大山くまお

大山くまお

略歴: 編集者を経てライターに。映画、ドラマ、アニメなどについて各メディアに寄稿。「文春野球」中日ドラゴンズ監督を務める。

近況: YouTube「ダブルダイナマイトのおしゃべり映画館2022」をほぼ週1回のペースで更新中です。

サイト: https://www.youtube.com/channel/UCmdesdmNuJ2UPpAQnzkh29Q/featured

大山くまお さんの映画短評

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  • FPU ~若き勇者たち~
    プロモーション色が濃いがアクションは見応え十分
    ★★★★★

    実際に国連警察の中にあるFPU(組織警察隊)の活躍を描くアクション。実質90分以内にまとめたソリッドな作りながら、アクションの見ごたえは十分。ただし、世界の紛争地帯に派遣される中国のFPUのプロモーションムービーであることは揺るぎないので、政治ドラマ的な深みはない(国連の装甲車の頑丈さもPR)。アフリカの人々にFPUが中国文化を教えるくだりはやりすぎの感も。『熱烈』などで日本での人気も高まっているワン・イーボーと中国映画、ドラマで活躍するホアン・ジンユーが共演しているが、それぞれの描きこみもさらっとしている。ただし、メイキングを流しながら勇壮な主題歌が流れるエンディングでは燃えざるを得ない。

  • JAWAN/ジャワーン
    脳汁出っぱなしのポリティカルエンターテイメント
    ★★★★

    スーパースター、シャー・ルク・カーン主演の一大アクションエンターテイメント。刑務所長の主人公が無実の罪で投獄されていた女囚チームを率いて腐敗する政治家を叩き、困窮している民衆を救う序盤から3時間の上映時間中、ずっと脳汁出っぱなし。主人公の最強パパを誰が演じるのか? という問題を一人二役で解決する豪腕ぶりにも脱帽。アクションのビジュアルを追うのではなく、ド直球の政治的なメッセージに重きが置かれており、クライマックス近くで主人公が観客に向かってダイレクトに語りかける内容は、今の日本人こそ耳を傾けなければいけないもの。女性用の刑務所が、女性が連帯を深める場所として描かれていたのも興味深かった。

  • 対外秘
    悪いヤツが勝つ世の中でいいのか
    ★★★★

    韓国映画が得意とする近現代史をテーマにしたノワール。実直な候補者が、地元の有力者と敵対し、ヤクザと手を組んでダークサイドに堕ちていく姿を描く。フィクションだと前置きされているが、韓国政治の腐敗ぶりが事細かに描かれており、金と暴力と組織力を駆使した不正の手口を見ると、日本で起こったリコール署名偽造事件など稚拙きわまりなく感じてしまう。善人が正義を貫こうとするとあっという間に殺されるし、悪党も立場を間違えると殺される。裏金も口封じも当たり前。じゃ、悪いヤツが勝つ世の中でいいのか。無関心でいいのか。観終わった後、胸にドロッとしたものが残るとともに、そんなことを感じさせる。

  • レッド・ワン
    ここまで直球のクリスマス映画は久しぶり
    ★★★★

    人ではない堅物のドウェイン・ジョンソンと、ハッカーで小悪党のクリス・エヴァンスがバディとなり、本物のサンタクロースを悪い魔女から助けるというクリスマスファンタジー。北極に巨大なサンタの基地があったり、おもちゃに光線を当てると本物になったりと、まるで幼稚園児の妄想のようなストーリーをマーベル映画並みの規模と技術力で実写化してしまう剛腕ぶりに惚れ惚れしてしまう(褒めています)。ここまで直球のクリスマス映画も久しぶりに見たような気がする。本筋とは関係ないが、サンタがプレゼントを与える子どもがアッパーミドルの家庭ばかりだったのが気になった。サンタならあらゆる家庭の子どもに夢を与えてほしい。

  • イベリン:彼が生きた証
    人は人とかかわることで人生を豊かにできる
    ★★★★

    難病で亡くなった青年の両親のもとへ、思いもしなかったお悔やみのメールが大量に届く。恋も、友情を育むことも、誰かのために役立つこともできない思っていた息子は、実はゲームの世界で豊かな人生を送っていた。人は人とかかわり、人に貢献することで、人生を豊かにすることができる。それが“生きた証”である。そんなことを静かに、だけど雄弁に伝えてくれるドキュメンタリー。面白いのは主人公がゲームの世界の中で聖人だったわけではなく、時に悩み、苦しみ、人を傷つけたりしていたこと。でも、反省し、素直に謝罪することができた。難病の青年の話だが、これは私たち自身の話でもある。墓に刻まれた名前を見て泣いてしまった。

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