり)。忍者アクションはロジカルな動きで尺も見せ場もたっぷり。観ている間、子どもたちも大人たちも熱狂した初期の映画『クレヨンしんちゃん』を思い出した。ゲストの大西流星と藤原丈一郎(なにわ男子)も周囲と調和していて違和感なし。

  • 終末シンフォニックトナカイ粉砕反キリスト戦争推進メタルバンド、インペイルド・レクタムが帰ってきた! 前作では閉鎖的な田舎のマッチョイズムに蔑まれていたメタルバンドの悲哀を突拍子もないギャグとともに描いていたが、大ヒットを経て今回は大幅にスケールアップ。音楽業界にはびこる商業主義とメンバー同士の不和がバンドの大きな障害となる。完全な続編なので前作は必ず見ておこう。メタルファン向けのくすぐりが増量している一方、ちょっとありがちなストーリーと説明不足が気になった。BABYMETALの出演が話題だが、制作者側の愛情が伝わってくる見せ方だった。頑固なメタル博士・クシュトラックスのいかにもな反応にも注目。

  • 市民捜査官ドッキ
    このおばさんこそが現代のヒロインだ
    ★★★★

    若い男やおじさん、若い女性が活躍するアクションものやノワールものは数多いが、おばさんが事件解決のために活躍する作品は少ない。実話をもとにした本作は、振込詐欺に遭ったおばさん(ラ・ミラン)とわちゃわちゃした友人たち(ヨム・ヘランら)が執念の追跡で凶悪な詐欺グループの首領を追い詰める。クライマックスからラストにかけてビリビリするような興奮に包まれるのは、何の力も持たないおばさんが「世の中はこんなもの」「金がある方が正しい」「これぐらいで手を打っておこう」とは真逆の行動に出るから。弱い者を踏みにじるヤツが許せなくて、いても立ってもいられない。このおばさんこそ現代のヒロインだ。

  • クレイヴン・ザ・ハンター
    SSUの最終作はアンチ家父長制アクション
    ★★★★★

    ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)の新作(と思ったら最終作)は、爽快なアクション作ではなくドラマ寄り。アーロン・テイラー=ジョンソンとラッセル・クロウの親子の対立がメインのストーリーで、支配的な父親と息子たちというプロットは『アイアンクロー』と同じだが、悪いオヤジがのさばる家父長制への明確な“NO”という姿勢は伝わってくる。ヒーローものならではのアクションも爽快感や躍動感メインの演出ではないのは新しい取り組みだが、作中で描かれる“悪”はさまざまな事態が進行している現実と照らし合わせるとずいぶん素朴な印象。動物たちの活躍が爽快。

  • あの年のクリスマス
    子どもの悩みに向き合ったクリスマスファンタジー
    ★★★★★

    『ラブ・アクチュアリー』の監督で『ブリジット・ジョーンズの日記』などの脚本を手がけたリチャード・カーティスの児童小説を原作にした子ども向けクリスマス・ファンタジー(脚本も)。とはいえ、ファンタジーの部分は重要ではなく、大雪に見舞われたイギリスの田舎町を舞台に、さまざまなタイプの子どもの悩みにフォーカスしたストーリーが展開する。クリスマスらしい楽しさはちゃんと担保しているので、深刻にならずに観ることができる。孤独を抱える独身の女性教師のキャラクターが良かった。大切なのは楽しい未来を想像する力と支え合うコミュニティということ。カーティスが自作をネタにしたギャグがあるので、映画ファンはお楽しみに。

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