猿渡 由紀

猿渡 由紀

略歴: 東京の出版社にて、月刊女性誌の映画担当編集者を務めた後、渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスターのインタビュー、撮影現場レポート、ハリウッド業界コラムなどを、日本の雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿する映画ジャーナリスト。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

猿渡 由紀 さんの映画短評

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  • ナワリヌイ
    勇気、ユーモア、カリスマに満ちたヒーロー
    ★★★★

    今年のサンダンスで審査員賞と観客賞をダブル受賞。映画の冒頭でナワリヌイはロアー監督に「これはスリラーにしてよ。もし僕が殺されたら、つまらない思い出の映画にして」と言うが、その通り優れた政治スリラーになった。プーチンがその名前を口にすることも避けるほど嫌うナワリヌイは、自分のチームと共に、自分を殺そうとしたのが誰だったのかを突き止めてみせる。リアルタイムで明かされていくその過程は緊張感たっぷり。プーチン政権のあまりのひどさに絶望を感じるも、勇気とユーモアのセンスがあるナワリヌイが希望をくれる。しかし、この結末を本当の結末にしたくはない。彼が釈放され、大統領になる続編をぜひ見たいものだ。

  • ジェニファー・ロペス:ハーフタイム
    ファンと本人が喜ぶふわふわしたドキュメンタリー
    ★★★★★

    プロデューサーはジェニファー・ロペスのマネージャーと、彼女の元エージェントで長年の仕事仲間であるエレイン・ゴールドスミス=トーマス。彼女の良いところに焦点を当てる映画になったのも当然。そんな中でちょっと興味深いのは、人気はあっても賞とは無縁できた事実にしっかり触れていること。「ハスラーズ」でついに初のオスカー候補入りかと期待したのにそうならなかった時、彼女は本当にがっかりしたのだ。だが、その直後にスーパーボウルのハーフタイムショーが大成功し大挽回、という展開に、やっぱりなる。リハーサルの様子など舞台裏を見られて楽しくはあるが、全体的にふわふわして、深みに欠けるドキュメンタリー。

  • バズ・ライトイヤー
    ビッグスケールで美しい。猫ロボットが最高
    ★★★★

    すべてのピクサー映画同様、老若男女問わず共感できる傑作。とりわけ少年(今の少年も、かつての少年も)にとっては、スペースシップやロボットがたくさん出てきて、夢の世界だろう。ロボットのデザインは日本にも影響を受けていて、ノスタルジアも感じさせる。最初からIMAXも想定して製作されただけあり、スケールも巨大。このレベルのスピード感と激しいアクションをこれほど美しくCGアニメで実現したのは画期的。とても楽しい映画だが、自分の失敗とどう向き合うのか、今をどう生きるべきなのかなど大切なことも伝えてくる。魅力的で多様なキャラクターの中で個人的に一番のお気に入りは、猫ロボットのソックス。彼をもっと見たい!

  • ウェイ・ダウン
    定番メニューにひと味加えた美味しい一品
    ★★★★★

    定番メニューにややアレンジを加え、実にうまく料理をしたというべきか。結果的に美味しいものになって、文句なし。緊張感あるシーンがたっぷりで、テンポも良く、楽しませてくれる。天才的大学生の主人公トムに、オタクっぽくもなく、特別カリスマがあるわけでもないフレディ・ハイモアを選んだのも正解。良い人オーラがあり、好感度が高い彼に観客は思い入れをするし、彼がリーアム・カニンガムとの間に築いていく関係にも信憑性がある。トムが次々に「さすが」とうならせる解決策を思いついてくれるところもおもしろい。エスケープ映画としては十分合格点。

  • 炎の少女チャーリー
    キャラクターに同情できないのが最大の問題
    ★★★★★

    1984年の同名映画は、最初ジョン・カーペンターが監督するはずだった。それから40年近くを経て、このリメイクで彼は音楽にたずさわっている。またネイティブ・アメリカンのキャラクターにはネイティブ・アメリカンの役者が雇われた。だが、褒められるのはそれだけ。こういう映画では、恐ろしいことをしてしまう主人公に観客が同情できることが何よりも大事なのに、それがまったくないので、いろいろと起こる怖いこと(しかも怖くもない)が、ただ悪趣味に見えてしまうのだ。とりわけ映画のなかばで出てくるあるシーンには大きな嫌悪感を覚えた。チープなCGも輪をかけるが、根本的な問題は脚本。役者が頑張っても限りがある。

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