山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • 幸福路のチー
    硬派なメッセージが伝わる台湾版ちびまる子ちゃん
    ★★★★

    ここ数年のブームで、とても親しみのある台湾だが、実は民主化されたのは1996年。70~80年代に生まれた世代は激動の歴史の影響を受けていて、ソン・シン監督もそのひとり。祖母の葬儀で故郷の街に戻った主人公チーが振り返る人生は台湾の歴史と重なり、優しい従兄弟の視力低下や少数民族への差別意識など負の歴史をもきちんと描いている点に監督のまっすぐな気持ちを感じた。またヒロインや親友ベティの人生選択に女の強さをにじませていて、アラサー&アラフォー女性なら思わずガッルポーズする瞬間も少なくないはず。絵柄は可愛いが、伝わってくるメッセージは硬派だ。

  • テルアビブ・オン・ファイア
    緊張感あふれる国際紛争もコメディになります!
    ★★★★

    タイトルから政治ドラマだと勘違いしていたが、パレスチナとイスラエルの関係をコメディにしてしまう発想に感心した。イスラエルとヨルダン川西岸地区の関係や検問所、アラブ系昼メロ製作側の立ち位置といった政治問題ネタも絡むが、基本はイスラエルのアラブ系市民であるサラムの成長と恋。第三次東戦争を背景とする安っぽいメロドラマ製作に関わるサラムが陥る困った状況、彼に脚本アイデアを伝授するイスラエル人将校の奇妙な絆で笑わせる。緊張感あふれる国際問題を意識させながら、さらに一歩踏み込み、紛争に直面する人の人間性を伝える雪だるま式コメディだった。

  • ゾンビランド:ダブルタップ
    ヒット作の続編は難しいけど、荒技で大逆転
    ★★★★★

    ゾンビが徘徊する世界をサバイブした4人組のその後で、新たな生存者も登場。ただし基本設定はほぼ同じで、成功の方程式を変える必要なしということだろう。進化したゾンビやマリファナ好き平和主義ヒッピーの命名、コロンバスとウィチタの関係を危うくさせるノー天気女のパリス・ヒルトン的な言動でニヤリとさせる。エマ・ストーンがオスカー女優となっても偉ぶらずに、こういう映画に出演するのがファンとしてはうれしい限り。きっと性格がいいのだ! 一方、不要と思われるシーンや登場人物もいて、ヒット作の続編製作の難しさがのぞく。R・フライシャー監督もそれを感じたのかもしれず、意外なカメオという荒技で大逆転! これには参った!

  • EXIT
    韓国産サバイバル・パニックは、面白さ保証!
    ★★★★★

    ニート青年ヨンナムが唯一の特技を生かしてサバイバルする物語は、アドレナリンが出っぱなしの面白さ。毒ガスが撒かれる背景などで韓国経済に対する不満に触れるが、最大の見どころは毒ガスからの逃避。救助ヘリを待ちながらビルの壁をよじ登り、ビルからビルに飛び移る。次々に立ちふさがる障害の設定も克服の仕方もとてもリアルで、劇中でメンションされるT・クルーズ作品の突拍子のなさとは対極だ。ヨンナムもコンビを組む美女も究極の状況でエゴを捨てられる人間で、この徳の高さは見習いたいと思うと同時に、体を鍛えないとサバイバルできないと猛省。主演のチョ・ジョンソク&ユナはスタント演技もこなしていて、それも素晴らしい!

  • 決算!忠臣蔵
    武家社会にサラリーマン社会が重なります
    ★★★★

    日本人が大好きな忠臣蔵をかかった費用から読み解き、お笑い要素をたっぷり含ませた楽しい作品に仕上がっている。忠義や武士道の見本として美化された討ち入りが経済面で実行すれすれだった事実を数字入り画面で明かすので、実にわかりやすい。限られた予算でなんとか頑張る姿は、日本中のサラリーマンの共感必至のはず。大石内蔵助が短気な社長の尻拭いをする部長か何かに見えてくる。大石という武士は討ち入り費用の帳簿をしっかり記録していたわけで、その細かさが成功につながったのだなと感心。堤真一はじめ、笑いのつぼを心得た役者陣がいい。

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