略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。
近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。
牛の世話や家事に追われて無学のまま94歳になった老女GOGOが学びの大切さを教えてくれる。ひ孫の手本になろうと思ったのが小学校入学のきっかけのようだが、助産婦であるGOGOが妊娠して退学した少女に復学を進める姿が印象的だ。本人にはその意識はないだろうが、フェミニスト的な側面が浮かび上がる。女性の権利を長らく認められなかった時代を体験したGOGOが身をもって学んだ教えだろう。智は力なり! 高齢ゆえに勉強がうまくいかない時もあるが、子どもに囲まれての初めての学校生活を満喫するGOGOの前向きさが周囲を触発し、親友を巻き込む展開が微笑ましい
80年代が舞台なのは、冷戦の余波があり、拝金主義に侵される前だからか? 冒頭のシークエンスでダイアナが叔母から受けた教えが重要で、フェイク氾濫にイラつく身に響いた。超常現象も絡むスーパーヒーローものなのに身近に感じるのは、ガールクラッシュをこじらせる友人バーバラや一攫千金以上のものを狙う詐欺師マックスがどこにでもいそうな人間だからだろう。人間の弱さに忍び寄る悪を正すヒーローものの基本に立ち返っている。政治的メッセージは薄いが、夢と希望を与える展開だ。ガル・ガドットは今まで以上にハードなアクション演技を披露し、スピード感も迫力も増している。長尺だが、ガルを見るだけでも楽しいので星1つ追加。
大物女優4人の競演が煌びやかな女性ドラマ。そろそろ就活?という妙齢のご婦人方が官能小説に触発されて恋心を奮起させる設定はいかにもハリウッド的だが、人生の先輩方にとっては意外にリアリティがあるのかも? 家事や仕事に追われる身としては、彼女たちの素敵で愉快なロマンスを横目で見るだけでも大満足。特にD・キートン演じる未亡人とパイロットの恋模様に憧れる女性は多いと思うが、現実的なのはM・スティーンバーゲン演じる女性と夫の関係かな。80代でも現役なJ・フォンダ演じるセクシー熟女などキャラ設定が『SEX AND THE CITY』を彷彿させ、“流行は巡るけど、友情は永遠”という名文句が頭に浮かんだ。
ペレストロイカが進むソ連でイスラエル移住が許可され、多くのユダヤ系ソ連人が移民したが、人生が一変した人ばかりだったろう。想像するだに切ない状況だが、声優夫婦を主人公とする本作はセンスのいいコメディに仕上っていて好感度大。さまざまな立場の移民の微妙な心境を巧みにすくい上げたE・ルーマン監督自身も移民と知って、納得だ。希望に胸を膨らませて移民したが、アイデンティティの危機に直面する声優夫婦を演じる役者の演技が素晴らしい。まさにベテランの技なり! V・フリードマンが演じる夫の不器用ぶりやちょっと古臭い映像はカウリスマキ作品を思わせるし、夫妻とフェリーニの関係など映画愛に満ち溢れている。
ミュージシャン志望のおバカ高校生は中年になり、第2弾での特訓はどうなったと突っ込みたくなるほど売れないまま。ピンチの二人を救うのがルーファスの娘や死神といった懐かしい面々なのがシリーズのファンにはうれしい! 迫る締め切りを前にタイムマシーンを使ってズルをしようとするビル&テッドの相変わらずのダメっぶりにニンマリだ。前作では息子だった子どもが娘に変わるという辻褄の合わない部分もあるが、それもご愛嬌。楽しそうに演じているK・リーブス&A・ウィンターは役者としては格差ができたが、堅い絆を培っているのは一目瞭然だ。大物ミュージシャンのカメオ出演もあり、音楽ファンも必見(多分)。