略歴: アクションとスリラーが大好物のフリーライター。『DVD&ブルーレイでーた』『SCREEN』『Audition』『SPA!』等の雑誌や、ネット媒体、劇場パンフレット等でお仕事中。
近況: 『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』『探偵マーロウ』『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』他の劇場パンフレットに寄稿。「シネマスクエア」誌にて、正門良規さんに映画とその音楽について話を聞く連載を開始。
『死霊のはらわた』や『悪魔のいけにえ』などスプラッターホラーのクラシックにオマージュを捧げているのはタイトルからも明らか。そこからどこまで飛距離を伸ばすかと思っていたら、軽々と想像を超えてきた。
先に挙げた2作は取っかかりに過ぎず、ユーモラスかつナンセンスな展開に突入。ロメロやクローネンバーグ作品のようなバケモノの方が人間より幸せ……という局面を飛び越え、別次元へと突き抜ける。つまり、やりたい放題!?
セリフらしいセリフが出てこない後半はシュールの極み。ホラーというジャンルに縛られない宇賀那監督の“自由”を楽しみたい。
マッチングアプリで出会って結婚した新婚夫婦を標的とする連続殺人事件に、ウェディング・プランナーであるヒロインの家族の秘密が絡む二重のミステリー。
猟奇的というほかない惨殺現場の描写は犯人の異常性を感じさせ、サイコサスペンスとして興味を引きつける。一方、ヒロインの過去のドラマは怨恨入り混じるドロドロとしたもので、こちらも目を引く。
セリフだけで事実関係を追うと辻褄の合わない箇所もあるが、スピーディな展開に乗ってしまえば、それも気にならないだろう。観客をあちらこちらに振り回す佐久間大介の怪演が妙味。
21世紀の“スパイダーマン”と題した作品は、すべてジュブナイル的な要素が含まれて成立するものだったが、傍系の本作はそれを主体に据えた感がある。
大人になり切れない主人公と、3人の少女の共闘のドラマは、主人公が彼女たちの庇護者となっていくことで熱気を帯びる。クライマックスの高所でのバトルシーンは迫力があり見入ってしまった。
ヴィランの動機やキャラ設定が弱い点は物足りないが、3人の少女たちを演じた若手女優のはつらつとした快演はジュブナイル・ストーリーの魅力を伝えるに十分で、スパイダーマンの傍系としては、これはこれでアリ。
アフガンに赴いた米国軍人と現地通訳のサバイバルというと『カンダハル 突破せよ』が記憶に新しいが、本作の視点は異なる。というのも、両者が友情や共感で結ばれていないのだ。
軍人が絶望的な状況で通訳に命を救われたことから恩義が生まれ、それを返す番がやってくる。この“恩義”という感情が本作のテーマ。借りを返さないと、まっすぐに生きていけない、そんなこだわりが物語を熱くする。
G・リッチー監督らしいドライなタッチはあるものの、主人公の感情はきっちりとらえている。友情を描かずとも、エモいドラマとなっている妙。社会的なメッセージを含めて、リッチーの新境地と言えよう。
今やマ・ドンソクがいてこそ成立すると言っても過言ではない『犯罪都市』シリーズ第3弾。今回も憎めないアウトロー刑事にふんした彼の暴れっぷりが大いに楽しめる。
韓国の汚職刑事と日本のヤクザという2大ヴィランは相手にとって不足なし。ドンソクお得意のボクシングをベースにしたアクションは、やや漫画風だった前作のそれよりもリアリティを感じさせる。ナチュラルにオヤジギャグを飛ばすキャラも味。
シリーズがさらに続くことをドンソクが公言する本シリーズ。スター映画と呼べる作品が少なくなった今、トム・クルーズ印の『ミッション:インポッシブル』に対抗しうる唯一の作品かも!?