略歴: アクションとスリラーが大好物のフリーライター。『DVD&ブルーレイでーた』『SCREEN』『Audition』『SPA!』等の雑誌や、ネット媒体、劇場パンフレット等でお仕事中。
近況: 『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』『探偵マーロウ』『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』他の劇場パンフレットに寄稿。「シネマスクエア」誌にて、正門良規さんに映画とその音楽について話を聞く連載を開始。
監督が近い作品として挙げている『セッション』や『ブラック・スワン』。前者は壮絶な特訓、後者は壮絶な執心だが、緊張を感じさせるのは後者だろう。
前半の試験のシーンで、繰り返し問題を解くヒロインの少々病的な完璧主義的性格を見せ、それをボートの特訓につなげる妙。承認欲求なのかエゴなのか、その正体はわからないが、わからないからこそのスリルが宿る。“闘志と狂気のスパイラル”という監督の説明も頷けた。
I・ファーマンのキャスティングも絶妙というほかなく、無表情な『エスター』顔はもちろん、偏執の体現も強烈で引き込まれた。水面を行くボートの俯瞰描写による絵画的ビジュアルも〇。
繁殖した毒グモがマンションをパニックに陥れるという筋だけ聞けば、ありがちなホラーと思われるかもだが、これがなかなか骨太。
舞台となるパリのバンリュ―(=郊外)はヴァニセック監督の育った地で、低所得者や移民が多数暮らしている。原題の“害虫”とは毒グモに加え、偏見にさらされたそこに暮らす人々のことでもある。警官隊に隔離され、出口を失った、そんな彼らのサバイバルを活写。増えていくクモの巣の異様さが絶妙の照明効果によって恐怖を煽る。
監督の生涯のベストワン映画は『グラディエーター』とのことだが、必死のサバイバーたちのしぶとさにその影を観ることができる。
手描き感にあふれた昔風のアニメーション映像が、まず味。P・ベルヘル監督は日本のアニメに多大な影響を受けたと語っているが、それも納得がいく。
擬人化された犬と、友達ロボットの数奇な絆のドラマは、離れ離れとなった両者をつなぐ“夢”の逸話も手伝い、美しく切なく温かい。ニューヨークの四季を見据えた風景の妙、「セプテンバー」をはじめとする音楽の効果的なフィーチャーも生きた。
手を振る、手をつなぐ、笑い合う、分かち合う、そんな行為のひとつひとつから“つながり”の温かさが伝わってくる好編。
名脚本家、笠原和夫のインタビュー本「昭和の劇」によると、昭和39年に書かれた『十一人の賊軍』のオリジナル脚本は350ページもあったとか。それが残っておらず、本作は白石監督が現存する16ページのプロットから発想を広げていったという。
明治初期版『スーサイド・スクワッド』!?と思って見始めると、話はどんどん熱を帯びてくる。死刑囚たちの各々の死生観が戦場でのギリギリの生き様に反映された格好だ。
とりわけ山田孝之ふんする主人公のキャラは強烈。逃げることばかり考えていて、なかなか戦わないが、その気持ちの変化が面白い。とにかく生き続けること、どう生きるかを考えること、その意味を問う熱血作。
マーベル作品の中で独自のオフビート路線を歩んできたシリーズが本作で一応の完結。最後まで『ヴェノム』らしくて、嬉しくなる。
主人公エディとヴェノムのユーモアにあふれた二人三脚はそのままに、地球の危機的状況を拡張。エリア51を舞台に据えたSF設定の妙に加え、どこかのどかな砂漠の風景もコンビの空気感にマッチ。もちろん、VFXの豪快描写も見どころだ。
シンビオートが寄生する人間キャラが増えたことで、アクションの見せ場も増加。ヴェノム以上にかっこいいキャラの存在も気になり、これで終わるのは惜しい気もする。スピンオフ展開に期待したい。
結城真一郎のミステリー小説を、ロックバンド「Mrs. GREEN APPLE」の大森元貴と『仮面ティーチャー』シリーズなどの菊池風磨主演により実写映画化。
小説「赤々煉恋」などで知られる作家・朱川湊人の直木賞受賞作を映画化。両親を早くに亡くし、二人きりで生きてきた兄妹の不思議な体験を描く。
1975年公開の『新幹線大爆破』を『碁盤斬り』などの草なぎ剛主演でリメイクしたサスペンス。
芥川賞作家・吉田修一が歌舞伎の世界を舞台に書き上げた小説を映画化。任侠(にんきょう)の家に生まれるも、数奇な運命によって歌舞伎界に飛び込んだ男が芸に身をささげ、歌舞伎役者としての才能を開花させていく。
ロバート・ハリスの小説「CONCLAVE」を原作に、ローマ教皇選挙を題材に描くミステリー。
現代の渋谷に転生した中国・三国時代の天才軍師・諸葛孔明の活躍を描く、原作・四葉夕卜、漫画・小川亮によるコミックを実写化したドラマ「パリピ孔明」の劇場版。
2022年にオランダで実際に発生した事件を基にしたサスペンスドラマ。アムステルダムのアップルストアに立て籠もる銃で武装した男を中心に、彼の人質にされた客や従業員、事件に対応する警察などの姿を描く。
ある麻薬取引の失敗をきっかけに、裏社会と戦うことになる刑事を描くアクション。ある政治家の息子を助け出すために刑事が裏社会へと踏み込んでいく。
お笑いコンビ「ジャルジャル」の福徳秀介が2020年に発表した小説「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」を実写化したラブロマンス。
3Dブロックで構成されたバーチャル空間で、自由にものづくりや冒険を楽しめるゲーム「Minecraft(マインクラフト)」を映画化。マインクラフトの世界に偶然やって来た4人の男女の冒険を映し出す。