山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • スペインは呼んでいる
    物真似がますます冴え渡る人気シリーズ
    ★★★★★

    S・クーガンとR・ブライドンが新聞の食レポに出る人気シリーズの第3弾は、ファンなら爆笑確実。もちろん、中年の危機を感じる二人がストレスフルな現実を忘れる息抜き旅行(?)をしながら、それぞれが大事にしていることを再確認する流れは同じで、ややマンネリ気味。でも虚実が混在する会話の間に挟まれる二人の物真似合戦が魅力の一つで、W・アレンやマッケラン様、M・ブランド、デニーロと百花繚乱。しかも、今回はさらに高度。“M・ケインのモノマネをするM・ジャガー”を真似たロブをクーガンが真似るなんて複雑すぎるネタが披露され、思わず拍手しそうになった。

  • ラフィキ:ふたりの夢
    普通の恋も命がけという不条理に憤る
    ★★★★★

    個人の性的指向に国家が口出しする理由がわからないが、同性愛が違法な国はまだまだ多いらしい。本作の舞台であるケニアもそうで、ポップ&カラフルな青春ドラマに仕上げてはいるが、ヒロインのケナ&ジキを取り巻く環境が恐ろしい。同性愛者だからと暴力を振るわれたり、暴言を吐かれたり。さらには宗教の力で“まとも”になると信じる人々の無理解、というか無知!? 普通に恋したはずが、実は命がけという不条理に憤った。ケニアでは通常上映ができなかったらしく、LGBTQへの根深い偏見が取り除かれる日はまだまだ遠そう。

  • 残された者−北の極地−
    マッツの表情演技が「生きる」意味を教えてくれる
    ★★★★

    北極に取り残された男がある出来事をきっかけに再び生気を取り戻していく姿から見えてくるのは、「生きる」意味。極寒に耐えながらの雪中行軍や北極グマとの戦いなどアクション場面も多数だが、単なるサバイバル劇というよりも人間ドラマとして見応えたっぷり。セリフはかなり少なく、マッツ・ミケルセンの表情演技の素晴らしさが際立つ。瞳の輝きの変化や負傷した女性への接し方を見れば、生存と生きることは明確に異なるのだなと実感するはず。エンディングの解釈は見る人の性格によって変わると思うので、鑑賞後の会話のネタにして!

  • 永遠の門 ゴッホの見た未来
    ゴッホの視点を再現したかのようなカメラワークが素晴らしい
    ★★★★

    ゴッホがもっとも精力的に絵を描きながらも、精神的には壊れかけていた晩年2年間に光をあてたJ・シュナーベル監督のゴッホ解釈が腑に落ちる伝記映画だ。まず印象的なのがカメラワーク。焦点をずらしたり、ティルトさせたり、ゴッホの動きに同調したり。ゴッホの瞳に見えていたであろう風景が再現されていて、臨場感がはんぱない。W・デフォー演じるゴッホは情緒面に問題アリかもしれないが、南仏の自然や陽光に希望を見出したポジティブな男性にも思える。これは監督がゴッホの拳銃自殺説に関する新解釈を採用しているためだろう。映画鑑賞後に足を運んだゴッホ展の満足度は非常に高かった。

  • 最初の晩餐
    食事が思い起こさせる、家族のあり方や存在意義
    ★★★★★

     通夜ぶるまいに家族の思い出の食事を提供する設定が単なるギミックで終わらず、家族のあり方や存在意義について深く考えさせてくれる人間ドラマだった。各メニューにまつわる懐かしい逸話だけでなく、家族それぞれが抱えてきた感情を掘り起こす演出も心地よい。前半に登場する親族の一言で、平凡な家族ではなさそうと見当をつけるも、徐々に明かされる秘密には意表を突かれた。両親役の斉藤由貴&永瀬正敏に加え、人生に迷っている姉弟役を演じた戸田恵梨香と染谷将太もとてもリアル。子役や葬儀客にいたるまで役にきちんとなり切っていて、絶妙のアンサンブル。
     余談だが、最初に出されるチーズエッグを真似したけど美味でした。

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