略歴: 編集者を経てライターに。映画、ドラマ、アニメなどについて各メディアに寄稿。「文春野球」中日ドラゴンズ監督を務める。
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「子育て」と「家族の再生」を通して主人公が成長していく姿が描かれる新たなウルトラマンのストーリー。育児ノイローゼになるウルトラマンを見るとは思わなかった。それだけ普遍的なテーマを扱っているということ。ウルトラマンを「人と怪獣の架け橋」と再定義しているのは、『ウルトラマンコスモス』へのオマージュかも(どこか『REX 恐竜物語』風でもある)。従来はウルトラマンをサポートする防衛軍との戦いという設定も面白い。クライマックスは日本でも人気の高かった某ロボット映画を思い出させる。シャノン・ティンドル監督のウルトラマンと日本への愛情は本物で、東京ドーム周辺の町並みまで完全に再現しているのに驚かされた。
『バーフバリ』シリーズで日本にも熱狂的なファンを生み出したインドが誇る無敵のスーパースター、プラバース主演のバイオレンス・アクション。本作でも犯罪国家カンサールを舞台に、撃つ、斬る、殴る、三拍子揃ったプラバースの神々しいまでの強さがスタイリッシュな映像とともに炸裂している。“REBEL STAR PRABHAS”とニックネーム付きでクレジットされる登場シーンもたまらなくカッコいい。ただし、本作は『バーフバリ』のように明朗な暴れっぱなしアクションではなく、溜めて溜めて爆発するカタルシス重視。『バーフバリ』と同じく、現在制作中の第2部「シャウリャンガの巻」に続く作品でもあることも注意しておこう。
「ポップとは彗星であり、ポップスは彗星の尾」という説明を聞いたことがあるが、まさにポップを切り開く彗星のような存在だったのが加藤和彦だった。常に世の中の5年、10年先を進んでいた彼の足跡を多くのアーティストの証言で追う。ただし、ナレーションなどの説明はなく、すでに加藤の偉大さを知っている同世代、あるいは中級者ファン向け作品になっているのが惜しい。80年代前半で足跡を追うのを止めているのは尺の問題もあるのだろうが、それも同世代向け作品という感を強くする。加藤のあの素晴らしい功績を若い人たちに知ってもらうためには、もう一度別の機会が必要だろう。エンディングは蛇足に感じた。
とにかく舘ひろしと柴田恭兵が70代に見えない。とにかくフォルムが美しい。ゆえに38年も同じ役を演じることができるのだろう(寅さんだって30年足らず!)。50代後半になってもちゃんと38年前の芝居ができる仲村トオル、すさまじい形相の浅野温子、さらにあの人やあの人も登場してファンは感涙必至だろう。タカとユージの“娘”をめぐるストーリー、エンディングの演出も含め、理想的なファンムービーでありつつ、どこか後日譚のような味わいも。頑としてプライベートを見せなかった二人が、まるで夫婦のように横浜で仲睦まじく暮らしている姿を見て胸ときめかせたファンも多かったはず。もっと肩の力を抜いた続編も見てみたいところ。
満を持して放たれた実写版『シティーハンター』。袖まくりした水色ジャケットと赤いTシャツ姿じゃなくても、冴羽獠を演じることができることを示した鈴木亮平に拍手。原作を完コピすることだけが「マンガ実写化の最適解」でもないし「愛」の形じゃないことを立証してみせた。相棒の槇村香役を演じた森田望智も、見た目だけでなく内面までしっかりと演じている。シティーハンターが2024年の新宿歌舞伎町の住人だと印象づけたロケーション撮影も見事だった(一部は名古屋の繁華街だが)。ただし、アクション場面は「冴羽獠無双」すぎて、やや単調。もっと緊張感や工夫があってもいいと感じた。これからシリーズ化していくなら、なおさら。