猿渡 由紀

猿渡 由紀

略歴: 東京の出版社にて、月刊女性誌の映画担当編集者を務めた後、渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスターのインタビュー、撮影現場レポート、ハリウッド業界コラムなどを、日本の雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿する映画ジャーナリスト。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

猿渡 由紀 さんの映画短評

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  • ナイブズ・アウト:グラス・オニオン
    冒頭から前作とは違うと感じさせる
    ★★★★

    1作目よりスケールアップしたこの続編は、ロケーションやプロダクションデザイン、衣装がとても華やか。出だしから「前作とは違う」と感じさせ、実際、もっと凝った形でストーリーが展開していく。コメディも前作よりたっぷり。ただ、抜群に面白く、すぐにまた見てしまった前作と同じだけの興奮はなかった。今回もキャストは豪華。主演のダニエル・クレイグ以外ではジャネール・モネイとエドワード・ノートンが最も美味しいが、キャスリン・ハーンやレスリー・オドム・Jr.は才能の見せ場を十分与えられていない感じも。それでも、すごく楽しい映画であることは確か。製作がすでに決まっている3作目を見るのが今から待ちきれない。

  • ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界
    カラフルでユニークな世界への冒険
    ★★★★★

    クラシックな冒険映画やコミックへのオマージュは、キャラクター設定やストーリーなどあちこちに感じられる。キャラクターの動きにも、古い手描きアニメのようなニュアンスが。だが、多様性が意識されているところは2022年ならではだ。彼らが入っていく世界は、タイトル通りストレンジ(奇妙)で美しい。斬新なクリーチャーの数々や光景を考え出した作り手のクリエイティビティには感心させられるばかり。ストーリーの核は、父と息子の関係。自分は親と似ていないと思っていても、外から見ればやはり親子なのだ。そんな共感できるテーマのほかに、さりげなく環境問題についてのメッセージも織り込まれている。

  • クリスマス・ウィズ・ユー
    予測がつきすぎる超定番ロマコメ
    ★★★★★

    つい最近のL・ローハン主演作「フォーリング・フォー・クリスマス」もそうだったが、あまりにお決まりで恥ずかしくなる。主人公の女性がセレブでお相手男性が一般人のシングルファーザーというのは、「フォーリング~」でも、ジェニファー・ロペス主演の「マリー・ミー」でも見たばかり。「マリー・ミー」は、まだロペスの魅力と複数の新曲のおかげでなんとか見られた。今作はロマンチックコメディに必須の主役ふたりのケミストリーがないのが決定的にダメ。だいたい40代の見知らぬ男女が(映画に年齢は出てこないが役者はその年齢)たった2日で恋に落ちるものだろうか。唯一、主人公ふたりがラティーノというのは評価する。

  • スランバーランド
    役者たちの相性がばっちり
    ★★★★★

    主演の子役マーロウ・バークリーは今作で映画デビューを果たすとのことだが、とてもそうとは信じられない。ほとんどのシーンに登場し、グリーンスクリーンをバックにしたアクションからドラマチックなシーンまでしっかりとこなしている。これからが楽しみな若い女優だ。豪快で明るい地のパーソナリティをより誇張してちょっとジャック・スパロウもミックスしたようなジェイソン・モモアのキャラクターも楽しいし、クリス・オドウドは映画に感動を持ち込む。しかし、見どころであるはずの夢のシークエンスには、どうも既視感が。お金がかかっているわりにオリジナリティを感じられないのがやや残念。

  • ザ・メニュー
    はちゃめちゃな中にも社会への強烈な皮肉が
    ★★★★

    とにかくとんでもない映画。まさかこんな映画だとは予想もしなかった。だが、展開がはちゃめちゃなのに映画自体がそうなっていないのは、キャラクターがしっかりと書かれていることと、役者たちが上手いから。とりわけ光るのはレイフ・ファインズ。こんなクレイジーな役も、彼がとても細かいニュアンスを持って演じるおかげで、奇妙にも共感できるのだ。映画には、持てる者たちの傲慢、気取ったレストランやグルメたちに対する強烈な皮肉も。監督のマーク・マイロッドは、やはり嫌な人だらけの金持ち家族をシニカルに描くドラマ「メディア王~華麗なる一族~」も手がけた人。好き嫌いは分かれるだろうが、心に残るのは間違いない。

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