略歴: アクションとスリラーが大好物のフリーライター。『DVD&ブルーレイでーた』『SCREEN』『Audition』『SPA!』等の雑誌や、ネット媒体、劇場パンフレット等でお仕事中。
近況: 『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』『探偵マーロウ』『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』他の劇場パンフレットに寄稿。「シネマスクエア」誌にて、正門良規さんに映画とその音楽について話を聞く連載を開始。
手描き感にあふれた昔風のアニメーション映像が、まず味。P・ベルヘル監督は日本のアニメに多大な影響を受けたと語っているが、それも納得がいく。
擬人化された犬と、友達ロボットの数奇な絆のドラマは、離れ離れとなった両者をつなぐ“夢”の逸話も手伝い、美しく切なく温かい。ニューヨークの四季を見据えた風景の妙、「セプテンバー」をはじめとする音楽の効果的なフィーチャーも生きた。
手を振る、手をつなぐ、笑い合う、分かち合う、そんな行為のひとつひとつから“つながり”の温かさが伝わってくる好編。
名脚本家、笠原和夫のインタビュー本「昭和の劇」によると、昭和39年に書かれた『十一人の賊軍』のオリジナル脚本は350ページもあったとか。それが残っておらず、本作は白石監督が現存する16ページのプロットから発想を広げていったという。
明治初期版『スーサイド・スクワッド』!?と思って見始めると、話はどんどん熱を帯びてくる。死刑囚たちの各々の死生観が戦場でのギリギリの生き様に反映された格好だ。
とりわけ山田孝之ふんする主人公のキャラは強烈。逃げることばかり考えていて、なかなか戦わないが、その気持ちの変化が面白い。とにかく生き続けること、どう生きるかを考えること、その意味を問う熱血作。
マーベル作品の中で独自のオフビート路線を歩んできたシリーズが本作で一応の完結。最後まで『ヴェノム』らしくて、嬉しくなる。
主人公エディとヴェノムのユーモアにあふれた二人三脚はそのままに、地球の危機的状況を拡張。エリア51を舞台に据えたSF設定の妙に加え、どこかのどかな砂漠の風景もコンビの空気感にマッチ。もちろん、VFXの豪快描写も見どころだ。
シンビオートが寄生する人間キャラが増えたことで、アクションの見せ場も増加。ヴェノム以上にかっこいいキャラの存在も気になり、これで終わるのは惜しい気もする。スピンオフ展開に期待したい。
韓国のエンタメ大作にはこのところMCU風の展開がしばしば見受けられるが、悪霊バスターズ的な本作もそんな風格が漂う。
巫女と弟子、風水師と葬儀師の4人がスクラムを組み、墓から甦った悪霊と立ち向かう物語。墓の下になぜか墓があるなどのミステリーを、韓国の土着の風習に根差しながら解き明かしていく物語の組み立てが巧い。
ベテラン、チェ・ミンシクとユ・ヘジンの安定の好演もさることながら、キム・ゴウン&イ・ドヒョンの若手にも魅了され、とりわけ『哭声/コクソン』ばりの儀式シーンの大熱演に目を見張った。本国で今年最大のヒットを飛ばしたこともあり、続編にも期待したくなる。
『プー あくまのくまさん』のプロデューサーが仕かけた童話ホラーとなれば、血まみれのシンデレラが誕生するのは必然的。
継母や姉たちが意地悪なのは童話のとおりだが、頼りになるはずの王子はそれ以上にゲス野郎で、ヒロインに味方はいない。とにかく、シンデレラは落ちるところまで落とされる。
孤立無援のヒロインがどのようにブレイクスルーするかは見てのお楽しみだが、舞踏会が大炎上するクライマックスはとにかく痛快。ホラー好きなら『キャリー』のクライマックスを思い浮かべるに違いない。グリム童話の原作に則った足の指の切断シーンも、この設定では説得力をおびる。