山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • キング・オブ・シーヴズ
    老人ギャングが咲かせた最後の一花は美しいのか?
    ★★★★★

    M・ケインやT・コートニーら名優が老強盗を好演するが、『ジーサンズ はじめての強盗』みたいなほのぼの感はゼロ。「昔取った杵柄」とばかりに一攫千金を狙うご老人たちが実は持病持ちだったり、足腰が弱っていたりで前半は笑わせもするが、後半はかなりダーク。分け前を巡って疑心暗鬼になり、互いを出し抜こうとする姿はまさに悪事に手を染めた人間ならでは。死ぬ前に最後に一花咲かせたいという老人の気持ちもわかるが、欲にまみれた人間に似合うのは刑務所としか思えず。イギリスで実際に起きた強盗事件の全貌がわからない時点での映画化なので、訓話めいた締めくくりが必要だったのだろう。発見されてないお宝が気になるぞ。

  • 越年 Lovers
    一年の計は元旦にあり、恋の計は大晦日にあり?
    ★★★★★

    男女3組の心の機微がリリカルなタッチで描かれ、恋に不器用な人の背中を押してくれそうなラブストーリー。舞台設定は台湾(一部マレーシア)と日本だが、登場キャラの心理が非常にわかりやすかったのはやはり、監督が岡本かの子の小説にインスパイアされて脚本を書いた作品だからだろう。冬の山形を舞台にしたエピソードには地元を離れられなかった女性と東京に出てもかつての恋を忘れられない男性が登場し、恋ってタイミングが大事だなとしみじみ。橋本マナミ&峯田和伸の相性が非常にいい! そしてタイトルにもなっている岡本の「越年」が原作の台北パートは大好きな迪化街でロケしていて、住所の標識が気になりました。

  • アンチ・ライフ
    疫病が蔓延する地球を捨てる日が来るのかも
    ★★★★★

    謎のウィルス感染で人々が死にゆくなか、非感染者がニューアースへ移住する設定がコロナ禍の今、まんざら絵空事でもない。ただし、宇宙船で起こる事件は『エイリアン』の下手くそなパクリにしか思えないというかなりなB級珍品。ツッコミどころが多く、監督の意図とは思えない笑いがあちこちに!? 思いがけずにヒーローとなる主人公ノアを演じるC・カーズリーが全く魅力がなく、彼のメンター的存在となるB・ウィリスに『アルマゲドン』的活躍を期待したが、尻つぼみ。さらに扱いが酷いのがT・ジェーンで、見せ場が全くない。なぜ出演したのか理解に苦しむ。好きな人はいると思うが、両手をあげて「おすすめ!」とは言えない。

  • 恋する遊園地
    性的嗜好は人それぞれ。他人のセックスを笑うな!
    ★★★★★

    人間ではない物に性愛感情を抱く「対物性愛」をロマンティックなラブストーリーに仕上げている。この性的嗜好は一方通行なはずだが、内気なジョアンが恋したアトラクション「ジャンボ」が彼女の気持ちに応える点がファンタジックだ。二人(?)が恋に落ちる場面や愛を交換する場面がSF映画っぽいせいか、お掃除ロボットの恋と冒険を描いたアニメ『ウォーリー』を思い出した。ただし風変わりな恋愛をする娘を心配する母親との関係がこじれるあたりから、多様化する社会で他者をあるがまま受け入れることの重要性という大きなテーマが見えてくる。『燃ゆる女の肖像』の熱演が記憶に新しいノエミ・メルランがヒロインを好演。

  • チャンシルさんには福が多いね
    崖っぷちヒロインが他人には思えない!?
    ★★★★

    突然の失業で人生崖っぷちとなったチャンシルさんが焦りつつも、自然体で生きる姿が軽やかで心地いい。ホン・サンス監督を支えた女性プロデューサーの監督デビュー作でオフビートなテイストは似ている。が、ホン監督作でたまに感じる“男の身勝手さ”は皆無。女性視線で物語が綴られ、女性の強さや情の厚さに共感しきり。ヒロインの職業柄、映画ネタも多く、ちょっといいなと思った監督志願の男性と映画の趣味が違ってがっかりという下りには笑った。監督の分身とも思えるヒロインを演じるカン・マルグムが醸し出すアラフォー女性のリアルさがすごくいい。自称レスリー・チャンの幽霊男やワケあり大家さんなど脇までキャラ設定が面白い!

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