山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • 朝が来る
    特別養子縁組制度が広く知られますように!
    ★★★★★

    幼い子供の虐待死が報道されるたびに養子縁組や里親制度がもっと知られていたなら結果は違っていたかもと思う。原作は社会派ミステリーという枠組みだが、河瀬直美監督は優しい家族ドラマに仕上げている。特別養子縁組制度によって関わることになった不妊夫婦と出産した中学生それぞれの事情や思いを丁寧に描いているので、各キャラクターに心を寄り添わせることができる。母として、女性としての複雑な思いと強さを体現する永作博美と、脆そうなのに揺るがない芯を感じさせる蒔田彩珠が非常にいい演技を披露する。終盤でやや急ぎすぎた感じがあるものの、特別養子縁組制度を周知する効果に期待したい。

  • ストレイ・ドッグ
    妥協しないニコ様のやさぐれぶりが圧巻
    ★★★★★

    強い女性を描き続けるカリン・クサマ監督とN・キッドマンのタッグでノワールものとは意外だが、渋い仕上がりで満足度は高い。見方によっては壊れてしまっている女刑事を演じるニコ様の独壇場で、荒んだ表情に重く苦い過去を背負っているのが見て取れる。特殊メイクの助けを借りてはいるが、さすがは演技派! シミだらけの老け顔のアップと若き日の美貌のギャップは、彼女としても見せ場のはず。現在と過去を交錯させるだけではなく、進行中の現在においてある仕掛けをした監督の演出が効いている。「やられた」という感じ。ただし、トビー・ケベルが役不足で、★一つ減らしたいくらい。

  • キーパー ある兵士の奇跡
    元捕虜が敵国で国民的ヒーローとなる驚き!
    ★★★★★

    捕虜だったドイツ兵士バートが第二次大戦後、イギリスの国技ともいえるサッカーの伝説的存在となった実話に驚く。地元チームの監督の娘への恋心が募って帰国を断念したあたりは脚色だろうが、名門チーム入団時のイギリス人の反発ぶりなど史実に忠実に描写されているようだ。過去を暴かれた主人公と家族の苦悩は理解できるし、サッカー好きなラビの赦しと英断に目頭が熱くなった。スポーツにイデオロギーを持ちこむべきか否かを考えるはず。心情的には悩むな~。バートがバート自身のトラウマと愛児の身に起きた出来事がを重ね合わせる演出もドラマティックだ。D・クロスはいかにも気真面目な雰囲気があり、バート役にぴったり。

  • 博士と狂人
    なんかすっきりしないオックスフォード版『舟を編む』
    ★★★★★

    辞典作りの長い道のりと完成時の達成感が見る側にも伝わった快作『舟を編む』的なものを期待したら、肩すかしを食った。アカデミック的には異端な二人の友情も心を病んだ殺人犯の恋模様も共感できないし、残虐な映像が際立って違和感あり。監督の趣味なのか? オックスフォード大の権威主義者に嘲られながらも不屈の闘志でチャレンジした、異色の経歴を持つ編纂者J・マレーの人生模様の方がよほど面白かったのでは? M・ギブソン&S・ペンによる濃厚な演技合戦もお腹いっぱいで、ゲップが出る感じ。明るさの加減や衣装&美術などは時代感を感じさせるし、時代考証もしっかりなされていて隙なし。でもね、退屈なのよ。

  • スタートアップ!
    ドンソク兄貴のオカッパ頭に目が釘づけ
    ★★★★★

    格差社会のなかで人生の目標すら持てない青年たちの自分探しを描く人情もので、家出したテギルが出会う街中華のコックさんをマ・ドンソクがコミカルに怪演する。オカッパ頭でアイドル好きで、目を開けたまま眠るマブリーのキャラが強烈すぎて、目が釘づけに! 「ガキかよ?」とツッコみたくなる言動も兄貴のファンならたまらないはず。もちろん軸となる青年二人の成長や脇キャラの人生模様も丁寧に描かれていて、笑ったり、胸アツになったり。『パラサイト』のように貧富の差や弱者を搾取する側への怒りは感じられず、清貧に甘んじて身の丈に合った暮らしをすべしという監督のメッセージ(?)が新鮮だ。

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