略歴: アクションとスリラーが大好物のフリーライター。『DVD&ブルーレイでーた』『SCREEN』『Audition』『SPA!』等の雑誌や、ネット媒体、劇場パンフレット等でお仕事中。
近況: 『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』『探偵マーロウ』『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』他の劇場パンフレットに寄稿。「シネマスクエア」誌にて、正門良規さんに映画とその音楽について話を聞く連載を開始。
全編がPCモニター上の映像のみで構成される、そんな前作のルールを踏まえながら、新たな物語を展開させる。
デジタル世代の高校生を主人公に設定したことで使用ツールは増え、それを巧みに使いこなす描写により物語もアップテンポに。大陸を超えて通信する情報提供者の存在もドラマを面白くし、世界とつながる現代のテクノロジーの利点が巧く生かされた。
デバイス慣れしていない方には少々難解かもだが、スピード感があるので一気に見れてしまう。PCを完全に使いこなせているかと言われると、まったく自信のない筆者にとって、こんなこともあんなこともできる……ということを学べた点に感謝!?
近年は老いを題材にしたサスペンスアクションに主演することが多くなったL・ニーソンらしく、本作の肝となるのはアルツハイマー。記憶を失っていく老殺し屋という設定を、スリルとして機能させる。
知覚が衰えていくのだから、主人公の巨悪との戦いにはタイムリミットがある。そんな彼と敵対しつつ、共通の目的を持つキャラたちがサポート。ガイ・ピアースふんするFBI捜査官やメキシコ人警官らがイイ味を出している。
不法移民や人身売買などの社会的なテーマに、去り行くアウトローの物語を絡める点で、最近のニーソン主演作では『マークスマン』に近い感触。M・キャンベル監督の手堅い演出も光る。
一本の映画として見ると、これだけで話が完結しているわけではないので評価に迷う。ひとつの作品を真ん中でちょうど半分にしたような、そんな前編。
とはいえ、東リベ好きとしては確実に血がたぎる。マイキーやドラケンら前作でカリスマ性を見せつけたキャラに加え、バジ、カズトラなどの武闘派も加わって、スリルとカオス、ミステリーを加速させる。
肝心の主人公タケミチの愚鈍ぶりに少々イライラさせられるが、原作に則れば後編では間違いなく解消されるだろう。吼えるわ暴れるわのイキのよい俳優たちのハイテンション演技も健在だ。ともかく、後編をすぐにでも見たくなる。
新三部作のこの完結編を作るにあたり、グリーン監督は同じジョン・カーペンターの『クリスティーン』を参照したという。なるほど、ブギーマンを甦らせるイジメられっ子という設定は似ている。
疎外された者の怒りが、惨劇を引き起こす構図。三部作ではコミュニティとブギーマンの関わりが見据えられてきたが、本作でもマイヤーズの暴走をとおして社会の病みが浮かび上がる。
とはいえ基本的にはホラーなので、まずはスリルを味わいたい。スラッシャーらしい描写は健在だし、ローリーとマイヤーズのファイナルバトルにも燃える。今やオスカー女優J・L・カーティスの大立ち回りにシビレた!
冒頭の日食のエピソードからして強烈な映像だが、すぐさまエロとバイオレントに突入。そこにかぶさるゴブリン風のスコアを含め、アルジェントの70’sジャーロへの回帰は一目瞭然だ。
ナイフや悲鳴、犬の吠える声、惜しみない血糊などの神経を逆なでする描写はもちろん、陰影を活かした恐怖描写は健在。親を亡くした中国人少年を守ろうとする主人公の道徳観もドラマにスリルを宿らせる点で生きた。
視力を失うヒロインの設定は『私は目撃者』を彷彿させるが、それを娼婦に設定し、なおかつ母性をも体現させるアイデアが面白い。怯えたり泣いたり怒ったりの感情の振り幅を体現して見せた主演のパストレッリの熱演が光る。