山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • 母との約束、250通の手紙
    褒めて伸ばされて成功した作家の驚愕の半生!
    ★★★★

    独断的なシングルマザーに振り回される少年の物語と思いきや、深すぎる愛情を子に注ぐ母親と期待に応えたロマン・ガリの実話。「将来はフランス軍で勲章を得て、外交官になり、作家となる」と息子に根拠のない夢を託す母親は序盤、毒母っぽい。が、彼女を描写する息子視点が愛に満ちているので、すぐに母子の強い絆と受け入れる。孟母三遷的に移民もするし。演じるP・ニネは線が細く、それ故に母の重すぎる愛に複雑な思いを抱く青年像にリアリティが増す。S・ゲンズブールは最初から最後までエキセントリックな母親を快演。老けメイクもお似合いで、ニネとの母子シーンも違和感なし。見終わって、子供って褒めて伸ばされるんだなと思いました。

  • バッドボーイズ フォー・ライフ
    主人公の老いも感じさせつつ、アクション全開!
    ★★★★★

    スタイリッシュなアクションがお得意なM・ベイ監督の原点となったシリーズの第3弾。バトンを託されたベルギーの若手コンビは作品DNAを引き継ぎ、壮年に差しかかった刑事コンビの人生観の違いや過去も絡む警察アクションに仕上げている。マイク&マーカスを演じるW・スミスとM・ローレンスの相性の良さは健在だが、歳月の流れも感じる。17年前に比べると警察の捜査技術は進化し、ハイテクを駆使する若手チームVSオールドスクールにニヤリとさせられる。女性上司も時代を反映している。しかも驚くべきことに単なる勧善懲悪に終わらせず、なおかつ家族の重要さを強調するメッセージが! それがこのシリーズの進化ともいえるのだ。

  • 9人の翻訳家 囚われたベストセラー
    密室ミステリーかと思ったら、意外なひねりが!
    ★★★★

    機密保持のために翻訳家を隔離する設定だし、死者も出るので心理サスペンスを軸とする密室ミステリーと思い込んでいたら、中盤から様子が一転。解かれるべき謎が追加され、ベストセラー本をめぐる人々の関係性や出版社社長の過去が大きな鍵となる仕掛けが待っている。先の読めない脚本は満足感が高く、この脚本家チームなら完全犯罪も不可能じゃないかもと思わせる。謎めいた青年アレックス役のA・ロウザーはじめ、怪しいご面相のリカルド・スカルマルチョや何を考えているのかわからないM・マヴロマタスキらクセ者揃いな国際的キャスティングもバランスがよく、物語に深みを与えている。

  • 嘘八百 京町ロワイヤル
    だましもバカバカしさもパワーアップ!
    ★★★★

    ダビデとゴリアテの教訓に通じるコンゲームが痛快だった前作を踏襲する作りで、湧き上がる期待も裏切られない。真贋を問われるアイテムは、有名な織部の茶器で、趣味人じゃなくても楽しめる。しかも古物商と陶芸家の主役コンビが茶器を巡っての人助けに乗り出すのだから、「弱きを助け強きをくじく」図式に胸踊らないわけがない。コレクターに扮する外国人など“だまし”メンバーも増強され、仕掛けも大掛かり。しかも坂田利夫扮するよっちゃんの役回りなど、良い意味でのバカバカしさもあり、見る人の心理をつかんだ緩急のある脚本が絶妙。シリーズ第3弾をぜひとも作って欲しい。

  • ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密
    古典ミステリーを現代風にアレンジ
    ★★★★

    科学捜査の発展で殺人事件の謎解きも理数系っぽくなっているけれど、本作はアガサ・クリスティー的な人間の業や情緒面に重点が置かれている。しかも現在のアメリカが直面している移民問題や格差社会問題、セレブ病ともいえる承認要求などが盛り込まれていて、単なる謎解きミステリーとは一線を画す味わいだ。しかもヒロインの特異体質といった笑える要素も散りばめられていて、R・ジョンソン監督の守備範囲の広さを実感できる。D・クレイグやC・エヴァンズら大物スターの肩の力を抜いた演技も素晴らしいし、アナ・デ・アルマスが意外なコメディエンヌぶりを発揮し、とってもチャーミング。

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