山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • ブックセラーズ
    本を愛するすべての人がにっこり!
    ★★★★★

    電子書籍は便利と思いつつも、手に取りたいのは紙の本というオールドスクールな人でなくても魅了されるドキュメンタリー。希少本や豪華なアンティーク本専門のバイヤーや老舗書店の経営者、有名評論家らが次々に登場し、本に対する偏愛を熱く語る。個性的な人ばかりで、ユニークな逸話の宝庫だ。特殊なジャンルの古書に特化したセラーや革装丁専門のバイヤー、ブックハンターと意外と知られていない本の世界を垣間見ることもでき、作品自体が本の百科事典のよう。書籍特有の匂いや紙の質感、書体や級数、字詰めやイラストなどにこだわったブックデザインもろもろを含めて本が好きな人なら絶対に頬が緩むはず。

  • 風が踊る
    デジタリルマスターで蘇る台湾の映像で心を慰めて!
    ★★★★

    侯孝賢監督の初期作品だが、女性写真家シンホイのキャリアと恋に焦点を当てていて、甘酸っぱい展開だ。恋人と子どもの隠れん坊、シンホイの悪戯には気恥ずかしささえ感じ、交際もしていないのにプロポーズという恋愛観や背景に流れる流行歌などノスタルジック。目的もなく海外に行きたがるヒロインにイラッとする人もいるかもだが、当時の台湾が戒厳令下にあったことを考えれば納得だ。抑圧や恐怖から逃れたい気持ちが切ないし、彼女の思いを汲む青年の王子っぷりが素晴らしい!膨湖島や台北、鹿谷でロケしていて、二二八公園や松山空港の昔の姿が映る。台湾ロスの人は是非、懐かしい台湾の映像で心を慰めて!

  • SNS−少女たちの10日間−
    ネット界に跋扈するすけべ男の闇は深い
    ★★★★

    生まれた時から人生がネットと繋がっている少年少女は気軽に電脳世界で友達作りをしているけれど、実は落とし穴もある。そんなネットの闇を赤裸々に炙り出す快作だ。ネット上の交渉が性的でも実際の行為が伴わない限りは児童虐待と思わない人もいるようだが、「それ、犯罪だから」と言いたくなるおぞましい言動が続き、警察の介入も当然と思う。劇中では顔がぼかされているプレデターたちのむき出しのすけべ心は笑えもするが、邪悪さを感じる男もいて恐ろしい。12歳のふりをした成人女性でさえトラウマになっているようで、これが本当の少女だったらと胸を痛めてしまう。たった一人だけいた普通の青年はまさに一服の清涼剤だった。

  • スプリー
    誰でもセレブになれそうでなれないSNSの高い壁
    ★★★★★

    投稿1本で億単位の金が動くSNS界は、簡単に金儲けできそうだけど、実は戦略や努力が必要で厳しい。本作はSNSスターを目指すカートのやけっぱち行動の顛末を描く風刺劇だ。かつて子守りをした少年がSNSセレブなのに嫉妬し続けて10年といううだつの上がらなさがトホホだし、ショック映像でフォロワー増を目指す短絡性に呆れる。共感性の低いキャラだが『ストレンジャー・シングス』で“実はいい奴”っぷりを発揮したJ・キーリーの個性で引っ張る。邪悪なわけではなく、ただのおバカさんだ。M・バートンの扱いが雑で笑ったが、『SNL』出身のコメディエンヌ、S・ザメイタは見せ場が多い割には魅力が伝わらない。もったいない。

  • BLUE/ブルー
    才能の欠如とはなんと残酷なもの……
    ★★★★

    才能に恵まれない青年と王座獲得間近の後輩、女にモテたいというチャラい理由で始めた青年。ボクシングに魅了された男3人の青春、友情と恋、嫉妬と羨望、挫折と希望を巧みに織り交ぜた好感度の高い作品だ。ガッツはあるけれど才能はなく、さらには好きな女性もライバルに奪われたという負けっぱなしボクサーを演じる松山ケンイチが非常にいい。一見飄々としているのだが、ちょっとした表情や視線で心の奥に渦巻く悔しさや情けなさを表現する。彼と強い後輩の関係だけでなく、柄本時生演じる中庸の青年が加わることで人間関係に深みが出て、人生は勝負だけじゃないとも思わせる。とはいえ、才能の欠如とは実に残酷。我が手をじっと見る。

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