山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • オリ・マキの人生で最も幸せな日
    フィンランド版『ロッキー』のテーマは愛!
    ★★★★

    小洒落た16ミリのモノクロ映像と時代設定のせいで一瞬、ヌーベルバーグ映画?と思ってしまう。やがて大試合を控えたボクサーの物語とわかるが、ボクシング映画にあらずというのがポイント。練習や減量、スポンサー接待に謀殺されて自分を見失いかけた主人公オリが心の拠り所を見つけ、真の幸福を手に入れるまでの物語なのだ。大試合に向けて必死なマネジャーとオリの温度差、お茶目なライヤと生真面目なオリの会話など思わずクスリとなる場面も多い。ラストのサプライズ演出でさらに心が温まるし、何度も見直したい作品だ。

  • 私の知らないわたしの素顔
    知らないのではなく、隠していた面では?
    ★★★★★

    精神分析医と面談する女性クレールの問題点が炙り出される構成は目新しくないが、徐々に明かされる謎で意表をつく仕掛け。とはいえ、彼女の成りすましツールとなる写真によって、早くから全体像が見えてしまうかも。
    ヒロインがSNS恋愛にハマる理由はよくわからないし、交わされる文章もインテリ心を刺激しているとは思えない。だからこそ逆にクレールの心の闇が深いと感じられた。危うい精神状態のヒロインを体あたりで演じたJ・ビノシュの好演で星一つ追加。ただし、監督の求める共感ポイントと思われる終盤のクレールのつぶやきに関しては、大失恋や恋人の裏切りを経験してなかったいい女アピール?と逆に冷めてしまった。

  • リチャード・ジュエル
    ヒーローらしからぬヒーローを待つのは?
    ★★★★

    サリー機長やクリス・カイル狙撃手ら実在するヒーローに魅了されているC・イースウッド監督がオリンピックに向けて綴った物語だ。アトランタ五輪中に爆発物を発見した警備員R・ジュエル(大勢の命を救った英雄)が思い込みの激しいFBI捜査官とメディアに吊し上げられる様が恐ろしい。犯人プロファイリングや事実を暴くはずの調査報道が常に正しいとは限らないのだ。ある意味、負け犬が権力に戦いを挑む物語であり、判官贔屓の私は、風変わりだったが故に容疑をかけられたジュエルに思い切り肩入れ。P・W・ハウザーがキャラにハマった演技を披露するし、ジュエルの弁護士を演じるS・ロックウェルが要所をピシッと締めている。

  • マザーレス・ブルックリン
    現代アメリカの政治情勢を彷彿させるNYの深い闇!
    ★★★★★

    イカしたジャズをBGMに腐敗した政治や人種問題、兄弟の確執がからむ複雑な物語が展開し、ノワール感満載だ。父親代りのボスの無念を晴らす私立探偵ライオネルがニューヨークの巨悪と対峙する展開に現代アメリカの政治情勢が重なって見えた。巨悪を演じるA・ボールドウィンはトランプ大統領のモノマネでも人気なので、キャラクターにトランプ要素が入ったのも仕方なしだろう。残酷でレイシスト的なセリフにゾッとした。監督・脚色・主演の三役を果たしたE・ノートンは、ライオネルを変人ではなく、人間味のある男として描いている。彼のトゥレット症候群による発言がちょっとしたユーモアになっていて、観客の共感度を高める熱演だ。

  • ティーンスピリット
    名監督のDNAを感じさせる青春佳作
    ★★★★★

    名監督を父に持つ俳優マックス・ミンゲラの監督デビュー作は、アンソニー・ミンゲラのDNAを感じさせる佳作だ。多くのスターを生み出している才能発掘番組を軸にモヤモヤした思いを抱えた少女の変貌と現状打破への渇望を鮮やかに描き出している。ヒロインが感じる閉塞感や鬱屈も説明することなく、ちょっとした場面を入れ込む心象演出で表現。音楽オタクと自称するだけあって、音楽チョイスもセンスいい。もちろん最大の魅力は、ヒロインを演じるE・ファニングの演技力と歌唱力。彼女は今後、N・キッドマンやR・ゼルヴィガーみたいにミュージカル女優としても活躍できそう。

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