山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • ストックホルム・ケース
    違和感が残ったまま、最後までノレず。
    ★★★★★

    ストックホルム症候群の語源となった銀行強盗事件を映画化した実話もので、人質となった女性と犯人との間に生まれる感情に違和感を持った。犯人への好意は被害者にとっては生き残るためのサバイバル反応で、それ以上の感情が生まれるの? 違和感が残ったまま物語が進み、ノレないまま。強盗側も警察側も非常にのんびりしていて、サスペンスが感じられないどころか、「コメディ?」となる展開も余分な気がした。事件を再現した後に当事者の心理を分析する展開があったら納得できたかもしれないが、残念。E・ホークは人がいい感じで役にはまっているが、M・ストロングは持ち味を生かせずもったいなかった。

  • 十二単衣を着た悪魔
    いつの時代もしたたかな女が生き残るね
    ★★★★★

    源氏物語を「プラダを着た悪魔」的解釈で読み解いて、キャラクターを新たな角度から新分析した青春ドラマ。フリーター青年がいろいろと不便な平安時代に現代では感じられない生きがいを見出し、弘徽殿の女御にメンタルを鍛えられる展開は新型コロナで生き方を見直したい人の共感を得るかも。コミカルだけど、メッセージ性もある作品だ。三吉彩花がしたたかで頭脳明晰なヒロインを好演している。低めに抑制した発声もいい。最近とても気になっている伊藤沙莉が主人公の妻役で見事なシーン・スティーラーぶりを発揮している。

  • トルーマン・カポーティ 真実のテープ
    天才作家のコンプレックスと孤独が切ない
    ★★★★★

    19歳で作家デビュー、ブラック&ホワイト・ボール@プラザホテルと華やかなイメージが先行した作家カポーティの人生が再現された。未発表の音声テープや彼にとって娘同然だったケイト(恋人の娘)はじめとする人々の証言から浮かび上がるのは、不安定な幼児期の悲しさを抱え続けた男の孤独だ。特に興味を惹かれたのは、彼がスワンと呼んだソーシャライトとの関係性。富とステイタスを持って生まれた彼女たちにとって、おもしろいゲイの小男は宮廷の道化にすぎず、一方のカポーティは彼女たちに愛憎を抱く。そんなアンビバレントな感情が未完の問題作を生んだ図式が実に切ない。謎に包まれたこの小説の行方も知りたいものだ

  • 愛しの故郷(ふるさと)
    自虐的笑いができる若手監督の今後に期待
    ★★★★

    『愛しの母国』の姉妹編で、ニン・ハオやチェン・スーチェンら監督9人が5つの短編を紡ぐ人情ドラマ。健康保険に絡む騒動や脳梗塞を起こした恩師と最後の教え子たちの再会といったエピソードを “中国人あるある”的な言動が彩る。C・イーモウ監督作にはなかった自虐的笑いが効いている。全体的にコミカルだが、胸にグッときたり、思わずニッコリしたり。各短編をつなぐ「故郷」にまつわる一般人コメントがまた共感度が高く、コロナで帰省を断念していた人は里心がつくはず。『~母国』に続きグォ・ヨウやホアン・ボーがいい味を出していたが、ウー・ジンは発見できず。第5話の同窓生役かな?

  • ウルフウォーカー
    分断が進む時代に“共存”の美しさを教えてくれる素敵アニメ
    ★★★★★

    アイルランド民話を基にした物語で、絵柄が優しく、色彩のセンスの良さが光る。特に水彩ペン画を思わせる背景のタッチに痺れた。『アナ雪』で注目されたオーロラによる歌もアイルランド気分を盛り上げてくれる。イギリス支配下のアイルランドを舞台に描かれる狼ハンターの娘ロビンとウルフウォーカー少女メーブの友情から見えてくるのは、信念に従って正しく生きることの大切さと“共存”の美しさ。世界各地で分断が進む今こそ、意見や宗教を異にする者同士も憎しみを捨てて共存を目指そうと思わせる映画が必要だ。すべての老若男女に見て欲しい傑作。

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