略歴: アクションとスリラーが大好物のフリーライター。『DVD&ブルーレイでーた』『SCREEN』『Audition』『SPA!』等の雑誌や、ネット媒体、劇場パンフレット等でお仕事中。
近況: 『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』『探偵マーロウ』『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』他の劇場パンフレットに寄稿。「シネマスクエア」誌にて、正門良規さんに映画とその音楽について話を聞く連載を開始。
『アウト・オブ・サイト』や『オーシャンズ11』につらなる、G・クルーニーらしいのオールドファッション犯罪劇。シナトラ談義にも50~60年代エンタメ映画に対する愛情がうかがえる。
クルーニーとピットのセリフはアップテンポで連なり、そこにはユーモアやウィットがにじむ。完璧なはずのプロ同士が顔を合わせたことで、事態が悪い方向に進むストーリーの転がし方が巧い。
新味こそないが、このような古き良き粋が味わえるのも、またエンタテインメント。主演ふたりのカリスマ性が輝くのは当然として、若気のフライングを体現した新星A・エイブラムスのバカ過ぎて愛らしいキャラの妙演は収穫。
T・バートンのファンであれば満足のいく怪作。36年前の前作のノリが甦り、ニヤニヤしながら楽しんだ。
霊界ツアーのジェットコースター的描写を踏襲しつつ、エロネタこそなくなったがビートルジュースのゲスなノリも健在。嘘だらけの大人と格闘するゴス少女を輝かせた目線も嬉しい。新ヒロイン、J・オルテガの偽善を見抜くような目つきの魅力は前作のウィノナ・ライダーに通じるものがある。
前作の「バナナ・ボート」に匹敵するミュージカルシークエンスがないのは残念だが、「マッカーサー・パーク」が流れるヘンテコな教会ダンスには味があり、これまたニヤニヤ。
宿敵が昔は親友だった……という設定は映画版『X-MEN』サーガのプロフェッサーXとマグニートーの関係を想起させる。友情の崩壊にどんなドラマがあったのか? まさしく、そこがミソ。
これまでの作品と異なり舞台が地球ではなくサイバトロン星で、その底辺で生きている若きオプティマスとメガトロンの物語。両者の気持ちが理解できるつくりで、そのバランスのよさが味。
もちろん、ここからシリーズを後追いしても楽しめるし、難しいことを考える必要もない。スピード感あふれるカーレースや荒野の冒険など見せ場が随所に盛り込まれ、ライド感覚を大いに刺激するエンタメ作品でもある。
町長選挙と祭で賑わう田舎またを舞台に、仮面の殺人鬼が暗躍。スラッシャーホラーの教則を踏まえたつくりだが、これが一筋縄では収まらない。
判事の恰好をした殺人鬼の異様さは不気味だし、惨殺描写も多めで、その筋のファンには満足がいくもの。そこに政治的なメッセージやブラックユーモア、愛憎模様、学園ドラマのエッセンスが絡み、意外なクライマックスへと展開する。
詰め込み過ぎの気がしないでもないが、ティーンの日常の描写には『スクリーム』にも似たポップな味わいが。SNS画面を通じたやりとりの描写も、本作ではモダンなものとして生きている。
自分以外の人物を演じることで新たな自分に気づく。それはアイデンティティの成長か、はたまた危機か!? ラブコメディの枠に落とし込まれた、そんな物語が魅力を発する。
仕事で殺し屋を演じていただけで虫も殺せない男が、その殺し屋として、依頼人である女性と恋に落ちてしまうという絶妙の設定。G・パウエルの七変化は楽しいし、A・アルホナとのノッてる俳優が演じた恋模様のポップな描写もリンクレイターらしい味がある。
クライマックスで笑いが少々ブラックになるが、それが気にならなければ楽しめるに違いない。刑事たちをはじめ、脇キャラがしっかり立っているのも妙味。