山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • マローボーン家の掟
    スペイン語圏の映画界には鬼才がいっぱいですね
    ★★★★

    ポスターなどの絵柄で“ホラー”と理解しているが、舞台となる屋敷の朽ち果て感や一家のくたびれた旅衣服などで冒頭から不穏さを感じる。牧歌的な幸せを満喫していた子供四人にある悲しみを与え、その後に続く恐怖を際立たせる。また悲しい出来事から半年ほど時間を飛ばす展開で観客に「何が起きたのか?」と疑問を持たせるのも脚本家でもあるS・サンチェス監督の腕の見せどころだ。長兄ジャックの頭部の傷や鏡を布で覆って幽霊屋敷のようになった家といった謎めいた設定の理由が明かされる終盤の疾走感に引き込まれた。ちょっと強引な部分もあるが、恐怖と優しさを混在させたストーリーが絶妙。絵本仕立ての一族の物語の愛らしさが切ない。

  • ある少年の告白
    マイク・ペンス副大統領に絶対見てほしい!
    ★★★★★

    性的指向やジェンダーを治療(!?)するという考えにゾッとする。しかもセラピー内容が児童虐待そのもので、施設や自称セラピストの実態を暴く点でも必見である。牧師の息子である主人公がセラピーを受けながら同性愛者であると自覚する過程が軸だが、J・エドガートン監督は家族ドラマに比重を割いている。宗教と息子のアイデンティティの折り合いをつけられない父親、夫と息子の狭間で揺れる母親の描写はとても誠実だ。L・ヘッジズが葛藤する主人公をリアルに演じ、演技派のR・クロウとN・キッドマンが彼をしっかりと支える構図となっている。矯正セラピー支持派のマイク・ペンス副大統領に見てほしい静かな快作だ。

  • 芳華-Youth-
    思い出は美しすぎるのかもしれない
    ★★★★

    中国国内で文化大革命がどのように定義されているのかは知らないが、本作を見る限りは肯定感もあるように感じた。監督と脚本家(原作者)が軍のエンタメ部門を担った文工団出身で、甘酸っぱい思い出や懐かしさがあるせいだろう。登場する文工団兵士も輝いていて、文化破壊が進行中とは思えない、ほのぼのとした青春を送っている。ただし、家族の身分が反映された文工団内ヒエラルキーや制裁的な異動といった部分で文革の暗部を表現したのは『戦場のレクイエム』で一兵卒の悲惨さを描いた監督の真骨頂。正しく生きようとして時代の波に置き去りにされる主人公たちを見つめる監督の温かな眼差しが心に残った。

  • シー・ラヴズ・ミー
    真実の愛は身近? 職場恋愛あるあるミュージカル。
    ★★★★

    E・ルビッチ監督作『桃色の店』とメグ・ライアンが超絶キュートだった『ユー・ガット・メール』の原点は、オールドファッションだけど普遍性があるミュージカルとわかる。香水店で働く7人それぞれの個性も際立っていて、彼らの物語にすぐに魅了された。ダンスも歌も衣装も素晴らしく、特に舞台セットが印象的。トニー賞受賞女優ローラ・ベナンティの美しいソプラノとJ・クラコウスキーのコメディエンヌぶり(ダンスも絶品!)、そして歌唱力にも定評あるZ・リーヴァイの自信あふれるパフォーマンスと見どころたっぷり。脇を締める役者陣も見せ場を心得ていて、ブロードウェイの底力に圧倒された。

  • シャザム!
    DCのシリアス路線を逸脱するユーモアに爆笑
    ★★★★

    ダークでシリアスなDC映画とは一線を画し、謎の老人に導かれてシャザムとなった少年ビリーの成長はユーモアたっぷり。大人の肉体に子供の心というアンバランスさ、主人公とオタク少年や天然少女とのやりとりが笑いを誘う。シャザムに変身後のずっこけぶりは『ビッグ』を意識しているし、Z・リーヴァイはT・ハンクスに続くと思わせる名演を披露。歌う場面が用意されているのは監督の気配りか。スーパーパワーを持て余すヒーローらしからぬ言動も15歳なら当然だし、世間から顧みられなかった孤児が世界を守ろうと立ち上がるまでの心模様も納得できる。家族第一主義はディズニーっぽいが、里子たちの結束に胸が熱くなった。

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