山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • 長いお別れ
    いつかは始まる親の介護に備える意味でも必見
    ★★★★★

    チャンドラーの小説と同じタイトルだが、言葉の意味が深く心に沁みた。老いた夫婦と悩みを抱えた娘たちが認知症と向き合う姿を数年に渡って追う展開に説得力アリ。認知症問題だけでなく、愛を見つけられずに落ち込んだり、家族との距離に悩んだりする娘側の事情にも焦点を当てたのが効いている。しかし注目はやはり、老父役の山崎努だ。漢字能力を褒められてニンマリしたかと思えば、万引きで家族を困らせたり。認知症特有の行動がリアルに伝わってくる。悪役や強面なイメージが強かった山崎が愛すべきご老人を体当たりで快演し、その役者魂に感動する。松原智恵子が演じる老妻も愛らしさのなかに芯があって、さらにお茶目なのもいい。

  • ガルヴェストン
    繊細と骨太が交錯するメラニー・ロラン節
    ★★★★★

    殺し屋ロイの贖罪と復讐がテーマなのでハードな暴力シーンがあるものの、中心となるのは心に傷を負った者の人間ドラマ。メラニー・ロラン監督はロイと彼がギャングから救った少女売春婦ロッキーが絆を培う過程を繊細に、ニュアンスたっぷりに描いており、観客は二人に感情移入しやすい。ノワール色が濃い犯罪ドラマだがハリウッド風味ではないし、繊細と骨太が交錯する演出にロランの才能を感じる。役者がまたベストな配役! 演技派B・フォスターがロイの複雑な心理を見事に演じ切っているし、あどけないE・ファニングの売春婦っぷりは見ているこちらが辛くなるほど。

  • 台北セブンラブ
    トレンディドラマ風だけど、恋愛の核心をついてます
    ★★★★

    ここ数年の台湾におけるデザイン進化は目を見張るものがある。そのデザイン文化と恋愛を融合させたアイデアにまずニヤリ。しかし舞台設定や人物設定がスタイリッシュという単なるおしゃれ映画ではなく、恋愛の機微や残酷にも感じられるリアルな現実をしっかりと描く演出に引き込まれる。現代の若者像や彼らの考え方が伝わってくる軽妙な台詞の応酬も素敵で、これぞ脚本の妙と感服。また男女7人の心理描写が実にセンス良く、チェン・ホンイー監督作はこれが初めてだが、もっと見たいと思わせる。ただし挿入される舞台裏話は不要な気がした。モテ女ドロシーを演じたアン・シューの“絶世の美女”じゃない、抜けた感じが高感度大。

  • リトル・フォレスト 春夏秋冬
    自然を受け入れながら暮らす人生ってなんて素敵!
    ★★★★

    都会の生活に疲弊したヒロインが故郷でのスローライフで自分を取り戻す展開はファンタジー的ではあるが、見ていて「うらやましい」となるのも事実。母娘間の問題や恋愛の悩みなども描かれるが、これといった事件が起こるわけでもない。自然の流れや季節を大事にしながら日々の生活を営む主人公たちの田舎ライフは、ストレスフルな環境に生きる人に一種の潤いを与えてくれるはず。2部に分かれた日本版も大好きだったが、韓国版はあまり馴染みのない料理が次々に登場する点が興味深い。自家製マッコリやアカシアの花(なのかな?)の天ぷら、白菜のチジミなど実に美味しそうだし、ヒロインの料理の手際が実に素晴らしい。何度も見たくなった。

  • ホワイト・クロウ 伝説のダンサー
    バレエ界の元祖“野獣”はフレエフだった!
    ★★★★★

    世界一優雅な野獣と呼ばれるS・ポルーニンのドキュメンタリーを見て、芸術表現は枠にはめられては無理と納得したが、本作は芸術家自身の気持ちを代弁する。冷戦中のソ連で国を代表するダンサーとなったルドルフ・ヌレエフが国家に束縛されて苦悩する姿が丹念に描かれ、自由に飛びたいと切望する彼に深く共感。身勝手でエキセントリックだが、見る人全てを虜にしたヌレエフの不思議な魅力を本作で俳優デビューしたO・イヴェンコがしっかりと体現。演技初体験とは思えない表現力に驚いた。監督も務めたR・ファインズはロシア語のセリフも流暢で、演出もとても真面目。もう少し、遊び心があってもよかったかも。エンドクレジットは必見です!

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