山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • ソニア ナチスの女スパイ
    優れた才能ゆえに平凡に生きられなかった女優の秘話
    ★★★★★

    第二次大戦中の女スパイの物語と聞くとちょっとワクワクするが、実話なので当事者である女優ソニア・ヴィーゲットにただただ同情するのみ。どちらかというとノンポリで、父親から「立ち位置を明確に」と諭されたソニアが、ナチスに逮捕された父親を解放させようとナチスのお偉いさんに接近するあたりから、緊張感が増す。死と背中合わせの諜報戦に身を投じ、持ち前の演技力で危険を乗り越えた先にあったものは? 優れた才能ゆえに時代に翻弄されたソニアが失ったものが多過ぎて、戦争の虚しさを感じるのみ。I・B・ベルダルが身に着ける40年代の女優らしいグラマラスな衣装や全体的にノスタルジックな色彩も魅力的。

  • マイ・バッハ 不屈のピアニスト
    天才の波乱万丈な反生に圧倒される
    ★★★★★

    天才ピアニスト、ジョアン・カルロス・マルチンスの波乱万丈の半生を描く実話で、驚きの連続。長時間演奏に備えての薬物摂取(ドーピング?)がサラリと描かれるし、アルゼンチン政府の招きなのに売春宿に直行とは異人すぎる!? 才能を認められたのに、負傷で指が動かなくなったり、妻に捨てられたり。カムバック後に美人局被害に遭うに至ってはもう、苦笑するのみ。女好きの前フリもあり、「自業自得」という文字が頭に浮かんだ。次から次に不幸に見舞われつつも、強烈な音楽愛で乗り越えていくジョアンを知った今、コロナに怯えていてはダメねと反省。事実の羅列的な構成で、脚本に面白みが足りないのが残念。最後の本人演奏は素敵です。

  • ブリング・ミー・ホーム 尋ね人
    韓国オンマ版『96時間』が激アツ!
    ★★★★

    ここ数年、活動を控えていたイ・ヨンエの見事なカムバック。行方不明になった息子と思われる少年を救うため、母親が残酷で怪しい集団に立ち向かう。まさに韓国オンマ版『96時間』だが、特殊スキルのないヒロインの武器となるのは強烈な母性愛。罵倒されても、殴られても怯まない母親の強さにシビれた。イ・ヨンエの体当たり演技も激アツ。子供が行方不明になる事件は今でも世界中で起きていて、愛する人から引き離された家族それぞれの恐怖を思うと暗い気持ちになる。これがデビューのキム・サンウ監督は多分、いつかどこかで本作を見るかもしれない被害者の子供に「あなたを探す人がいる」と伝えたかったのだろう。

  • チィファの手紙
    なぜか懐かしを感じる中国版の岩井ワールド
    ★★★★

    岩井俊二監督が中国映画を監督とはすごいと思いつつ見てたら、自作『ラストレター』のリメイクでさらにびっくり。さまざまな後悔を抱えた大人と、まっさらな中学生を対比させながら人生の苦さを前向きな思いへ変えていく展開は変わらずだが、本作の方がしっくりきた。スマホ時代に手紙を書くヒロインも80年代の中学生の初恋模様も中国版だと違和感なく自然に受け取れる。不思議だ。ジョウ・シュンはじめとする出演者も感情豊かな演技を披露し、見る側をきちんと納得させる。細部が細々と異なるので比較しながら見るのも一興。ヒロインの姉(とその娘)」を演じたダン・アンシーの透明感のある美しさが強く印象に残った。

  • 損得抜きに、優しさと思いやり優先で自閉症者ケアに尽力する人々に心動かされる作品だ。システム優先で頭の固い行政とフットワークの軽いNGO団体の対比もわかりやすく、政治家は国の国幹を成す庶民にもっと寄り添ってほしいと思いたくなる。すばらしいと思ったのは、自閉症の実態をしっかりと見せたこと。映画やドラマでは天才的能力を発揮するように描かれることが多いが、そういう人は本当にごく一部。なかなか理解されない障害なのだ。自閉症者の起用にはデリケートな気配りが必要だったろうと頭が下がる思いだ。主人公をエネルギッシュに演じたV・カッセル&R・カテブが物語をしっかり引きしめている。副題は長すぎ!?

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