略歴: 東京の出版社にて、月刊女性誌の映画担当編集者を務めた後、渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスターのインタビュー、撮影現場レポート、ハリウッド業界コラムなどを、日本の雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿する映画ジャーナリスト。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。
そもそもは、マイケル・グレイシー監督が、何に使うのかわからないままロビー・ウィリアムズに過去を語ってもらい、それを録音したのが始まり。映画に出てくる本人のナレーションのほとんどは、その音声なのだ。この映画に真実味がたっぷりある理由は、そこにもある。ウィリアムズの顔を猿にしたのは、ありきたりのミュージシャンの伝記映画にしたくなかったのと、彼自身が昔のパフォーマンスを振り返って「まるで猿のように」などと言ったから。最初は奇妙に感じる観客もいるかもしれないが、いつしか忘れて感動させられるはず。音楽、ダンスのシーンのすばらしさは、さすがグレイシー。ウィリアムズのことをまるで知らなくても、見て損はない。
2025年に白雪姫をライブアクション映画化すると、こうなるのだろう。主演女優や7人のこびとについては公開前から散々言われたが、そこに限らず全てにおいてアップデートされている。白雪姫はこびとの家を掃除してあげず彼らにやらせ、王子様にキスされて解決でもない(そもそも今回は『王子様』でもない)。メッセージ性が強いだけに、最初から結末が読める。だが、今、1937年版と同じ話を語るという選択肢はないし(それをやれば批判される)、これはこれで悪くない。新曲は良いものの、映画を超えて愛される名曲になるものはなし。女優たちは頑張っているが、特に女王のキャラクターは薄く書かれているので限界がある。
「西部戦線異状なし」のエドワード・ベルガーが今回手がけるのは、心理的な戦争。だが、前作同様、終始緊迫感に満ちていて目が離せないのはさすがだ。次のローマ教皇を選ぶ選挙というと遠い世界の話のように思いがちながら、敵の過去を暴いて陥れたり、仲間内で派閥があったりなど、ここで展開されるのは、政治や企業、職場や身近なグループにも「ある、ある」な状況。しかし、意外な結果が訪れたと思ったら、まだ先があるのは予測しなかった。役者はベテランの実力派揃いで、全米映画俳優組合賞(SAG)のキャスト賞を受賞したのも納得。音楽、美術、衣装も優れている、すべてにおいてよくできた大人のスリラー。
数々のイデオロギーが混在する現代アメリカ社会を独自な視点から見つめる風刺劇。世間知らずの女子高生が、ピザ屋での射撃事件をきっかけに、次から次へと違った思想のグループに身を寄せることに。映画は、それぞれの世界を、シニカルかつブラックなユーモアを持って描いていく。若く美しいがために人を引き寄せる彼女は、危なっかしいが被害者ではない。そもそも自分が何を求めているのかもわかっていない。そんな彼女が引っ張る冒険物語は、さながらダークでモダンな「不思議の国のアリス」。粒子の粗い昔風の映像も時代を錯覚させ、シュールリアルな雰囲気を高める。新人の監督と脚本家による、実験的な意欲作。
俳優を使った再現シーンを入れながら展開するドキュメンタリー。安っぽいワイドショーの再現ドラマみたいになるのかと思いきやまるでそうではない。それぞれのシーンを演じる前後の本人たちの反応を見せることで、真実、感情がより伝わってくるのだ。4人姉妹のうち、なぜ下ふたりは本人たちなのに、上ふたりは女優なのか。そこが判明する後半から映画は大きく変わり、非常にダークになるが、そこまでにも豊かではない女性たちが置かれた状況のリアルがことごとく語られていく。女性たちの不幸の連鎖を見る一方、そこには揺るがない母娘、姉妹の愛もある。若い世代への希望も感じさせる、衝撃的で胸を打つ傑作。
ある教会に通う少女の失踪事件をテーマに描いたサスペンス。ある男が近所の教会に通い始めたのと時を同じくして、同じ教会に通っていた少女が行方不明になる。
第163回直木賞を受賞した馳星周の小説「少年と犬」を実写化したドラマ。ある少年に会うために東北から九州へ向かう犬が、行く先々で出会った人々と交流する。監督は『ラーゲリより愛を込めて』などの瀬々敬久。
yaongyiによる韓国発のウェブ漫画「女神降臨」を2部作で実写映画化した前編。さえない容姿からいじめられて不登校になった女子高生が、メイクの力で美少女に変身して人生が一変する。
グリム童話を基にしたディズニー初の長編アニメ『白雪姫』を実写映画化。ある王国を舞台に、純粋で美しい心の持ち主である白雪姫が起こす奇跡を描く。
『正体』シリーズの原作などで知られる染井為人の横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞作を映画化。市役所勤務の真面目な公務員が、ある出会いをきっかけに運命を狂わせていく。
『わたしの幸せな結婚』などの塚原あゆ子が監督を務めたラブストーリー。事故で夫を亡くした女性が、夫と出会った15年前にタイムトラベルをして若き日の夫と再会する。
対照的な性格の若者たちが起業し1兆ドルを手にすべく突き進む稲垣理一郎原作、池上遼一作画による漫画を原作にしたドラマ「トリリオンゲーム」の劇場版。
ロバート・ハリスの小説「CONCLAVE」を原作に、ローマ教皇選挙を題材に描くミステリー。
一通のラブレターを巡る夫婦の実話をベースにした人間ドラマ。読み書きができないまま年齢を重ねた夫が、長年自分を支えてくれた妻に感謝を伝えるラブレターを書こうとする。
青山剛昌の漫画を原作にしたアニメシリーズで、長野県の雪山をめぐる事件を描いた劇場版シリーズ第28弾。江戸川コナンと長野県警の隻眼の警部・大和敢助、毛利小五郎らが事件に挑む。