スイート・イースト 不思議の国のリリアン (2023):映画短評
スイート・イースト 不思議の国のリリアン (2023)
アメリカ社会を独自の視点から見つめる風刺映画
数々のイデオロギーが混在する現代アメリカ社会を独自な視点から見つめる風刺劇。世間知らずの女子高生が、ピザ屋での射撃事件をきっかけに、次から次へと違った思想のグループに身を寄せることに。映画は、それぞれの世界を、シニカルかつブラックなユーモアを持って描いていく。若く美しいがために人を引き寄せる彼女は、危なっかしいが被害者ではない。そもそも自分が何を求めているのかもわかっていない。そんな彼女が引っ張る冒険物語は、さながらダークでモダンな「不思議の国のアリス」。粒子の粗い昔風の映像も時代を錯覚させ、シュールリアルな雰囲気を高める。新人の監督と脚本家による、実験的な意欲作。
この短評にはネタバレを含んでいます