山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • WAVES/ウェイブス
    青春の葛藤が爆発し、それが癒しと希望へとつながる感動作
    ★★★★

    ブラック・ライブズ・マター運動でアメリカの黒人が直面する厳しい人生について少し理解できているが、主人公の少年タイラーと父親の関係性はそれを感じさせる。我が子の将来を思うが故の父親の厳しさが暴力的な結果を生む前半が痛すぎる。青春のくびきと言い切れない苦さと切なさに胸が締め付けられた。兄の行動が後半の妹エミリーの物語につながるのだが、映像やサントラのトーンが大きく変わる。家族の期待を背負った兄と違って目立たぬ存在のエミリーが実際は非常に思慮深く、心優しい少女で、家族問題で傷ついていた少年と彼女自身を癒していく後半に希望を感じさせるT・E・シュルツ監督の語り口に脱帽だ。

  • チア・アップ!
    何かにトライするのに遅すぎるってことはなさそう。
    ★★★★★

    終活に突入した老女マーサが一念発起してチアに挑戦! リタイアした老人が住む町で孤独をかこつ彼女がチアを通じて友達を作り、孫のような女子高生とも知り合い、世界をどんどん広げていく姿はガールス・パワー(老女だけど)全開。年寄りの冷や水とバカにされても、体力が追いつかなくても、“好き”を貫くマーサは、幅広い層の人々をインスパイアするだろう。D・キートンとJ・ウィーヴァーが水と油のようでいて、実はしっくりという親友コンビを自然体で演じているのもいい。老いを逆手に取ったジョークや小気味のいい台詞で笑わせるし、人生100年時代の今は何かにトライするのに遅すぎるってことはなさそうと思わせる。

  • 癒しのこころみ~自分を好きになる方法~
    人を癒し、自身も癒されるヒロインが健気ないい話
    ★★★★★

    ブラック上司にいじめられて退社した女性の成長物語で、予想通りの展開。想定外の出来事に弱い、今どきの若者向けのドラマだろう。登場人物も冒頭の上司以外はいい人ばかりで、ほっこりする逸話や鼻の奥がツンとする瞬間が満載。松井愛莉が演じるヒロインが先輩に鍛えられるのではなく、メンター的な存在の言葉で成長するのも平成っぽい。松井は非常に頑張っているし、健気な感じで応援したくなる。いい話だし。一方、気になったのがメンター役の藤原紀香! 水素水を愛飲し、スピリチュアルなイメージが強い彼女の胡散臭さは映画のテーマに合っているようで、実際はマイナス。セラピストという職業の信頼度が失われそう。

  • カセットテープ・ダイアリーズ
    アートのパワーを感じる、痛快で温かい青春ドラマ
    ★★★★

    抑圧されたインド人女性の視点で描く物語に定評あるG・チャーダ監督の新作は、パキスタン移民少年の視点で進む。80年代のイギリスに生きるロックと詩をこよなく愛する少年ジャベドが感じる閉塞感と、それを打破する鍵となるB・スプリングスティーン音楽を巧みに組み合わせ、時代感を見事に再現。保守的な父親の無理解や白人の蔑視で疲弊した心を癒し、さらには世界に飛び出したいと願わせるボスの音楽の使い方もナイス! 人間をインスパイアするアートのパワーを感じる。街中で歌い踊るミュージカル的なシーンが印象的だし、偏屈な隣人とジャベドのちょっとした会話やなどで人間の温かさも演出。チャーミングな快作だ。

  • レイニーデイ・イン・ニューヨーク
    ウディ・アレン監督のホームカミング
    ★★★★★

    TVシリーズやオペラ演出で仕事の幅を広げたW・アレンが原点のスクリューボール・コメディ@NYに戻ってきた。マンハッタンでデートするはずの大学生が次々とハプニングに遭遇し、愛が皮肉な方向へ進む。アレンにとってはお家芸だが、監督の分身であるギャツビーを演じたT・シャラメら若手が新鮮なテイストを加えている。コミカルでありながらロマンティックな雰囲気を醸し出すS・ゴメスが実に素敵だ。脇を固める役者も大物揃いで、非常に贅沢。久々のNY撮影がうれしかったようでアッパーイーストサイドからソーホーまで縦断し、御贔屓カーライルホテルやセントラルパーク などの名所も多数登場。バーチャルNY散歩にぴったり!

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