猿渡 由紀

猿渡 由紀

略歴: 東京の出版社にて、月刊女性誌の映画担当編集者を務めた後、渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスターのインタビュー、撮影現場レポート、ハリウッド業界コラムなどを、日本の雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿する映画ジャーナリスト。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

猿渡 由紀 さんの映画短評

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  • HUSTLE/ハッスル
    バスケットボールの描写がリアリティたっぷり
    ★★★★

    「アンカット・ダイヤモンド」でこれまでのイメージと違うダークな役を演じ、本物の役者であることを証明したアダム・サンドラーが、さらにレベルアップ。今作では、抑えめでやりすぎない、ニュアンスのある演技を見せる。NBAの大ファンであるサンドラーが、レブロン・ジェームズも引き込んで作っただけあり、バスケットボールのシーンはリアリティたっぷり。スポーツ物、アンダードッグ物語として、ある程度結末の予測はつくものの、そこまでの過程を十分楽しませてくれる。2番目に大事な役に抜擢されたフアンチョ・エルナンゴメスは現役選手で演技は初めてだが、なかなか立派。見終わった後、爽やかな気持ちになれる映画。

  • FLEE フリー
    強烈に心に残る、ある男性の告白
    ★★★★★

    近年で最も心に残る映画のひとつ。移民問題という、普段ニュースで目にするなんとなく遠い事柄が、本人が長年の友人に親密な告白をするという形で語られていく。そこで出てくるのは、あまりにも不合理で、壮絶で、非人間的な体験の数々。ボートに乗ってロシアを脱出した移民たちが助けを求めるのを、通りかかったクルーズ船の客が好奇の目で見て写真を撮ったりするシーンなど、胸が張り裂けそうになる。本人のプライバシーを守る意味もあって使われたアニメーションという手段は、ひとりの人間のストーリーとして引き込んでいく上で効果的。時折挿入される当時のニュース映像が、これは本当に起きたことなのだと観客に思い出させる。

  • トップガン マーヴェリック
    36年も待った甲斐があった
    ★★★★★

    これぞ、ハリウッドの娯楽大作!ハイクオリティのアクションが満載で、感動も、笑いもある。1作目の精神をしっかり貫き、ノスタルジアをたっぷり盛り込みつつも、そこだけに頼ることをせず、新しいストーリーで新しいことをやっている。そこそこ成功したらすぐにでも続編を作るのがハリウッドの常識ながら、トム・クルーズとジェリー・ブラッカイマーは36年もかけて正しいストーリーを決めていった。妥協しなかった彼らに大拍手。若手パイロットには女性も入り(1作目の時代にはアメリカに女性戦闘パイロットは存在しなかった)、人種も多様だが、ポリコレのためという感じはゼロ。彼らの間の相性は自然で、みんな魅力的だ。

  • 帰らない日曜日
    官能的でメランコリック
    ★★★★★

    官能的で、メランコリックなラブロマンス。光を注ぎ込んだ柔らかなビジュアルで綴っていくこの映画は、印象派のアートを見ているような気分にさせる。主人公ジェーンの人生を変えたある1日が焦点となるものの、全体のベースには、第一次大戦がイギリスにもたらした大きな悲しみがある。時間が行き来するのもまた印象派的なムードに貢献しているが、前後して忙しいわりにはストーリーのテンポが遅いことにややフラストレーションも。ジェーン役のオデッサ・ヤングの純真な魅力と大胆(ヌードのシーンがたっぷり)かつ繊細な演技が今作の最大の魅力。一方でオリヴィア・コールマンにほとんど見せ場がないのは残念。

  • パーフェクト・ペアリング
    ワインはほぼ関係ない、パターン通りの恋愛映画
    ★★★★★

    設定こそモダンながら、あとはどれも見たことがあるものばかり。危ないところを救ってくれた男性に抱き上げられてドキッとするとか、上半身裸の彼に見惚れてしまうとか、「今どきこんなことやる?」と思ってしまう。ロマコメは話の展開が見えているジャンルではあるが、それでも観客に共感させるには幾らかのリアリティが必要。それがないのだ。しかも、ワインはほとんど関係ないのである。出だしこそナパ・バレーだが、オーストラリアに行ってからワイナリーが出てくるのは1時間を過ぎてから。ワインの映画を期待するなら、永遠の名作「サイドウェイ」や、あまり知られていない「ワインは期待と現実の味」をおすすめする。

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