相馬 学

相馬 学

略歴: アクションとスリラーが大好物のフリーライター。『DVD&ブルーレイでーた』『SCREEN』『Audition』『SPA!』等の雑誌や、ネット媒体、劇場パンフレット等でお仕事中。

近況: 『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』『探偵マーロウ』『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』他の劇場パンフレットに寄稿。「シネマスクエア」誌にて、正門良規さんに映画とその音楽について話を聞く連載を開始。

相馬 学 さんの映画短評

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  • ノーヴィス
    がんばりが、美徳となりえない領域に踏み込む
    ★★★★

     監督が近い作品として挙げている『セッション』や『ブラック・スワン』。前者は壮絶な特訓、後者は壮絶な執心だが、緊張を感じさせるのは後者だろう。

     前半の試験のシーンで、繰り返し問題を解くヒロインの少々病的な完璧主義的性格を見せ、それをボートの特訓につなげる妙。承認欲求なのかエゴなのか、その正体はわからないが、わからないからこそのスリルが宿る。“闘志と狂気のスパイラル”という監督の説明も頷けた。

     I・ファーマンのキャスティングも絶妙というほかなく、無表情な『エスター』顔はもちろん、偏執の体現も強烈で引き込まれた。水面を行くボートの俯瞰描写による絵画的ビジュアルも〇。

  • スパイダー/増殖
    "害虫"をナメんな!
    ★★★★

     繁殖した毒グモがマンションをパニックに陥れるという筋だけ聞けば、ありがちなホラーと思われるかもだが、これがなかなか骨太。

     舞台となるパリのバンリュ―(=郊外)はヴァニセック監督の育った地で、低所得者や移民が多数暮らしている。原題の“害虫”とは毒グモに加え、偏見にさらされたそこに暮らす人々のことでもある。警官隊に隔離され、出口を失った、そんな彼らのサバイバルを活写。増えていくクモの巣の異様さが絶妙の照明効果によって恐怖を煽る。

     監督の生涯のベストワン映画は『グラディエーター』とのことだが、必死のサバイバーたちのしぶとさにその影を観ることができる。

  • ロボット・ドリームズ
    ロボットは“つながり”の夢をみる
    ★★★★

     手描き感にあふれた昔風のアニメーション映像が、まず味。P・ベルヘル監督は日本のアニメに多大な影響を受けたと語っているが、それも納得がいく。

     擬人化された犬と、友達ロボットの数奇な絆のドラマは、離れ離れとなった両者をつなぐ“夢”の逸話も手伝い、美しく切なく温かい。ニューヨークの四季を見据えた風景の妙、「セプテンバー」をはじめとする音楽の効果的なフィーチャーも生きた。

     手を振る、手をつなぐ、笑い合う、分かち合う、そんな行為のひとつひとつから“つながり”の温かさが伝わってくる好編。

  • 十一人の賊軍
    今観るべき、熱血群像時代劇
    ★★★★★

     名脚本家、笠原和夫のインタビュー本「昭和の劇」によると、昭和39年に書かれた『十一人の賊軍』のオリジナル脚本は350ページもあったとか。それが残っておらず、本作は白石監督が現存する16ページのプロットから発想を広げていったという。

     明治初期版『スーサイド・スクワッド』!?と思って見始めると、話はどんどん熱を帯びてくる。死刑囚たちの各々の死生観が戦場でのギリギリの生き様に反映された格好だ。

     とりわけ山田孝之ふんする主人公のキャラは強烈。逃げることばかり考えていて、なかなか戦わないが、その気持ちの変化が面白い。とにかく生き続けること、どう生きるかを考えること、その意味を問う熱血作。

  • ヴェノム:ザ・ラストダンス
    オフビートなノリを貫いて完結へ!
    ★★★★

     マーベル作品の中で独自のオフビート路線を歩んできたシリーズが本作で一応の完結。最後まで『ヴェノム』らしくて、嬉しくなる。

     主人公エディとヴェノムのユーモアにあふれた二人三脚はそのままに、地球の危機的状況を拡張。エリア51を舞台に据えたSF設定の妙に加え、どこかのどかな砂漠の風景もコンビの空気感にマッチ。もちろん、VFXの豪快描写も見どころだ。

     シンビオートが寄生する人間キャラが増えたことで、アクションの見せ場も増加。ヴェノム以上にかっこいいキャラの存在も気になり、これで終わるのは惜しい気もする。スピンオフ展開に期待したい。

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