略歴: 創業時からの編集長です。というかシネマトゥデイを立ち上げました。
近況: ゴールデングローブ賞作品賞ドラマ部門にノミネートされた「メディア王~華麗なる一族」と「一流シェフのファミリーレストラン」面白いのでぜひ!
スカイツリーなど巨大なものをカッコよく見せるときに広角レンズで撮るとやはり迫力があるが、デル・トロ監督カメラも匠の技で巨大兵器と巨大生命体をこれでもかというほどカッコよく撮って見せる。
どの角度の、どの部分から見たときに、このメカニックや生物は、一番カッコよく見えるのか……。ライティング、攻撃の時のタメ……日本の特撮やアニメのオタクとして、何がカッコイイのか、知り尽くしているデル・トロ監督にしか撮れない映像には、貴重な「匠の技」を見せていただいた……という清々しい気持になる。
デル・トロ監督と同じように日本の特撮、アニメオタクとして道を歩んできた人にとっては、理屈でなく心で共鳴するものがあることは確かだ。
また、これほど大規模なハリウッド映画で、菊地凛子が主役級の扱いになっていることに驚くが、登場人物の人間ドラマや葛藤には映像ほど、厚みはなく、そこに期待して観る映画ではない。
『トロン:レガシー』でのビジュアルが一定の評価を得たジョセフ・コジンスキー監督だけあって映像の美しさについては期待を裏切らない。
半崩壊した地球上に残る過去の建造物と、それでも美しさの片鱗を残す地球、そして無機質な建造物とのコントラストが美しく、空間のスケールを効果的に見せる手腕はさすが。
ただ、『トロン:レガシー』にも言えることだったが、設定や構成などストーリーの作りが雑。傑作になり得る可能性もあったテーマだけに、ドラマをもう少し掘り下げることができる監督だったら……と思うと残念。
『ゾンビランド』のルーベン・フライシャーが監督なので、最初から“そういう映画”と思ってポップコーン片手に観れば、笑いのポイントも押さえていて十分楽しめる。
間違っても『L.A.コンフィデンシャル』のような重厚なギャングストーリーと思って観てはイケナイ。もともと役者がそろっている映画だが、キャラを立たせる監督の手腕は秀逸。
ライアン・ゴズリングのスタイリッシュなスーツの着こなし、ショーン・ペンのこれでもかってほどの悪人顔、ジョシュ・ブローリンとニック・ノルティを交互に映して笑いをとる……とか、ツボにハマるとそれなりに楽しい。