山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

« Prev 全1,179件中441~445件を表示しています。 Next »
  • アド・アストラ
    孤独と対峙したとき、人間はどう変わっていくの?
    ★★★★★

    宇宙ステーションから地球に落下した主人公が生き延びる冒頭でアクション大作かと思いきや、心の傷ゆえに他人とコネクトできない宇宙飛行士の心の旅だった。父子ドラマに『地獄の黙示録』的なミステリー要素を絡ませて主人公の心模様を叙情的に描くあたりはJ・グレイ監督らしさだが、今まで以上に完成された印象を受けた。B・ピット演じる宇宙飛行士の人生観や孤独観が詰まったモノローグはかなり意味深で、アンジーと破局直後に出演した映画ということもあり、彼自身の考えも台詞に入っているのかもと思わせた。それゆえ、キャラへの感情移入も半端ではなく、成熟した演技は賞レースにも参戦できそう。

  • プライベート・ウォー
    戦争の恐怖を伝えるジャーナリストの覚悟にひれ伏すのみ
    ★★★★★

    『バハールの涙』に登場する女性ジャーナリストを見て、メリー・コルヴィンのことを思い浮かべた人は多いだろう。戦場ジャーナリストとして、戦争に巻き込まれた一般人の状況を伝えようと戦場に足を踏み入れ続けた彼女の強さはどのように培われたのか? メリーを支えた人々の思いは? 新聞記事やTV映像でしか知られていなかったジャーナリストの素顔や人となりを真摯に伝えようとした製作陣と主演のR・パイクの熱演に引き込まれる。声のトーンを落とし、30代から50代までを自然体で演じたパイクのなりきりぶりは一見の価値あり。戦争の恐怖を伝えるという使命に殉じたコルヴィンの払った犠牲の大きさを痛感する物語だ。

  • お料理帖~息子に遺す記憶のレシピ~
    愛情と思いやりが込もったエランの料理を食べてみたい
    ★★★★★

    秋だと栗ご飯やキノコ汁、サンマの塩焼きなどなど。歳を重ねるに連れ、母親が旬の食材で作ってくれた季節感あふれる料理への感謝が増す。その気持ちを改めて噛みしめる物語だ。しかも総菜屋を営む主人公エランは醤油や味噌、麹から手作りし、医食同源を思わせる料理も登場。食べる人への愛情や思いやりが込もった料理の描写が素晴らしい。料理からエランの人となりや情の深さが伝わる仕掛けだ。彼女の身に起きた出来事が息子と娘に影響を及ぼす展開に新鮮味はないけれど、説得力はある。「忘れたいことは忘れないのに、忘れてはいけないことを思い出せない」もどかしさは想像するのみだが、やがて実感する日に備えたいと自戒した。

  • 僕のワンダフル・ジャーニー
    ご都合主義とディスらず、素直に楽しんで!
    ★★★★★

    何度も生まれ変わって、最愛のご主人と再会を果たす奇跡の犬ベイリーが今度は義孫CJを守ろうと奮闘! 新たな犬生では不慮の事故に遭遇したり、鋭い嗅覚を生かしてガン探知犬として活躍したり。犬とは人間のベスト・フレンズ以上の存在と実感する場面も多い。しかも受けた愛情をそっくりそのまま返してくる犬たちの健気さに涙腺もついつい緩みがち。ビーグルやヨークシャテリア、アフリカンボーアボールといった犬たちが熱演するので、シニカルな人もきっと家族の絆って大切よね~と思うはず。広大なアメリカが狭く思えるほど再開する確率が高いので“ご都合主義な脚本”と突っ込むなかれ、ここはひとつ素直に楽しんでほしい。

  • 帰れない二人
    最高にロマンティックで切ない純愛を描くヤクザ映画
    ★★★★★

    変貌著しい中国社会と黒社会で生きる男女、チャオとビンの関係をシンクロさせる構成だが、恋愛がメインなのに驚く。が、監督のストーリーテラーぶりは相変わらず感動的だし、ロマンティックな余韻に酔いしれる。若き二人が火山を見ながら「高温で燃えた灰はピュア」と話したように、激しく燃えたがゆえに純愛となった思いを胸に抱き続けるヒロイン、チャオの覚悟にただもう胸を打たれた。裏切った男が弱ると“江湖の義理”で助けの手を差し伸べつつも、プライドから愛情を受け取ることは拒否する心情に激しく共感した。演じるのは監督のミューズでもあるチャオ・タオで、一途で激しく、何があっても生き抜ける強い女性役がピタリとはまっている。

« Prev 全1,179件中441~445件を表示しています。 Next »
[PR]
おすすめ特集
映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
スポンサード リンク