山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • 私のちいさなお葬式
    ロシアの終活はちょっとエクストリーム
    ★★★★★

    心臓に欠陥がある老女エレンが死ぬ気満々で着々と終活を進めるのだが、悲壮感ゼロ。終活では死や火葬に対する考え方や貧困&飲酒問題、遺体への尊厳の無さ、死亡診断書をめぐる惰性的なお役所仕事などが次々と明らかになり、ロシア人のメンタリティに驚くことしきり。老女が成功した息子との微妙な距離感を詰めるのがサブプロットなのだが、本音を打ち明け合って大団円とはならない点がまたロシア的なのだろう。老女役のM・ネヨーロワが可愛いのが救いだが、相当なカルチャー・ギャップに面食らった。世界は広い! 奇跡の鯉と『恋のバカンス』がホンカワして良し!

  • ジョン・デロリアン
    ゲス男にも見抜かれるカッコつけ男のダメさが切ない
    ★★★★★

    『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場したかっこいい車を作ったエンジニア、J・デロリアンが巻き込まれたコカイン密輸スキャンダルの裏側に唖然とする実話ドラマ。セレブを宣伝に利用し、美容整形や作り話で飾り立てたデロリアンの実態がダメすぎて笑える。薬物密輸でFBIに目をつけられたゲス男にまで同情される始末だ。ダメ男同士の奇妙な絆が切なくも滑稽だが、演じるL・ペースが生真面目すぎて、笑いのツボを損なったのが残念なり。ゲス男役のJ・サダイキスとスイッチしたほうがしっくりきたかも。実話『バリー・シール』といい、本作といい、CIAやFBIって逮捕件数がポイント制なのかと疑いたくなった。

  • リンドグレーン
    児童文学の大家は、時代のはるか先を行く女性でした
    ★★★★

    「長くつ下のピッピ」や「名探偵カッレくん」シリーズなどを愛読していたが作家A・リンドグレーンの人となりについては無知。だから、爆発的エネルギーを持て余した少女時代の葛藤や保守的で宗教心の篤い両親との軋轢、10代での妊娠・出産といった思いがけない実像にぐいっと引き寄せられる。か弱そうに見えて、芯が強靭な主人公を演じるアルバ・アウグストの存在感が光る。ヒロインの複雑な心理を奥行きの深い演技で表現していて、リンドグレーン作品から読み取れる不屈の闘志の原点がよくわかった。彼女が下した様々な選択や生き方からも時代はるか先を行く女性だったこともよくわかり、さらに感動。

  • ラスト・クリスマス
    センチメンタルなChristmas映画!
    ★★★★★

    脚本家としてもオスカー受賞しているエマ・トンプソンがワム!のヒット曲から発想しただけあって、Christmas映画らしい仕上がり。とある男性との出会いで心清くなるヒロインが他者への思いやりや家族の大切さに気づく展開を「ありきたり」と皮肉に思わずに、素直に受け止めたい。ホリデーシーズンだしね。主人公を演じるエミリア・クラークは現代劇となると顔芸がものすごい上、やや演技過剰に思えるシーンも多々。ただし、控えめ演技なH・ゴールディングとのバランスは取れているので、物語を邪魔することはない。P・フェイグ監督らしい笑いには欠けるが、センチメンタルな気分に浸れる。そして次回のロンドン旅行の宿題もできた。

  • THE INFORMER/三秒間の死角
    組織を裏切り、FBIに裏切られる男のサバイバルは激アツ!
    ★★★★★

    FBIが減刑をエサに犯罪者を協力者に仕立て上げるのが真実かどうか知らないが、主人公ピートの背景や人格造形に無理がなく、共感度が高いのが魅力のひとつ。組織を裏切り、さらにはFBIに裏切られる彼の必死のサバイバルは「さすが」と唸るののみ。J・キナマンも好演。素晴らしいのは、クライマックスの脱走劇。派手なアクション演出が生む緊張感が心地よいカタルシスへと昇華され、満足度高し。FBIとNYPDの不仲などお馴染みのネタも多いが、両方に花を持たせる展開も用意されていて、A・ディ・ステファノ監督のバランス感覚の良さを感じさせる。それにしても、人間味ゼロの権力者って嫌だね。

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