山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

« Prev 全1,179件中131~135件を表示しています。 Next »
  • レッド・スネイク
    タフな女性たちの魂の連帯にしびれる
    ★★★★★

    設定や境遇などがクルド人女性部隊を描いた『バハールの涙』と似ているが、本作に登場する部隊を構成するのは世界各国からの志願兵だ。アメリカ陸軍出身のスナイパーやクルド人を父に持つ根性の座った元モデル、フランスから馳せ参じた若い女性たちが銃を手に取るのは、宗教を曲解して女性を性奴隷として扱い、幼い子供を洗脳するイスラム過激派の男たちに鉄槌を食らわせるためだ。女性の人権を守るために己の命も投げ打つ女性同士の連帯と逞しさが圧倒的だ。ドキュメンタリー出身のC・フレスト監督はフランスでは有名なフェミニストで、彼女の強い思想を感じる。E・ガレルやN・ブロンデルら若手女優は今後も楽しみだ。

  • バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~
    配信も好きだけど、映画は死なないよ!
    ★★★★

    脇役どころか主役級の役者たちが楽しそうに本人役を演じ、製作陣も含めた全員の映画製作への情熱が伝わる緩いけれど胸アツなコメディだ。シリーズ第3弾『名脇役の森の100日間』でお馴染みの撮影所「バイプレウッド」で起きた奇跡が描かれるわけで、光石研はじめとするお馴染みのメンバーは今回、若手を温かく見守る立場。ちょっと引いた感じがまた渋くて、良い。フィリピン修行中のエンケンもキュート。撮影所で作られていたパロディ感満載の連ドラも続行で、キャストも実に贅沢。なかでも監督デビュー作を撮っている設定の濱田岳がポンコツ監督ぶり全開で笑わせてくれる。映画もシリーズ化して欲しいもの。

  • ザ・バッド・ガイズ
    毒を以て毒を制するはぐれ者集団は庶民の代表
    ★★★★

    ドンソク兄貴が暴れ、義理人情が炸裂し美人詐欺師とイケメンも大活躍と韓流アクションに期待する全てが詰まった痛快作。前半の護送車襲撃事件からクライマックスまで凝ったカメラワークを見せてくれるので、アクション好きにはたまらない。しかも大前提の特殊犯罪捜査課が物語を弾ませる。悪を葬るためならルールを無視してもOKとは庶民の怒りの代弁だ! 『シン・シティ』を思わせる特犯課紹介は監督の遊び心だろう。そんな彼らが逃亡犯を追い詰めながら巨悪に迫る展開も工夫があるし、警察内部の争いもお約束とはいえ効果を発揮する。痛いところに手が届くハン・ジョンフンの脚本がお見事! ドラマ『バッドガイズ』シリーズの集大成だね。

  • ハウス・イン・ザ・フィールズ
    伝統を守りつつ、精神を近代化するのは難いの?
    ★★★★★

    伝統的な生活を続けるアマズィーグ族の暮らしぶりを記録した作品だ。監督が彼らと生活を共にしただけあって、映画の中心となる姉妹のプライベートな内面にもカメラが密着する。伝統に従って結婚のために退学した姉と男女同権の時代に期待する妹の将来への期待に差はあれど、自立を願う気持ちが切ない。産業が少ない農村なので男たちは出稼ぎに出るしかなく、女たちは家事と育児で明け暮れる。実に忙しいし、肉体的にもきついだろう。個人的には「自然に囲まれた牧歌的生活万歳」とか和んでる場合じゃないと思い、妹の将来が本当に気がかりだ。三部作らしいので、彼女の将来を確認する日が来ることを願う。弁護士になれますように!

  • ブータン 山の教室
    グローバル化に直面する幸福度No1の国民が感じる幸せとは?
    ★★★★

    幸福度No1の国ブータンに押し寄せるグローバル化と伝統的価値観のせめぎ合いが反映された人間ドラマだ。主人公は携帯が手放せず、オーストラリアで歌手になるのが夢という今どきの青年教師。僻地ルナナの小学校に赴任させられた彼が「真の幸福とは?」と考える姿を追う。主要キャスト以外はルルナ村民で、 “未来に触れることができる人”と教師を尊敬し、目を輝かせて学ぶ子どもが本当に愛らしい。最初は「無理~」と悲鳴を上げた主人公が止まる気持ちもわかる。もちろん家庭を顧みない父親もいるし、村は貧しい。それでも美しい大自然とともに生きる人々の純朴さは、私の汚れた心を浄化してくれた。

« Prev 全1,179件中131~135件を表示しています。 Next »
[PR]
おすすめ特集
映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
スポンサード リンク