山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダン
    玄関マットのデザイナーと思ったら大間違い!
    ★★★★★

    ライセンス契約の先駆者であり、ハンカチや玄関マットをにロゴが使われているせいでチープなイメージがあったピエール・カルダン。その彼を尊敬すべき存在にする作品だ。今見ても新鮮なコスモ・コールや松本弘子に代表される非白人モデルの起用で一世を風靡し、ファッション界に新風を吹き込む姿がかっこ良すぎる。ジャンヌ・モローとの恋で同性愛の垣根を、プロダクト・デザインや劇場経営でファッションの垣根を飛び越えた。親族や忠実なスタッフに囲まれる姿がちょっとマフィアっぽいが、彼の功績を目の当たりにすると、カルダンこそはまさにクリエイターのドンと納得するはず。

  • フライト・キャプテン 高度1万メートル、奇跡の実話
    アンドリュー・ラウの矜恃を感じるディザスター映画
    ★★★★★

    中国版ハドソン川の奇跡と話題になった事件をアンドリュー・ラウが映画化したらこうなる、と考えなくても予想はつく仕上がり。信じられないほど危険な航空機事故を軸にしたディザスター映画ではあるものの、メインとなるのは人民の力によって危機を乗り越える過程だ。チャン・ハンユー演じる機長をはじめとする乗組員や航空運輸管理局、管制塔、空軍が一丸となってチベット人を多数含む乗客の命を守ろうとする姿に中国政府を重ねようとしている。実話を誇張し、畳み掛けるような感動演出も目立つ。とはいえ、実際に頑張ったのは乗務員だけとしか思えない展開で、そこに香港人ラウの矜恃を感じた。

  • 鵞鳥湖(がちょうこ)の夜
    中国が表に出したくない闇の深さよ!
    ★★★★

    経済力や軍事力などで他国を圧倒し、世界一へと上り詰める中国。国民皆ハッピーを強調する共産党の思惑とは真逆な、犯罪者ワールドも存在すると改めて思わせる中華ノワールだ。スタイリッシュな映像が闇に生きる人々の孤独を浮かび上がらせる妙味! もめ事に巻き込まれたムショ帰りの男と水浴嬢(娼婦)の絡みを軸に描かれる、アンダーグランドな人々の必死の攻防が実に切ない。かつては愛があった夫婦の決断や仲間への忠誠と裏切りは犯罪映画のお約束だが、統制された中国の社会事情がそれぞれの選択に大きく影響すると考えるのは穿ち過ぎ? 社会の腐敗と共存せざるをえない人々が求める幸せとは何か、と監督は問いかける。

  • リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ
    家族が支えた暴れん坊の人生リセット
    ★★★★

    兄弟喧嘩で<オアシス>から脱退したリアム・ギャラガーが再起するまでの紆余曲折を叙情的に再構成している。メディアが作り上げてきたリアム像と母親や兄、彼の子供たちが語るリアムの実態がかけ離れていて、虚構と真実の間で彼自身も迷子になっていたのではと思わせる。そんな彼が人生をリセットできたのも家族(兄ノエルを除く)のサポートが大きかったという展開は、リアムの家族観を反映しているのだろう。『ロッキー』的な一種のサクセス・ストーリーであり、<オアシス>を知らない若い世代でも興味深いと感じるはず。次はノエルが本音を語るドキュメンタリー映画を見てみたくなった。

  • マティアス&マキシム
    友情から始まる恋には男女共に悩むよね
    ★★★★★

    男女間の友情は成り立つか?から始まった『恋人たちの予感』を思い出させる愛の物語だった。息子と母親の歪な関係を描いてきたX・ドラン監督らしい毒母も登場するが、メインとなるのは青年たちの友情だ。親友への友情を超えた感情に気づいて葛藤するマティアス&マキシムと、彼らを取り巻く友人たちの関係性がとても瑞々しくて、優しい。恋の始まりって胸きゅんですな。マキシムのセクシュアル・マイノリティゆえの苦悩も感じさせるが、それを普通のことと受け入れる仲間の存在が観客にとっては癒しとなる。映画監督を目指す少女の頭でっかちな発言が頓珍漢で、素敵なコミック・リリーフだ。今までのドラン作品にはいないキャラで、とても新鮮。

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