山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • RBG 最強の85才
    可愛い猛女の素顔は想像以上にすごかった
    ★★★★★

    映画『ビリーブ』でルース・ベイダー・ギンズバーグの功績(の一部!)を知ったら、本作で本人の実像に迫って欲しい。映画では描ききれなかったRBGのタフさの秘密やフェミニストな夫との愛に満ちた生活、ワークアウトや法衣のカラーに隠された秘密などが次々と描かれる。女性監督らしい着眼点が明かすRBGの知られざる素顔はもちろん、自身の言葉で語られるRBG像が非常に興味深い。たおやかともいえる物腰に隠したチタン製のど根性がどのようにして培われたのか? 親の姿勢や教育って本当に重要だと思い知る。民主主義が根底から揺るぐ今のアメリカだけど、彼女が最高裁にいる限り大丈夫という気分になった。

  • 名探偵ピカチュウ
    モフモフ&ふわふわのピカチュウにビリビリ痺れました
    ★★★★★

    事件の謎解きと父親との間に溝がある青年をからめた物語には目新しさはないが、『ゲットダウン』で好演していたJ・スミスの少年ぽさが効いている。謎に巻き込まれ、あたふたしながら成長する設定に無理がない。ただし最大の魅力はやはり、ポケモンの世界観をしっかりと実現した映像美と特撮。ご贔屓モンスターを探すのも楽しいし、実写版のピカチュウは質感がモフモフ&ふわふわ。瞳と口元が可愛すぎて、登場するなりノックアウトされてしまった。しかもライアン・レイノルズの声が意外にもマッチしている。デッドプールほどお下劣じゃないものの、笑えるジョークを連発するのも楽しい。コーヒーを飲みながら見ることをおススメします。

  • 幸福なラザロ
    現代イタリアが抱える問題点を浮かび上がらせる寓話
    ★★★★★

    主人公の名前がラザロなのでキリスト教の奇跡が関係する物語と予想したが、奥深い問題に切り込んだ社会派の寓話だった。傑作! スタートしてしばらくは「いつの話?」と思い、幼児をからかう大人の醜悪な言動に唖然として虐待テーマかと先走った。無欲なラザロは善意の愚者として存在するが、その意義は? 地主の公爵夫人の登場で疑問の背景が明かされるやドラマと時計の針が一気に進む。搾取されながらも他人を搾取する人間の本質とは? 自由の代償とは? A・ロルヴァケル監督の知的な演出で次々と疑問が頭に浮かぶ。純真無垢な瞳が印象的なラザロが本当に幸せか否かは、見る人の考え方によって変わるはず。

  • アガサ・クリスティー ねじれた家
    キャラ設定変更にあまり意味がなかった気がします
    ★★★★★

    富豪殺害の謎を解きつつ、家族が抱える心の闇に迫るA・クリスティーらしいミステリーだけど、狂言回しとなる主人公チャールズを探偵にした意図が不明。有名すぎる原作を一味変えてノワール風にするため? 原作通り、ヒロインとの結婚を熱望する男の方がキャラに説得力あった気がする。演じるマックス・アイアンズもキャラの濃いベテラン女優に押されまくって、タジタジな感じ。残念。ただしG・クローズやJ・アンダーソンの怪演は必見だし、子役たちも達者。ねじれた老人の支配下でねじれていった人間性を巧みに描写し、主演陣よりも興味深い。だからダークな家族ドラマとしては見ごたえ十分だ。

  • ヒトラーVS.ピカソ 奪われた名画のゆくえ
    人命だけでなく文化も破壊する戦争の恐ろしさが伝わる
    ★★★★

    自称“芸術に造詣が深い”ヒトラーがユダヤ人画家の作品を破壊し、ティツィアーノやゴヤら名作を次々に略奪したことは知っていたが、そんな単純な話じゃなかったことがよくわかった。闇の美術史というコピー通り、まさに「今だから言える」逸話の連続で、圧倒的な情報量に目が回るほど。編集にもう少し工夫が欲しかったが、製作陣の心意気には頭がさがる。武力で命や尊厳を奪い、さらには文化を破壊する戦争の恐ろしさが伝わり、ピカソの言葉が胸にしみた。モニュメント・マンはすでに映画化されたが、真相が明かされないまま略奪作品を美術館に寄贈した謎のグリット氏とその父親にまつわる事件も映画の素材としては非常に魅力的に思えた。

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