山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

« Prev 全1,179件中436~440件を表示しています。 Next »
  • ライリー・ノース 復讐の女神
    勢いはあるんだけど、説得力に欠けるね
    ★★★★★

    綿々とリメイクされる『狼よさらば』の変形バージョンで、復讐者が平凡な主婦ライリーという点がポイントか。ターゲットを順番に仕留めて、大本営に迫る展開もわかりやすい。私怨を晴らすだけでなく、スキッドロウの聖母となっている設定でヒロインの人間性を描写するのもいい。が、ライリーが不死身の女へと変貌する過程が描かれておらず、説得力に欠けるのが難点。勢いだけで突っ走りすぎ。ライリー役のJ・ガーナーのアクション演技は素晴らしく、『96時間』などのアクション活劇が好きな人なら楽しめるはず。とはいえ、映画通ならば「物足りない」とか「くだらなすぎる」と不満が残るでしょう。

  • バオバオ フツウの家族
    同性婚が当たり前になる日が早く来るといいな
    ★★★★

    子供が欲しい同性愛者カップルの葛藤はもちろん、彼らの親世代の困惑や苦悩を丁寧に描き、希望を感じさせる仕上がりで高感度大だ。悩める妊婦と彼女を全力で守ろうとするパートナーの愛が微妙にすれ違う様も共感度大だ。台湾はアジアで最初に同性婚を認めた国であり、以前から素晴らしいLGBTQ映画も多く、本作はまさにその一つ。しかも台湾映画らしい温かな視線で人間を見つめたシエ・グアンチェン監督の手腕が光っている。これが長編デビュー作というが、こなれた演出力を発揮していて、次作がとても楽しみ。そして日本でも同性婚が当たり前になる日が早く来るといいなと思ったのでした。

  • エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ
    誰にでもある“黒歴史”な時期をポップ&リアルに描写
    ★★★★★

    思春期は大半の人にとっては黒歴史だが、SNSにどっぷり浸る今どきティーンにとっては人生を左右する重要な時期に違いない。強烈な自意識と現実のはざまで爆発寸前の主人公ケイラの言動やユーチューバーぶりが痛々しく、保護本能を刺激された。彼女を取り巻く若者も「こういう子、いる!」という設定で、青春ドラマでは脇キャラでしかない存在に焦点を当てたB・バーナム監督の慧眼! 主演のE・フィッシャーのぽっちゃり体型と鈍臭そうな存在感も効いている。ハリウッド的なハッピーが起きるわけでもなく、冴えない彼女がそれなりに現実と折り合いをつける展開がものすごくリアルだし、ケイラ世代の若者の感想が知りたい。

  • レディ・マエストロ
    クラシック音楽界の旧弊さに驚きました
    ★★★★★

    女性の社会的立場が現代よりも格段に低かった1920年代に「指揮者になる!」という夢を追い続けた音楽界のパイオニア、A・ブリコの情熱とパワーに圧倒される実話だ。家族関係や恋愛パートなどは脚色もあるようだが、女性であるがゆえに味わう屈辱や差別も描かれ、女性としての連帯意識が芽生える。時代こそ違うが、愛とキャリアの狭間で悩む姿に共感する女性は多いはず。彼女をサポートした友人の描きかたもとても今っぽく、世間になかなか受け入れられないアウトサイダーの偏見と無縁の思考こそが時代を切り開くと思わせる。ただし、エピローグで知らされる事実でクラシック音楽界の旧弊さを知り、驚愕するやら、呆れるやら。

  • おいしい家族
    家族に重要なのは血縁だけじゃないとしみじみ実感
    ★★★★★

    父親が母親になったというコピーのせいで性同一性障害の話かなと思ったら、想定をポンと超える絶品の家族ドラマが広がっていった。母親としての佇まいも板についた板尾創路はじめ、役者陣はみな快演。小道具や衣装の使い方も巧み! 驚愕の状況に身を置くヒロインの心模様の変化が観客のそれと重なる構成に説得力もある。ときにコミカルで、ときに心にグサリと突き刺さる痛みをともなう人々の営みは上手に転がしながら、人生で大切なものをしっかりと伝えてくれた。家族を作るのは血縁だけじゃないとしみじみ実感。個人的な感想になるが、監督の家族観に深く共感できた。ふくだももこ監督の名前は一生忘れないだろう。

« Prev 全1,179件中436~440件を表示しています。 Next »
[PR]
おすすめ特集
映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
スポンサード リンク