猿渡 由紀

猿渡 由紀

略歴: 東京の出版社にて、月刊女性誌の映画担当編集者を務めた後、渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスターのインタビュー、撮影現場レポート、ハリウッド業界コラムなどを、日本の雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿する映画ジャーナリスト。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

猿渡 由紀 さんの映画短評

« Prev 全775件中16~20件を表示しています。 Next »
  • ミーン・ガールズ
    歌唱力抜群のキャストが揃う楽しいミュージカル映画
    ★★★★★

     カルチャー現象にもなった2004年の映画がブロードウェイミュージカル化され、それがまた映画に。ストーリーはオリジナルに忠実、レジーナ役はブロードウェイ版に出演したレネー・ラップが続投するなど、良いところ取りした作品に仕上がった。ラップは主役以上の存在感を持つが、ジャニス役のアウリイ・クラヴァーリョ(『モアナと伝説の海』のモアナ)、デミアン役のジャクエル・スパイヴィーも歌唱力抜群。今回も脚本を書いたティナ・フェイは、オリジナルと同じ先生の役で復帰。リンジー・ローハンも、カメオにしてはかなり長いシーンに出演する。説教くさくなることなくポジティブなメッセージを伝える、歌とダンスに満ちた楽しい映画。

  • 悪魔と夜ふかし
    怖いことが起きる前も十分面白い
    ★★★★

     アメリカの深夜トーク番組のスタイルは、ジョニー・カーソンが大人気を誇ったこの映画の舞台の頃から今もほぼ変わらない。デビッド・ダストマルチャンはこれらの番組の司会者のエッセンスを完全につかんでおり、裏側の様子もリアルで、怖いことが起きる前からすっかり入り込んでしまった。舞台となる日は番組の運命を決めるのに重要な週の月曜日で、主人公は強いプレッシャーを感じている(1977年が選ばれたのは、70年代でハロウィンが月曜日だったのはこの年だけだったから)。ホラーであると同時に、視聴者(現代ならネット記事の読者もだが)を引き込むためにはなんでもやるメディアへの風刺でもある。楽しませてもらった。

  • シビル・ウォー アメリカ最後の日
    リアルさたっぷりで怖い。戦争を美化しないのも良い
    ★★★★

     アレックス・ガーランドは2020年にこの脚本を書いたとのこと。それから4年後の今も、絵空事とは思えず怖くなる。イギリス人のガーランドは「分断は自分の国でも起きている。これはアメリカだけの話ではない」と言うが、またもや大統領選が迫っているアメリカが舞台だから、よりリアルに迫ってくるのだ。あえてカリフォルニアとテキサスが同盟を組むという意外な設定も、先はどうなるのかわからないことを示唆する。内戦が起きているのに見ぬふりして普段の生活を続ける人たちも、現実できっといるだろう。どたんばでキャストされたというジェシー・プレモンスのシーンはとりわけ強烈。戦争を美化しないのもいい。

  • Rez Ball/レズ・ボール
    ニューメキシコ州のナバホ族コミュニティをリアルに描く
    ★★★★★

    元になったのは「New York Times」の記者が書いたノンフィクション本。監督も共同脚本家もネイティブアメリカンで、監督は物語の舞台ニューメキシコ州の出身でもある。実際によく知る人たちによって作られたこの映画は、ナバホ族のコミュニティをリアルに描いていく。たとえば、彼らにとって高校のスポーツはどれほど大きな意味を持つのかということ。また、自死やアルコール依存症といった暗い問題にも、目を背けない。スポーツドラマでもあり、ティーンの成長物語でもあるが、そこに関してはアンダードッグもののお決まりパターンで、予測通りの展開。しかし、試合の描写は臨場感があるし、良い意図のある、ポジティブな作品だ。

  • ビートルジュース ビートルジュース
    まさにエスケープさせてくれる娯楽作
    ★★★★

    やはり36年ぶりの続編である「トップガン マーヴェリック」が大当たりしたばかりとは言え、アナログならではの独特のノリの「ビートルジュース」を今またやるのはどうなのかと思っていたら、意外なほど楽しめた。怖いところはちゃんと怖く、たっぷり笑わせてくれるのは前作通り。最新のテクノロジーが駆使されているのだろうが、手作りっぽさをあえて重視するビジュアルもチャーミング。多くのキャラクターが出てきていろいろなことが起きるわりに、詰め込みすぎ感はなく、テンポも良い。マイケル・キートン、ウィノナ・ライダーはもちろんだが、キャサリン・オハラは最高。まさにエスケープさせてくれる娯楽作だ。

« Prev 全775件中16~20件を表示しています。 Next »
[PR]
おすすめ特集
映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
スポンサード リンク